永遠についての証明 岩井圭也

今回は私のラジオ番組「ホンスキー倶楽部」で紹介した本です。
テーマは「上半期に読んだ、私のおすすめ本」


インターネットラジオゆめのたね放送局
関西チャンネル
毎週日曜午前11時~11時半
「ホンスキー倶楽部」

試聴はこちらからできます。

https://yumepod4.xsrv.jp/wp-content/uploads/2019/06/7-1_honsukiiclub_20190613.mp3

ラジオネーム ゆみこ

岩井圭也 「永遠についての証明」KADOKAWA

① この本のおすすめどころ
数学に魅せられた若者たちの光と影を描いた物語です。
胸打つ人間ドラマであると同時に、数学世界の美しい描写に心が奪われます。 

② この本との出会い
Facebookをお休み中のホンスキーの友だちが、「あまりにも素晴らしかったので」と久しぶりに登場して紹介してくれたのがこの本との出会いです。 

③ 上半期一番のできごと
1番という言い方をしてよいのかどうかわかりませんが、今年はこれまで申し込んだジャニーズのチケットがすべて当選!
上半期は7回ライブや舞台に足を運びました。
数年ぶりに嵐のライブも当たり、今年の私は持ってます。 

【あらすじ】
特別推薦生として協和大学の数学科にやってきた瞭司と熊沢、そして佐那。
眩いばかりの数学的才能を持つ瞭司に惹きつけられるように三人は結びつき、共同研究で画期的な成果を上げる。
しかし瞭司の過剰な才能は周囲の人間を巻き込み、関係性を修復不可能なほどに引き裂いてしまう。
出会いから17年後、失意のなかで死んだ瞭司の研究ノートを手にした熊沢は、そこに未解決問題「コラッツ予想」の証明と思われる記述を発見する。
贖罪の気持ちを抱える熊沢は、ノートに挑むことで再び瞭司と向き合うことを決意するが――。

KADOKAWA公式サイトに入ると電子書籍ですが「永遠についての証明」の試し読みができます。

コラッツ予想とは、任意の自然数(0を除く)について、
・偶数なら、2で割る。
・奇数なら、3倍して1を足す。
上記を繰り返すと、必ずいつかは 1→4→2→1→4→2→1→4→2→1…… のループに入る、という予想です。

5×2 60乗まで実際に計算して確かめられているので、おそらく成り立つようなのですが、2018年現在まだ証明も反証もできていないようです。
数学者ポール・エルデシュにより、500ドル の賞金が掛けられていることで有名です。

著者 岩井圭也
1987年生まれ。大阪府出身。
北海道大学大学院農学院修了。
2018年「永遠についての証明」で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞し、デビュー

著書
「夏の陰」

岩井圭也 ツイッター



思わず考えちゃう ヨシタケシンスケ

「幸せとは、するべきことがハッキリすること」

絵本作家で有名なヨシタケシンスケさんのエッセイです。
日常的にスケッチしているヨシタケさんのスケッチと何故その絵を描いたのか…。
という視点で文章が書いてあります。

私はヨシタケさんの絵本が大好きで、書店で何気なく本を見ていてこの本を見つけました。
これもまた出会いです。


3つパックのヨーグルト。
1つ食べたら下の台紙は捨てちゃう派のヨシタケさんと編集者。
残り2つなのに3つ並べるための台紙があるのが許せないとか。

道で子どもを抱っこして歩いているお母さん。
子どもの靴が片方脱げて落ちてしまった。
そこでヨシタケさんは、靴を拾って渡す…ことはしないで
その様子をスケッチする。
靴は他の人が拾って渡したそうな。
めでたしめでたし(笑)

何かを決めることがとても苦手。
挿絵の仕事も「どこでもいいから描いてください」はとても困るのだとか。
「こことこことここに絵を入れてください」と言われるとその場面に一番あう絵を描くことができる。
それは仕事だけではなくて、全てにおいて。

「ぼくはあやつり人形。だれかあやつってくれないかなぁ」
そんなヨシタケさんの奥様は何でも自分で決める人。
夫婦って上手くできているんですね。

だからこそ、ヨシタケさんにとって
「するべきことがハッキリすること」が幸せなんです。
それは、今日のご飯は冷やし中華だ。
そんなことでいいのです。

【感想】
とても自分に正直な人で飾ることなのないエッセイでした。
居ない人の悪口を言ってその場を乗り切る。
謙虚さを保つクリームがあれば欲しい。
読んでいて「そうそうそうそう」って思ってしまいます。

第2章の父だから考えちゃうは息子さんとのやりとりが中心です。
自分の子ども達のことを思い出しました。
そう言えば、同じようなことがあったなぁ…。
小さい子って身体が柔らかいよなぁ…。

ちょっとした時間に心の休憩で読める本です。
とても真面目で子煩悩なヨシタケシンスケさんに出会えることができます。

【目次】
はじめに
第1章 ついつい考えちゃう
第2章 父だから考えちゃう
第3章 ねむくなるまで考えちゃう
おわりに

新潮社
143ページ
2019年3月30日第1刷発行
本体価格 1000円

著者 ヨシタケシンスケ
1973年神奈川県生まれ。
筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。
日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表。
絵本デビュー作『りんごかもしれない』で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞、第8回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞。『りゆうがあります』で第8回MOE絵本屋さん大賞第1位、『もうぬげない』で第9回MOE絵本屋さん大賞第1位、ボローニャ・ラガッツィ賞特別賞を受賞。
『このあと どうしちゃおう』で第51回新風賞を受けるなど数々の賞を受賞し、注目を集める。
2児の父著書
『あるかしら書店』
『ヨチヨチ父』
『おしっこちょっぴりもれたろう』『それしか ないわけ ないでしょう』など。

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亥子ころころ 西條奈加

「親方、南星屋には、給金以上の値打ちがありやすよ」by雲平

江戸の麹町の裏通りにある「南星屋(なんぼしや)」は治兵衛が営む菓子屋。
治兵衛は武家の出だが、若い頃に全国を旅して歩きそこで食した菓子を書き記し店を開いた。
南星屋には治兵衛と出戻り娘のお永、お永の娘のお君の三人で営んでいる。
味はよく値段は手頃なので評判の菓子屋だった。
治兵衛が手首を痛め思うように菓子が作れずにいた。

ある日、南星屋の前に行き倒れの男が居た。
京都から江戸を目指して来たが小田原で盗難にあって飲まず食わずでどうにか江戸についたのだった。
名は雲平。
京都では南星屋と同業で菓子を作っていたと言う。
雲平はしばらく南星屋で治兵衛を手伝い菓子を作る様になった。
そんな雲平に惹かれるお永…。

雲平が江戸にやってきたのは天涯孤独な雲平が奉公先で弟の様に仲が良かった亥之吉を探しに来たのだった。
雲平は亥之吉を探し出すことはできるのか?
そしてこのまま南星屋の菓子職人となるのか?

【感想】
時代小説によくある菓子屋のお話です。
小さい菓子屋ながらも、いろいろ問題が起こります。
そこには江戸ならではの人情味あふれる話が連作短編集として書かれています。

主の治兵衛は旅をしながら出会った菓子を丁寧に記しています。
これが菓子帳となって物語の菓子作りに一役かっています。
雲平が江戸に来たいきさつや日々の南星屋の菓子作りが読みどころです。
西條奈加さんは時代小説でシリーズ化になっている作品もあるので、
この本もシリーズ化になるのを期待しています。

【目次】
夏ひすい
吹き寄せる雲
つやぶくさ
みめより関の戸
竹の春
亥子ころころ

講談社
247ページ
2019年6月24日第1刷発行
本体価格 1450円
電子書籍あり

著者 西條奈加
1964(昭和39)年北海道生れ。
都内英語専門学校卒業。
2005(平成17)年、『金春屋ゴメス』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞。2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞を受賞。著書
『金春屋ゴメス 異人村阿片奇譚』
『烏金』
『善人長屋』
『恋細工』などがある。

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お絵かき禁止の国 長谷川まりる

「言葉があると思うだけで、なんていうか…認められている気がする」by ハル

第59回講談社児童文学新人賞佳作を受賞した長谷川まりる氏のデビュー作です。

【あらすじ】
ハルは中学三年生。
父・母・二つ下の弟との4人家族。
ハルはクラスの人気者アキラからキスをされて有頂天。

ハルは同じ美術部に所属するりょーちゃんとしおりんが友達。
写実的に絵を描くよりマンガを描くのが得意。
クラスの中ではどちらかと言えば目立たないグループ。
アキラはクラスの中心のグループ。
アキラは学校で一番やんちゃで面白くて、最高に可愛い女の子。

二学期になって席替えをし、ハルの前がアキラになった。
アキラは目ざとくハルのノートのいたずら書きを見つけた。
アキラはハルの絵をほめてくれた。
そこから二人で帰り道にアキラがストーリーを考えてハルがマンガにする様になった。

ハルはどんどんアキラが好きになっていく自分自身を見つめる。
なんで自分は男の子に興味が無いんだろう…。
そんなある日、ハルとアキラがキスしている写メがクラスのグループラインにアップされた。
弟からサッカー部のグループラインでアップされたと知るハル。
ハルはまず両親に自分が同性愛者だという事を打ち明ける。
両親の反応は…。

【感想】
最近はLGBTを主題にした作品をよく見かけるようになりました。
この小説もそのひとつです。
出てくる人の中にはハルを受け入れられない人も描かれています。
全てがハッピーエンドではないのでその分リアルだと感じました。

ハルは強い。
自分のアイデンティティーを守るには家族や友人など周りの協力が必要であることが書かれています。
アキラとの写真が出回った後、そこから不登校になってもおかしくない状況だけど、ハルはそうしないところに強さを感じます。
私自身が自分のアイデンティティーを揺るがされるような事が起きた場合、ハルの様に一歩前に踏み出せるだろうか…。
そんなことも考えた作品でした。
児童書ではありますが大人にも読んで欲しい1冊です。

講談社
194ページ
2019年6月10日第1刷発行
本体価格 1400円
電子書籍あり

著者 長谷川まりる
情報がありませんでした。

長谷川まりる ツイッター

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「いづみさん」 今日マチ子(マンガ)・青柳いづみ(文)

「秘密を守れない=嘘をつくのが下手な私」

本の最初には女優青柳いづみさんのポートレート。
そのあとに「声」「口紅」「窓」など24のエッセイが綴られたている。

ページの下には青柳いづみさんのエッセイ。
その上にはエッセイの文章に絡めて、今日マチ子さんのマンガが描かれている。
時にはエッセイの補足であったり、全く別の話であったり…。

本番が近づくとご飯が食べられなくなり、お風呂や本を読むことや音楽を聴くことさえもできなくなる。
本能の赴くままに行動をするので、白い衣装を着たままミネストローネを食べたり、片づけもしなくなり思考停止の状態に陥って、たくさんの人に迷惑をかける…と綴ってある。
それぐらい本番に向けて精神が集中していく様をサラッと書いているが、舞台にかける集中力が研ぎ澄まされていくのを感じる。

舞台女優、青柳いづみを知る1冊。


【感想】
今日マチ子さんのマンガが青柳いづみさんのエッセイをよりミステリアスにしています。
1ページの上段がマンガ、下段がエッセイになっていますが、マンガだけを読み後でじっくりエッセイを読むのもいいかもしれません。

私は同時並行で読みました。
実はいづみさんの心のうちをマンガで表現しているのかも…。
普通ならエッセイにまつわる写真で構成しそうですが、あえてストーリーのあるマンガにすることで、違う世界に連れて行ってくれます。

演劇を見ることが無いので、青柳いづみさんのことはこの本で知りました。
ポートレートを見る限りでは、少女の様でもあり大人の女性でもあり、いくつもの表情を持っている人…という印象です。
どんな女優さんなのか舞台上でのいづみさんを知りたいと思いました。

筑摩書房
146ページ
2019年5月14日第1刷発行
本体価格 1800円


著者 今日マチ子(マンガ)
漫画家。
1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題に。
4度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。
戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。
2014年に手塚治虫文化賞新生賞、
2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。
短編アニメ化された『みつあみの神様』は海外で23部門賞受賞。

著書
『センネン画報 +10years』
『もものききかじり』
『ときめきさがし』など。

著者 青柳いづみ(文)
1986年生まれ。
桜美林大学総合文化学群にて演劇を専攻。
2007年、藤田貴大率いるマームとジプシーの旗揚げに参加。
翌年、チェルフィッチュに『三月の5日間』ザルツブルグ公演から参加。
以降、両劇団を平行して活動。
2013年3月、演出家の飴屋法水と共同で短編作品『キッチンタイマー』を発表。
8月、漫画家・今日マチ子の代表作をマームとジプシーが舞台化した『cocoon』に主演。2014年3月から5月にかけて、小説家・川上未映子の書き下ろしテキストを藤田貴大演出で一人芝居として7都市8会場で発表。

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悪の五輪 月村了衛

「金、権力、名声、色、そしてまた金。オリンピックの五つの輪は、そのまま五つの欲を示している」

【あらすじ】
 時は1963年、日本は翌年に開催されるオリンピックに湧いていた。
人見稀郎は白壁一家に属するヤクザ。
時間があれば映画を観に行くちょっと風変わりなヤクザである。
そんな人見は親分の広岡に呼び出された。
とある筋からの口利きで映画監督の鎌田欣明が白壁組に泣きついてきたという。
黒澤明が降りた東京オリンピックの映画監督にどうしてもやりたいという内容だった。
広岡は映画好きな人見に一任する。

鎌田はベテランではあるものの一流ではないためにかなり難しい。
人見は東京オリンピックの映画に関わる人物を調べ上げる。
発言力があるのは、元衆議院議員の桑井、日東体育大学教授の山畑、菱伴物産常務取締役の南沢の三人。
この三人を徹底的に調べて隙を見つけた人見は行動に移る。

一方鎌田には現場からの信頼を得るようにこと細かく指示を出していた。
低予算で作っている作品が思いのほか当たり、2週間で打ち切らるはずが4週間上映され評判も良かった。

人見は現場にも顔を出し大道具や照明などの裏方にも声をかけ一目置かれるようになる。
人見エージェンシーという表看板を作り人脈を介して大物人物に会い、少しずつ足場を固めていく。
東京では知らぬものがいない、暴れだしたら止まらないヤクザの花形、大映の永田雅一、人見の仕事は順調に進んでいるようにみえた。
しかし、一向にオリンピックの映画監督の話に鎌田の名前が上がってこない。

そんな折、鎌田が監督をする現場でトラブルが発生した。
ロケ現場に手配ミスで人数分の弁当が届かなかった。
弁当は偉い順に配られる。
ここで弁当を配る助監督がわざと在日朝鮮人や部落出身者を後回しにしたのだ。
キャメラマン助手の差別的な一言で現場は乱闘となった。

人見はこの場を納めることができるのか?
鎌田の監督生命は??

【感想】
本編に永田雅一氏、児玉富士夫氏など実在した人物が出てくるので、鎌田欣明の事は事実なのではないか?と思うほどのリアリティがある話でした。
欣の一文字でこの人物は深作欣二監督のことか??
など邪推したほどです。

オリンピック開催に向けての工事、映画、いろいろな所で利権を求め暴力団、政治家、財界が絡んできます。

私は前回の東京オリンピックには生まれていませんが、昭和生まれかつ映画好きなので、どうなるんだろうとワクワクしながら一気に読みました。
来年に東京オリンピックを控えた今、どこかで同じようなことが起こっているのでは?
とも思わせる話でした。

昭和生まれで映画好きの人におススメのハードボイルドエンタメ小説です。

講談社
260ページ
2019年5月14日第1版印刷
本体価格 1600円
電子書籍あり

著者 月村了衛
1963(昭和38)年、大阪府生れ。
早稲田大学第一文学部卒。
2010(平成22)年、『機龍警察』で小説家としてデビュー。
冒険小説の新たな旗手として高く評価される。
2012年『機龍警察 自爆条項』で日本SF大賞を受賞。
2013年『機龍警察 暗黒市場』で吉川英治文学新人賞を受賞。
2015年、『コルトM1851残月』で大藪春彦賞を、
『土漠の花』で日本推理作家協会賞を受賞している。

著書
『槐(エンジュ)』
『ガンルージュ』
『追想の探偵』
『機龍警察 狼眼殺手』
『コルトM1847羽衣』など多数。

月村了衛 公式ブログ

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