エンジェルフライト 国際霊柩送還士 佐々涼子

今回は私のラジオ番組「ホンスキー倶楽部」で紹介した本です。
テーマは「私の号泣本」

インターネットラジオゆめのたね放送局
関西チャンネル
毎週日曜午前11時~11時

試聴はこちらから

https://yumepod4.xsrv.jp/wp-content/uploads/2019/08/9-3_honsuki-club_20190817.mp3

ラジオネーム きりえ

「エンジェルフライト」佐々涼子 集英社文庫

① この本のオススメどころ
「国際霊柩送還」という仕事をこの本で初めて知りました。
海外で亡くなられた方の遺体を遺族の方に形を整えて届ける仕事を描くノンフィクションです。

亡くなられた方の遺体を迎える遺族の気持ちを考えると涙が止まりませんでした。
特に幼い子供を亡くされた親御さん気持ちは、私にも子供がいるのでよく分かります。
そしてそんな遺族の気持ちに寄りそうように霊柩送還の仕事をされる「エア・ハース」の方々を尊敬します。

② この本との出会い
Facebookのグループで紹介されたレビューが気になっていたところ、レビューを投稿された方が無料プレゼントしてくださるとのことでお送りいただきました。

③ 直近の号泣した出来事
幸せなことに、ここ最近は泣くことなく暮らしていますが、小学6年生の娘の号泣にはたまに付き合います。
「宿題をママが手伝ってくれない」「着たい服がない」など、大人から見たら些細なことで声が枯れるまで泣き叫びます。
悲しければ泣く、イヤな物はイヤという、嬉しければ飛び跳ねる。
本能のままに生きてて羨ましい限りです。

【エンジェルフライト 内容】
外国人が日本で亡くなったら遺体はどうなるのだろう。
日本人が外国で亡くなった場合はどうするのか。
国境を越えて遺体や遺骨を故国へ送り届ける「国際霊柩送還」という仕事があり、エアハース・インターナショナル株式会社は日本初の専門会社である。
エアハースは、二〇〇三年の会社設立以降、スマトラ島沖地震、パキスタン邦人教職員殺害事件、ミャンマーでのフリージャーナリスト殺害事件、アフガニスタンの国際援助団体の職員殺害事件の国際霊柩送還を担当している。
大きな事件、事故では必ずといっていいほど彼らの働きがあるのだが、それが表に出ることはない。
なぜならそれは死を扱う仕事だからだ。
遺族、新入社員、創業者、ドライバー、二代目、そして取材者。
国際霊柩送還に関わるそれぞれの立場から、死とは何か、愛する人を亡くすとはどういうことか、が語られる。


著者佐々涼子
1968年、神奈川県生まれ。
日本語教師を経て、ノンフィクションライターに。
2012年『エンジェルフライト国際霊柩送還士』(集英社)で第10回集英社・開高健ノンフィクション賞を受賞。

著書
『駆け込み寺の男』
『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(ともに早川書房)などがある。

宇宙兄弟 小山宙哉

今回は私のラジオ番組「ホンスキー倶楽部」で紹介した本です。
テーマは「私の号泣本」

インターネットラジオゆめのたね放送局
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ラジオネーム 大乃国のぶお

小山宙哉 宇宙兄弟 講談社コミック

まずは号泣について。
昔から大声をあげて泣くことを指しますが、近年、声を押し殺して涙がこらえ切れずに泣くことも号泣のイメージとなってます。

①この本のおススメどころ
主人公難波ムッタ。
自分も認める超ネガティブ男。
そして弟ヒビト。
兄が羨む超ポジティブ男。
そんな二人を軸に物語は進む。兄弟の幼き頃からの夢に向かって。

夢に向かう話は楽しい。
ただこの作品の良さはそこにだけあるのではない。
言葉にあります。
名言という言葉は使いたくないけど、たくさんあります。
言葉だけ聞いてもわからない、その前の行動とセットで初めてなことも。
だからこそか、その行動に揺さぶられ、次の言葉でごっそり感情を崩されてしまうのです。電車で読んでるのに、周りを憚らず、ドドーっと涙が流れ落ちる、そんな危険な作品です。

ネタバレを一つ。
ある女性が病で体の自由を奪われていく。
できたことができなくなる。
好きだったことも諦めねば。
そんなとき、なんば兄弟はその諦めに寄り添うのではなく、あるプレゼントをする。
そばにいる女性が漏らす。
「この兄弟はすごい。」
宇宙兄弟は私にとって大事な作品です。

②この本との出会い
初読みの漫画家、たまたま書店で見かけて、犬のイラストが可愛かった。
それくらいです。
前評判は聞いてませんでしたね。

③ 直近の号泣したできごと
号泣ではないけど。
会社でご近所さんとの懇親会である焼肉大会。
顔見知りではない方の隣に行ったとき、椅子に杖をかけられているのを見かけました。
持ち手の部分がきれいな模様で、そこにフックがついてるのですが、フックの柄がうさぎのイラストでした。
とっても可愛らしいけど。
見ず知らずの関係、ましてや男な私。
杖を話題にするのもいかがなものか?と思い、そのままにしてたんですけど、終わりかけの頃につい声掛けしてしまいました。
「可愛いがらの杖やね。」と。
するとその方はにっこり笑って、この人のプレゼントなの、と隣の方を示しながら教えてくださる。
プレゼントをされたご婦人は照れくさそうになんだかんだと教えてくださいました。
数年前の小さな好意。
それをベストのタイミングで触れることができたかなぁ、自己満足するのでした。

実は、杖を褒めるエピソードは宇宙兄弟から。
背中を押してくれたのです。

【あらすじ】
兄は、優秀だが自分の能力を信じられず、ネガティブ思考に陥りがちな青年・ムッタ。
ムッタは失業という挫折のさなか、幼い頃に弟と誓い合った夢を取り戻し、「宇宙飛行士になる」という夢をすでに叶えていた弟・ヒビトの後を追い始める。
弟の背を追う形で、数々の困難を乗り越えて、宇宙飛行士になったムッタ。

ヒビトは日本人初のムーンウォーカーになるも、宇宙飛行士になってからはじめての大きな挫折を経験し兄をはじめとする周囲の人に支えられて、必死に乗り越える。

「俺らは生きて、二人で月面に立とうぜ」
兄は先に行く弟に導かれ、弟が立ち止まった時には兄が優しく背中を押し、二人は「夢の続き」に向かって走り続ける。

著者 小山宙哉
1978年京都府生まれ大阪市立デザイン教育研究所卒。
デザイン会社のサラリーマンを経て、『モーニング』に持ち込みをした『ジジジイ』で第14回MANGA OPEN審査委員賞(わたせせいぞう賞)受賞。
『劇団JET’S』で第15回MANGA OPEN大賞受賞。
2007年12月からモーニングで連載している『宇宙兄弟』は初の週刊連載作品。
この作品で2010年(平成22年)の第56回小学館漫画賞一般向け部門、2011年(平成23年)の第35回講談社漫画賞一般部門、2014年(平成26年)の手塚治虫文化賞読者賞を受賞している。

宇宙を撮りたい、風船で。世界一小さい僕の宇宙開発 岩谷圭介

諦めずに続けていると、いろんな形で夢が形になってくるもの

小説「ペンギンは空を見上げる」を読んだときに、主人公が作る風船ロケットの作成の下りに岩谷圭介さんの著書を参考にしたと書いてあり、気になって読みました。
風船なのに撮った写真には地球がハッキリと写っています。

https://www.youtube.com/watch?v=CLDOG-oH4wQ

おススメ度
★★★★
ノンフィクションが好きな人
宇宙と聞くとワクワクする人
夢を形にしたいけどどうしたらいいかわからない人
夢を追いかけている人を応援したい人
そんな人におススメです。

やったことを表に出していく

◆幼少の頃は分解魔
・分解することは出来ても組み立てはできない
・分解することで自分自身がそれを発明したかのような気分になれる
・なりたいのは「バックトゥザフューチャー」のドク

◆迷う進路
・高校生になり進路を決めるときに「発明家」になるにはどの大学のどの学部に行けば良いのかわからないため2年浪人。
・鳥人間コンテストを知り、北海道大学の工学部機械学科で航空宇宙の研究をする。
・4回生になり「発明家」になるための就職先がわからず単位をわざと取らず2年留年。
・大学在学中からふうせん宇宙撮影を始め、就職はせず。

◆ふうせん宇宙撮影
・海外のニュースサイトで「アメリカの大学生3人が自作のバルーンカメラで宇宙を撮影する」という記事を見つけ興味を持ちやり始める。
・周りのいろんな人に「ふうせん宇宙撮影」の話をするが見向きもされない
・ホームページを作り実施するための必要なノウハウを全て公開
・ホームページを通じて共感する人、協力する人が増えてくる
 ➡ 発信することの大切さを学ぶ

大成功したときにも小さな失敗があり、大失敗のときにも小さな成功がある

◆失敗は良いこと
・理論どおりにはならないこともある
・やってみないと分からない
・繰り返すことで物事は進化していく

◆宇宙の撮影に成功
・宇宙撮影に偶然成功したのが11号機
・16号機で「撮れた」と思える…狙って撮れた
・16000枚撮ってきれいに撮れたのは、1枚だけ
・宇宙からの初日の出の撮影に成功

気が付けば発明家に

・宇宙撮影で必要に迫られていろいろな物を発明
・その一つがマイナス60度の上空でも動くバッテリー

自分の将来や自分のしたいことは、人に叶えてもらうものではなかった
夢は追い求め続けるもの
失敗はたくさんの事を教えてくれる、失敗してもいいんだと教えてくれた

【感想】
初心貫徹とは岩谷さんのことを言うのではないでしょうか。
「発明家」になるための道筋を見つけるまで、進路に妥協しない。
2年間浪人し、2年留年することを受け入れてご両親に頭が下がります。
「仕事=就職?」には考えさせられました。
岩谷さんには「とりあえず大学に行く」「とりあえず就職する」は無いのです。

今、私には社会人の娘がいますが、彼女が高校三年生の時に「なりたいものが無い」と言った時に私は「なりたいものを見つけるためにとりあえず大学に行けば?」と進学を進めました。
果たして、それが良かったのだろうか???
この本を読んで思いました。
突き進むばかりの人生だけでなく、立ち止まって自分が納得いくまで考えてもいいんだよ。
そんなことを教えてくれる1冊です。

岩谷さんのホームページから風船で撮影した宇宙を見ましたが、本当に青くてキレイです。


岩谷圭介 公式サイト ふうせん宇宙撮影

【目次】
はじめに
第1章 風船で宇宙を見る!
第2章 夢は転がってはいない
第3章 「やってみて」はじまった
第4章 失敗は教えてくれる
第5章 「達成した」その先へ
第6章 「ふうせん宇宙撮影」の扉を開く

キノブックス
220ページ
2015年9月5日第1刷発行
本体価格 1400円

著者 岩谷圭介
1986年生まれ。福島と東京で育つ。

発明家・エンジニア・アーティスト。
北海道大学在学中より、風船によって挑む小さく身近な宇宙開発を開始。
手のひらから繋がる宇宙開発『ふうせん宇宙撮影』を確立する。

2012年、日本で初めて小型カメラを使った上空30kmからの撮影に成功。
その後も開発を進め80以上の実績を重ねる。
国内のさまざまなれべれ・新聞・雑誌に取り上げられ、CMや広告にも起用される。

ふうせん宇宙撮影を通して、「やってみる」ことと失敗することの大切た、挑戦する気持ちを広げるために活動している。

著書
「うちゅうはきみのすぐそばに」
「おもしろくて役に立たない!?へんてこりんな宇宙図鑑」

岩谷圭介 ツイッター

岩谷圭介 YouTube

最後まで読んで頂きありがとうございます。
当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。


兎の目 灰谷健次郎



今回は私のラジオ番組「ホンスキー倶楽部」で紹介した本です。
テーマは「私の号泣本」

インターネットラジオゆめのたね放送局
関西チャンネル
毎週日曜午前11時~11時

試聴はこちらからできます。

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ラジオネーム たま

灰谷健次郎 兎の目 角川文庫

またまた読み返しました!すぐに読みたかったのでKindleにしましたが、この本はやはり紙で読みたいですね。

①この本のオススメどころ
新米教師と子どもたちが心を通わせていくところ。
子どもたちが、大人が見守るなかで、自分の力で成長していくところ。
そして、それが灰谷さんの暖かい眼差しを通して描かれているところが魅力です。

②この本との出会い
はじめは小学校の図書室で。
二度目は高校の図書室で。
三度目は今回お題を頂いたことがきっかけで、Kindleで読み直しました。

はじめて読んだときは、生徒の気持ちに、
次に読んだときは、先生の気持ちに、
三度目は、先生もですが、親の気持ちに、より、寄り添った読み方になった気がします。

二度目に読んだときは、下校中の電車のなかで、思わず吹き出し、その後号泣しました。
作文のシーンです。

③ 直近の号泣した出来事
故中村勘三郎さんの(勘九郎時代の)DVD「森の石松」で号泣。
見直しなのに…。

実生活では、ないです。実生活で泣けなくなったから、余計に小説や映画が”必要”なのかもしれないと思いました。

【あらすじ】
大学を出たばかりの新任教師・小谷芙美先生が受け持ったのは、学校では一言も口をきこうとしない一年生・鉄三。
決して心を開かない鉄三に打ちのめされる小谷先生だったが、鉄三の祖父・バクじいさんや同僚の「教員ヤクザ」足立先生、そして学校の子どもたちとのふれ合いの中で、苦しみながらも鉄三と向き合おうと決意する。
そして小谷先生は次第に、鉄三の中に隠された可能性の豊かさに気付いていくのだった…。学校と家庭の荒廃が叫ばれる現在、真の教育の意味を改めて問いかける。
すべての人の魂に、生涯消えない圧倒的な感動を刻みつける、灰谷健次郎の代表作。


灰谷健次郎
[1934~2006]小説家・児童文学作家。兵庫の生まれ。
小学校教諭を経て昭和49年(1974)に「兎の眼」を発表。
人権や社会問題などについての発言も積極的に行った。
他に「太陽の子」「ひとりぼっちの動物園」など。

お江戸けもの医 毛玉堂 泉ゆたか

「今、同じ時を生きている縁を、精一杯大事に生きていくさ」

心を通わせるには、寄り添うことをあきらめちゃいけない。
犬医者を題材に思いやる人の温もりを描いた、江戸版“ドリトル先生”物語!

おススメ度
★★★
連作短編集
すきま時間に読むことができます。
ちょっとした息抜きに読むのに適した本です。

【あらすじ】
吉田凌雲は妻の美津、犬の白太郎、茶太郎、黒太郎、猫のマネキとで暮らしている。
凌雲は元は小石川養生所で名医と知られていたが、今は養生所を辞めて毛玉堂という動物を診察している。

凌雲と美津は幼い頃に親同士が結婚を決めた間柄だった。
凌雲が小石川養生所を辞めて戻ってきたときは、小さな家にこもって腑抜けた状態だった。
そこに美津が押しかけて凌雲の世話をし、ようやく二人は夫婦になったのだった。

ある日、美津の幼なじみで水茶屋の娘、お仙が一人の男の子を連れて毛玉堂にやってきた。
男の子の名は善次。
お仙の恋人、政之助から頼まれて善次を預かることになり、凌雲と美津の所に頼みにきたのだった。
善次が犬や猫が好きとわかり、毛玉堂の見習いにする凌雲。

そんな毛玉堂に飼い犬のコタロウが何も食べないと一人の女がやってきた。
コタロウは十二年生きているという。
女はコタロウが心配でいつもは土間で寝ているが今は自分の寝床で一緒に寝ていると言う。それを聞いて凌雲は「コタロウのために何かしてやりたいのなら、あんたがコタロウに合わせて一緒に土間に寝てやってはどうだ」
そして、元気だった頃と同じ様に接して見送ることを勧める。
女は凌雲を睨みつけて毛玉堂を去って行った。

何日かして女が凌雲にお礼を言いに来た。
コタロウは安らかに永遠の眠りについたと…。
そして凌雲に言われた通りに土間で一緒に寝ると、子どもの頃にいつも土間で一緒に遊んでいたときのことを思い出し、最後には自分の手から焼き芋を一口食べて、そのまま動かなくなった事を伝えた。
凌雲は動物にも名医であった。

美津はとあるところで凌雲が他の女性と結婚する予定だったと聞き心がざわつく。
凌雲に真相を聞くことができない美津は…。

【感想】
この物語は美津の目線で書かれています。
凌雲と美津は夫婦であってもまだまだぎこちなく、お互いを思いやる余りに遠慮してしまうところがあり、読んでいてこちらがやきもきしてしまいました。
善次の出生の秘密やお仙の恋の行方も織り交ぜていて、次はどうなるのか???
と楽しみながら読みました。
凌雲の相手が動物でも人と同じ様に、相手の立場に立って接する場面はとても好感を持ちます。

【目次】
第一章 捨て子
第二章 そろばん馬
第三章 婿さま猫
第四章 禿げ兎
第五章 手放す

講談社
258ページ
2019年7月24日第1刷発行
本体価格 1450円
電子書籍あり

著者 泉ゆたか

1982年神奈川県逗子市生まれ。
早稲田大学、同大学院修士課程卒。
2016年に『お師匠さま、整いました!』で第11回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。軽妙な筆致と、立体的な人物造形が注目の若手女性作家。著書
『髪結百花』

青森ドロップキッカーズ 森沢明夫

「休みたいときは休んで、またやりたくなったらやればいいの。人生は行雲流水。自由なんだよ」by 桃子

カーラーは、不当に勝なら、むしろ負けを選ぶ
カーラーは、ルール違反をしたとき、自ら申告をする
カーラーは、思いやりを持ち、常に高潔である

カーラー…カーリングをやる選手

おススメ度
★★★★
スポーツ好き、エンタメ小説が好きな人におススメです。

【あらすじ】
青森市スポーツ会館の多目的運動場は冬の間、カーリング専用のホールになる。
沢井柚香と妹の陽香は青森の女子カーリング界のホープ。
長野県から日本のトップレベルの選手を二人招き入れて強いチームを作ろうと青森県カーリング協会が計画している。
その白羽の矢が立ったのが沢井姉妹だったのだ。

今、コンビを組んでいる先輩の選手とは決裂してしまい、新しく組んだ金城と金田とはスパルタでしごかれ、上手くコミュニケーションが取れずにチームはギクシャクしている。
気持ちが凹んでいる中、姉妹は初心者向けのカーリング体験の指導員をすることになった。

そこに参加している一人の中学生、苗場宏海はカーリング体験で組んだチームで優勝した。
宏海は学校ではいじめられていて、クラスの皆も誰も話しかけてこなかった。
そんな時に参加したカーリング体験でハマって毎日の様にスポーツ会館に通うようになった。
進学をカーリング部がある高校に決め、ブラシも柚香からお古(と言ってもメーカー品)をもらい受け、学校での日々は変わらずとも宏海は目標ができ日々、カーリングの事を考えていた。
ある日、もらったブラシを持って自主練をしようと近くの公園に行くと、いじめている奴らとバッタリ会ってしまい、ボコボコにされた上、カーリングのブラシを折られてしまう。
その上、財布を取られそうになり、幼なじみだった雄大がいじめのリーダー格の猪瀬に反撃をしたのだ。
雄大と宏海は猪瀬達に反撃したものの二人ともボコボコになったが財布は死守した。
昔の関係に戻った二人。
そして雄大もカーリングを始めたのだ。

一方、沢井姉妹は練習の成果もあり、カーリングの技術が上達していき、少しずつではあるがスパルタゴールデンコンビの二人ともコミュニケーションが取れてきた。
「みちのくカーリング選手権大会」にエントリーし、決勝戦までやってきた。
最終エンド、柚香達のチームの攻撃。
この一打で2点入れ投げれば負けてしまう。
金城の正確なショットが放たれるが金田の指示は「イエス(スイーピング…ブラシで氷をこすってストーンの速度を上げる)」柚香はこのままで十分だと反応して、スイーピングしなかった。
金田が必死で「イエーーーース」と絶叫する。
スイーピングしない柚香。
スピードがありすぎると自分たちのストーンをはじき出してしまう。
どちらの判断が正しいのか…。
試合の結末は???

【感想】
スポーツエンタメ小説です。
カーリングという競技に魅せられた、沢井姉妹に中学生の宏海が主役です。
宏海を通して、学校と家以外の自分が夢中になれる場所があること。
そこには人と関わることができること。
カーリングと出会って宏海は学校での立ち位置も変わってきます。

柚香と陽香の姉妹は試合に勝つ競技としてカーリングをしているので、楽しいことばかりではありません。
辛いことや不甲斐ない自分を責めることもあります。
カーリングという競技を通して葛藤と成長が描かれています。

試合展開では「えっ、そこは…」などついつい感情移入して読んでしまいました。

小学館文庫
309ページ
2010年2月6日第1刷発行
本体価格 620円
電子書籍あり

【目次】
コイントス  苗場多恵
第1エンド 岡島新平
第2エンド 苗場宏海
第3エンド 沢井柚香
第4エンド 苗場宏海
第5エンド 沢井柚香
第6エンド 苗場宏海
第7エンド 沢井柚香
第8エンド 苗場宏海
第9エンド 沢井柚香
第10エンド  苗場宏海
エキストラエンド 沢井柚香
あとがき

著者 森沢明夫
小説家。1969年、千葉県生まれ。
早稲田大学卒業。
日韓でベストセラーとなった『虹の岬の喫茶店』が吉永小百合主演「ふしぎな岬の物語」として映画化された他、有村架純主演「夏美のホタル」、高倉健主演「あなたへ」など、話題の映画やテレビドラマの原作を多く手がけている。
著書
『水曜日の手紙』
『雨上がりの川』
『キッチン風見鶏』など

森沢明夫 ツイッター

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