大家さんとぼく 矢部太郎

「私小さくて垂れてる目がチャームポイントなの。それを描いてほしいわ」by大家さん

芸人のカラテカ矢部さんが住んでいる家の大家さんとのほのぼの漫画です。
大家さんは当時87歳。
戦争も経験されています。
そんな大家さんはとても上品で物腰が柔らかく、いつも正直です。


 

 

 

 

 

 

矢部さんが帰るとスマホに大家さんからのお帰り電話。
洗濯物を干していて雨がふると大家さんからのお知らせ電話。
この距離感に戸惑う矢部さん。

大家さんからお茶に誘われたり、食事を誘われたりして
少しずつ距離が縮まっていきます。
家族でもない恋人でもない友人?
今では家賃を手渡すところは少ないんじゃないでしょうか。
近すぎず遠すぎない二人の関係って素敵で
私もそんな間柄の人が居ればいいなと思いました。

4コマ漫画でところどころ爆笑してしまうのは
矢部さんの芸人としての間の取り方や
落としどころを知っているからなんだろうなぁ。

大家さんがお亡くなりになり
連載も休止しています。
続編は望めないかもしれませんが
違うテーマで矢部さんの4コマ漫画が
また読めるようになればいいなと思います。

 

 

 

 

 

 

 

新潮社
126ページ

著者 矢部太郎
お笑いコンビ・カラテカのボケ担当
芸人としてだけでなく、舞台やドラマ
映画で俳優としても活躍している。

矢部太郎 ツイッター

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いのちの値段 医療と費用を巡る50の物語 読売新聞医療部

「何らかの人とのつながりこそが、人の生と死を支えている」

副題にもあるように、この本は読売新聞で掲載されたシリーズを書籍化したものです。
がんの治療に関してはプロローグでなかにし礼さんが、
ご自分の体験談を執筆されています。
医者からの治療の提案を鵜呑みにせず、自分はどんな治療を望むのか。
自らインターネットで陽子線治療を探し当てます。
普通に抗がん剤しか知らなかったので、今は治療も多岐にわたることを知りました。

本編は多くが患者や家族のルポルタージュです。
がん患者の高齢化や看取り、精神疾患の患者の現状などが
本人の言葉で綴られています。

幸いにも私は現在、疾病はなく両親も居ないので
介護の問題もありません。
ただ、自分自身に介護が必要となったときや
がんや難病といった病気に罹ったときに
どのような選択をするのか、考えるきっかけになりました。

自分の思いを伝え、子ども達の思いも聞きすり合わせていくことの大切さ。
家族だけではなく、地域との関わりも重要だと知りました。
精神的な安定はSNSのつながりでも補えるかもしれませんが
具体的な身の回りのことなど生活に密着したことは
リアルなつながりでないと解決しないこと。

健康な時だからこそ読んで、今後の自分を考えるきっかけにして欲しいと思います。

 

 

 

 

 

【目次】

まえがき 人間の「善意と無限の可能性」を信じて
プロローグ「いのちのメッセージ」人生の流儀 なかにし礼
第1章 オプジーボ  高額新薬が生む効果とジレンマ
第2章 「適正」を探る 治療と値段に正解はあるのか
第3章 対話のカタチ 医師との上手な向きあい方
第4章 透析と人生 進歩する医療の光と影
第5章 人生の最終章 死の迎え方、延命と尊厳

第6章 ゆらぐ現役世代 患者として働き生きる
第7章 高齢者は今 千差万別な老後に備える
第8章 支える家族 試される絆と重すぎる責任
第9章 地域をつなぐ 人と人、仕組みが支える健康
第10章 精神疾患 整わないこころ、回復するこころ
第11章 新技術の行方 高度医療との付き合い方
エピローグ
巻末特別対談 「いのちの値段」その先にあるもの
       津田篤太郎 ✖ 小川朝生
謝辞
主な参考文献

講談社
253ページ

読売新聞医療部発 コラム

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もうぬげない ヨシタケシンスケ

「うん ! だいじょうぶ ! ぼくはずっとこのままでいよう!」

ぼくのふくが ひっかかって ぬげなくなって
もう どれくらい たったのかしら

 

 

 

 

 

お母さんにお風呂に入ろうといわれたぼく。
お母さんが急いで服を脱がそうとして
引っかかって脱げない。

「自分で脱ぐ」といったので
いろいろ試してみるが脱げない。
ぼくは考える。
ずっとこのままだったらどうしよう。
いろいろな不安が沸き上がるけど
解決策もちゃんと見つけるぼく。

「このままでも大丈夫
ずっとこのままでいよう」
と思っていたが、新たな試練が…。


ヨシタケシンスケさんの絵本は
感心したり、驚いたり、大笑いしたりします。
少ないページで文字も最小限なのに
「ぼく」の心境が伝わります。
もちろんお母さんの気持ちもわかります。
途中でぼくが思わぬ展開になったときは
声を出して大笑い !!

3人の子どもがいますが、皆大きくなってしまい
絵本のようなことはもうありませんが
同じようなことがあったなぁ。
と、懐かしくなりました。

疲れたときによむと
心が和みホッとさせてくれますよ。
絵本は子どもだけのものではなく
大人のためにもあるんですね。

 

 

 

 

 

ブロンズ新社

著者 ヨシタケシンスケ
1973年神奈川県生まれ
筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了
「りんごかもしれない」で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、
第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。

著書
「りんごかもしれない」
「ぼくのニセモノをつくるには」
「あるかしら書店」など多数

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幹事のアッコちゃん 柚木麻子

「若くも器用でもないのだからこそ、個人の時間をもっと優先しよう」

国内商品を扱う営業二課の久瀬涼平は三人の姉と母との
五人家族。
コンビニおでんは埃が入っているから買わない
鍋など大勢で一つの容器をつつくのも苦手な新人。

職場の飲み会にも参加しない。
プライベートをさいてまで社内の人間と過ごしたくないと思っている。
そんな涼平に今年の忘年会の幹事が回ってきた。
先輩の澤田三智子におでん屋に誘われたものの
忘年会の店を聞かれ仕事が終わってからの飲み会のくだらなさを
三智子にぶつけていた。


 

 

 

 

三智子が酔いつぶれたときに現れたのが
「アッコちゃん」こと黒川敦子。
三智子が涼平を連れてきた店はアッコがプロデュースした店だった。
アッコちゃんに意見を支持されて嬉しくなった涼平は
飲みつぶれて気が付けばアッコちゃんのトレーラーハウス。

そこから4日間、涼平はアッコちゃんが幹事の忘年会に参加することに。
毎日、店もメンバーも雰囲気も違う忘年会に参加して
涼平が感じたのは…。

アッコちゃんシリーズの第三弾です。
今回は、アンチアッコちゃんが出てきたり
小学生を「師匠」と呼ぶアッコちゃんがいたり
と、楽しませてくれます。

この本でアッコちゃんが実は同年代と知り
更に親近感が湧きました。
小学生でも自分よりできると「師匠」と呼んで
お稽古に没頭するアッコちゃんを見習いたいわあ。

ちなみにお稽古はけん玉なんですが
私は随分前に学童保育の指導員をしていたことがあります。
その時に「竹馬・コマ・けん玉」を子ども達と一緒に練習しました。
けん玉の玉を顔にぶつけることはありませんでしたが
手や腕にはあたり、青あざがあちこちにできたのを覚えています。
あの頃にできた技「宇宙一周」「灯台」「ひこうき」…。
今でもできるかなぁ。
娘が持っているけん玉(娘も学童っ子)を借りてやってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

【目次】

第1話 幹事のアッコちゃん
第2話 アンチ・アッコちゃん
第3話 ケイコのアッコちゃん
第4話 祭りとアッコちゃん

双葉社
181頁

著者 柚木麻子

1981年東京都生まれ
立教大学文学部卒業
2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」で
第88回オール読物新人賞を受賞。
受賞作を含む連作短編集「終点のあの子」でデビュー

著書
「あまからカルテット」
「嘆きの美女」
「その手をにぎりたい」
「ランチのアッコちゃん」など多数

柚木麻子お知らせ ツイッター

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3時のアッコちゃん 柚木麻子

「これでわかったでしょ? 目的地は一つでもルートは一つじゃない」

黒川敦子、通称アッコは脱サラして
「株式会社 東京ポトフ&スムージー」を立ち上げて
冬はポトフ、夏はスムージーを販売している。

元部下の澤田三智子は物産会社でフランスの
人気シャンパンの販促会議が上手く進まず
アッコに相談する。
「ただの雑用係、会議室押さえて、進行役して、つまむお菓子を用意して、お茶を配って」
と愚痴る三智子にアッコは
「すごいじゃないの」と言われる。
「お茶を用意することは、場の主導権を握ることなの」
アッコは週明けから5日間、三智子の会社に会議に出す
アフタヌーンティーを用意して給仕をするという。
アッコからは会議は30分で終わらすことを提案。

 

 

 

 



初日は三智子以外の出席者はアフタヌーンティーに文句を言っていたが
日が経つにつれ時間内に集まるようになり
アフタヌーンティーを心待ちにするようになる。
それだけではなく、シャンパンを売り出す企画を
雑談の中で提案していく。
あとは部長の決断となり…。

アッコちゃんシリーズに第二弾です。
悩める働く女子を応援し
時には厳しく時には優しく接するアッコちゃん。
元部下の三智子に地下鉄で出会った明海。
アッコちゃんの行動力を疎ましく思うけど
変わっていく自分を確認してしまう。

今回はアッコちゃんが登場しない話もあるけど
どの話も日常に疲れた女子を元気にしていきます。
そして食べることの大切さを何気なく書いてある本でもあります。
私は猪のベティの話がよかったなぁ。
最後の2つは神戸や梅田といった馴染み深い
場所の話なので、場所を思い浮かべながら読みました。

 

 

 

 

【目次】

第1話 3時のアッコちゃん
第2話 メトロのアッコちゃん
第3話 シュシュと猪
第4話 梅田駅アンダーワールド

双葉社
166頁

著者 柚木麻子

1981年東京都生まれ
立教大学文学部卒業
2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」で
第88回オール読物新人賞を受賞。
受賞作を含む連作短編集「終点のあの子」でデビュー

著書
「あまからカルテット」
「嘆きの美女」
「その手をにぎりたい」
「ランチのアッコちゃん」など多数

柚木麻子お知らせ ツイッター

ルビンの壺が割れた 宿野かほる

「思えば、私の人生はすべてがその時からおかしくなったのです」

水谷一馬は結婚式当日に花嫁が現れなかった過去がある。
30年を経てFacebookでかつての花嫁、未帆子を見つけ
メッセンジャーでメッセージを送る。
2年で3通のメッセージを送っても未帆子からの返信は無かった。
ある日、未帆子からのメッセージが届き
二人のやりとりが始まる。


 

 

 

 

水谷は両親が事故で亡くなり叔父に引き取られたことや
大学の演劇部で未帆子と知り合った頃からのことを
綴っていく。
未帆子も当時を懐かしく振り返り、二人の交流は続く。
2人が知り合った当時、水谷には婚約者がいた。
引き取ってくれた叔父の娘、優子だ。
メッセージのやりとりは二人のお互いの知らない事にも
触れることになっていく。
何故、未帆子は結婚式当日現れなかったのか。
そこには衝撃の事実が…。


話はメッセージのやりとりのみで構成されています。
それは湊かなえさんの往復書簡の様です。
読み進めるうちに水谷、未帆子のそれぞれの過去が
鮮明になっていきます。
読んでいるうちに不快感がこみあげてきました。
最後の頁の一行は強烈で読み終わった後
呆然としました。

何故、水谷は未帆子にメッセージを送ろうとしたのだろう?
人生の方向を変えさせられた復讐だったのだろうか…。
そもそもFacebookを始めた理由は
未帆子を探すためだったのではないだろうか、
と思うと怖くなってきました。
この本を読んで「やっぱりFacebookってこわいわ」
と思う人が少なからずいるのではないかと思いました。

私もFacebookを利用していますが
本好きの友達がたくさんできました。
ネット上の友達だったのが、オフ会に参加して
リアルにも友達にもなり、北海道から九州まで
旅行を兼ねて友達に会いに行くようになりました。
本好きのグループに所属し、他の人たちの書評を読むことで
今まで興味を持たなかった種類の本…
恋愛小説やラノベ、時代小説も読むようになりました。
私の読書の幅を広げ、こうやってブログに書評を綴る様に
なったのもFacebookを通じて本の友達ができたからです。

とはいえ、主人公の様に過去の友人を見つけたことはないので
同じ様に急にメッセージがやってきたら…。
今はプロフィール写真も顔出しして名前も本名を漢字で
公表していますが、アカウントを変えるかもしれません。
そんなことを考えさせられた1冊でした。

 

 

 

 

新潮社
156頁

著者 宿野かほる
覆面作家

著書
「はるか」