エンジェルフライト 国際霊柩送還士 佐々涼子

今回は私のラジオ番組「ホンスキー倶楽部」で紹介した本です。
テーマは「私の号泣本」

インターネットラジオゆめのたね放送局
関西チャンネル
毎週日曜午前11時~11時

試聴はこちらから

https://yumepod4.xsrv.jp/wp-content/uploads/2019/08/9-3_honsuki-club_20190817.mp3

ラジオネーム きりえ

「エンジェルフライト」佐々涼子 集英社文庫

① この本のオススメどころ
「国際霊柩送還」という仕事をこの本で初めて知りました。
海外で亡くなられた方の遺体を遺族の方に形を整えて届ける仕事を描くノンフィクションです。

亡くなられた方の遺体を迎える遺族の気持ちを考えると涙が止まりませんでした。
特に幼い子供を亡くされた親御さん気持ちは、私にも子供がいるのでよく分かります。
そしてそんな遺族の気持ちに寄りそうように霊柩送還の仕事をされる「エア・ハース」の方々を尊敬します。

② この本との出会い
Facebookのグループで紹介されたレビューが気になっていたところ、レビューを投稿された方が無料プレゼントしてくださるとのことでお送りいただきました。

③ 直近の号泣した出来事
幸せなことに、ここ最近は泣くことなく暮らしていますが、小学6年生の娘の号泣にはたまに付き合います。
「宿題をママが手伝ってくれない」「着たい服がない」など、大人から見たら些細なことで声が枯れるまで泣き叫びます。
悲しければ泣く、イヤな物はイヤという、嬉しければ飛び跳ねる。
本能のままに生きてて羨ましい限りです。

【エンジェルフライト 内容】
外国人が日本で亡くなったら遺体はどうなるのだろう。
日本人が外国で亡くなった場合はどうするのか。
国境を越えて遺体や遺骨を故国へ送り届ける「国際霊柩送還」という仕事があり、エアハース・インターナショナル株式会社は日本初の専門会社である。
エアハースは、二〇〇三年の会社設立以降、スマトラ島沖地震、パキスタン邦人教職員殺害事件、ミャンマーでのフリージャーナリスト殺害事件、アフガニスタンの国際援助団体の職員殺害事件の国際霊柩送還を担当している。
大きな事件、事故では必ずといっていいほど彼らの働きがあるのだが、それが表に出ることはない。
なぜならそれは死を扱う仕事だからだ。
遺族、新入社員、創業者、ドライバー、二代目、そして取材者。
国際霊柩送還に関わるそれぞれの立場から、死とは何か、愛する人を亡くすとはどういうことか、が語られる。


著者佐々涼子
1968年、神奈川県生まれ。
日本語教師を経て、ノンフィクションライターに。
2012年『エンジェルフライト国際霊柩送還士』(集英社)で第10回集英社・開高健ノンフィクション賞を受賞。

著書
『駆け込み寺の男』
『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(ともに早川書房)などがある。

神様がくれたピンクの靴 佐藤和夫

「経営者が決断するときは、損か得かで決めてはいけません。正しいか、正しくないかを軸にして決めるのです」

著者の佐藤和夫さんは「人を大切にする経営学会」の常任理事をされています。
この会は、『人、とりわけ社員等の満足度や幸せこそ最大目標であり最大成果と考える「人を大切にする経営」を研究対象とし、その研究成果を広く社会に還元、啓蒙する活動を行うことを通じて、よりよい企業経営を行う企業が増加することを目的』としています。

この本は、一つの会社「徳武産業」の靴、とりわけ高齢者や障がい者を対象にしたケアシューズを製造して過程を紹介しています。

おススメ度 ★★★★★
仕事でリーダーになっている人
今から起業しようとしている人
ノンフィクションが好きな人におススメです。

靴のせいで歩けなくなってしまうお年寄り

徳武産業がケアシューズを作り始めたきっかけは1本の電話。
近くの特別養護老人ホームから「利用者の転倒が相次いで困っているんです。何とかお年寄りが転ばないですむ靴をつくってもらえないでしょうか?」
ちょうど大口の顧客から取引を縮小されて売上が減って困っていた平成5年のことでした。

連絡があった特別養護老人ホームに見学に行き、いろいろ試行錯誤をして試作品を作っても転倒は無くなりません。
施設に通ううちにいくつかの問題点が明らかになります。

★むくみやリウマチ、外反母趾により左右の足の大きさや形、長さまで異なっている人がたくさんいる。
★脳卒中などで身体にマヒがある人は、簡単に靴を履いたり脱いだりできない。
★足に合わない靴をかかとを踏んだり、詰め物を入れたりして無理に履いている。
➡ まだ歩ける人が靴のせいで歩けなくなってしまう

震災を無傷で生き残った奇跡の機械

元々、徳武産業はルームシューズを作る会社でした。
靴を作るために神戸から靴に詳しい助っ人を呼び寄せます。

・靴のサイズは1cmごとにする
・左右のサイズ違いや片方だけの販売をする

この2点は靴業界では異例の品でした。
助っ人の靴職人にも反対されますが、2年間500人のお年寄りにヒアリングや試作品を履いてもらった裏付けで説得し、ケアシューズ「あゆみ」を作りました。
大量生産のための機械が神戸から搬入されるのを待つだけとなります。

平成7年1月17日、阪神淡路大震災が起こりました。
高速道路が倒れ、神戸の街が燃えていました。
「あゆみ」の機械を特注した会社も神戸でした。
会社と連絡が取れず数日が経ったころ、機械メーカーから連絡が入ります。
機械は無事でした。
25年経った今も、使わなくなったこの機械の前に毎月欠かさず御神酒をまつって皆で感謝しています。

人はいくつになってもおしゃれをしたいしステキな靴を履きたい、自分の足で歩きたい


初めに電話をくれた老人ホームの夏祭りに行った時のこと。
一人のおばあさんが「あゆみ」の靴を履いているのを見かけます。
十河さんが靴の履き心地を聞くと
「死ぬまでに赤い靴を履いてみたいと思っていた。この靴があって本当に嬉しい。毎日歩くことが生きがいになっている。いつもこの靴を枕元に置いて寝ている」とのこと。
施設の人に聞くと本当に枕元に靴を置いて寝ていると知ります。

この時、徳武産業は「あゆみ」の売上が思った様に伸びず、創業依頼初めて赤字転落することがわかり、経営をを託した社員を呼びつけ叱責し、この社員達は辞めてしまいました。
夏祭りの出来事であらためてこの靴は売れると確信し販路拡大に向けて動き出します。

しかし、大量生産をするなかでクレームも発生し、全品回収で対応など、知名度が上がるにつれて問題点も次々と出てきました。
しかし、徳武産業は社員が一丸となって問題点を一つひとつ丁寧に対応して売上を伸ばしていきます。

赤字転落したときの反省を活かし、社員のやりがいを支える仕組みを作り、家族が入社したがる会社へと変貌していきます。

徳武産業 公式サイト

【感想】
「ニッチを狙う」
「情熱を持つ」
「貢献する」
ビジネス書によく書かれてある言葉ですが、そのどれもがあてはまるのがこの徳武産業です。

決して順風満帆な会社運営ではありませんが、社長の情熱と過去の反省を活かした経営で乗り切るところは、読んでいて池井戸潤の小説の様でした。
(嫌な銀行の幹部は出てきませんが…笑)

実は私が勤める特別養護老人ホームの利用者に「あゆみシューズ」を履いている方がいます。
この文章を書くために徳武産業さんのホームページを見ると、全く同じシューズの写真が載っていたのです。
この本が、徳武産業さんがより身近に感じました。

【目次】
プロローグ
第1章 「とんでもない考え」から生まれたこと
第2章 この靴を枕元に置いて寝ています
第3章 だからみんなキラキラできる
第4章 もっと「ありがとう」をいただきたい
第5章 誰もが幸せな会社をつくるために
発刊に寄せて

あさ出版
208ページ
2019年1月26日第1刷発行
本体価格 1400円
電子書籍あり著者 佐藤和夫
1952年北海道生まれ。
慶應義塾大学文学部卒業後、出版社勤務。
経営雑誌編集長、社団法人事務局長などを経て出版社設立。
2000社を超える企業取材を通して、人間としての経営者と企業経営のあり方を洞察してきた。
現在「人を大切にする経営学会」常務理事。
一般社団法人「豊島いい会社づくり推進会」会長。
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 審査委員。
株式会社あさ出版代表取締役。

宇宙を撮りたい、風船で。世界一小さい僕の宇宙開発 岩谷圭介

諦めずに続けていると、いろんな形で夢が形になってくるもの

小説「ペンギンは空を見上げる」を読んだときに、主人公が作る風船ロケットの作成の下りに岩谷圭介さんの著書を参考にしたと書いてあり、気になって読みました。
風船なのに撮った写真には地球がハッキリと写っています。

https://www.youtube.com/watch?v=CLDOG-oH4wQ

おススメ度
★★★★
ノンフィクションが好きな人
宇宙と聞くとワクワクする人
夢を形にしたいけどどうしたらいいかわからない人
夢を追いかけている人を応援したい人
そんな人におススメです。

やったことを表に出していく

◆幼少の頃は分解魔
・分解することは出来ても組み立てはできない
・分解することで自分自身がそれを発明したかのような気分になれる
・なりたいのは「バックトゥザフューチャー」のドク

◆迷う進路
・高校生になり進路を決めるときに「発明家」になるにはどの大学のどの学部に行けば良いのかわからないため2年浪人。
・鳥人間コンテストを知り、北海道大学の工学部機械学科で航空宇宙の研究をする。
・4回生になり「発明家」になるための就職先がわからず単位をわざと取らず2年留年。
・大学在学中からふうせん宇宙撮影を始め、就職はせず。

◆ふうせん宇宙撮影
・海外のニュースサイトで「アメリカの大学生3人が自作のバルーンカメラで宇宙を撮影する」という記事を見つけ興味を持ちやり始める。
・周りのいろんな人に「ふうせん宇宙撮影」の話をするが見向きもされない
・ホームページを作り実施するための必要なノウハウを全て公開
・ホームページを通じて共感する人、協力する人が増えてくる
 ➡ 発信することの大切さを学ぶ

大成功したときにも小さな失敗があり、大失敗のときにも小さな成功がある

◆失敗は良いこと
・理論どおりにはならないこともある
・やってみないと分からない
・繰り返すことで物事は進化していく

◆宇宙の撮影に成功
・宇宙撮影に偶然成功したのが11号機
・16号機で「撮れた」と思える…狙って撮れた
・16000枚撮ってきれいに撮れたのは、1枚だけ
・宇宙からの初日の出の撮影に成功

気が付けば発明家に

・宇宙撮影で必要に迫られていろいろな物を発明
・その一つがマイナス60度の上空でも動くバッテリー

自分の将来や自分のしたいことは、人に叶えてもらうものではなかった
夢は追い求め続けるもの
失敗はたくさんの事を教えてくれる、失敗してもいいんだと教えてくれた

【感想】
初心貫徹とは岩谷さんのことを言うのではないでしょうか。
「発明家」になるための道筋を見つけるまで、進路に妥協しない。
2年間浪人し、2年留年することを受け入れてご両親に頭が下がります。
「仕事=就職?」には考えさせられました。
岩谷さんには「とりあえず大学に行く」「とりあえず就職する」は無いのです。

今、私には社会人の娘がいますが、彼女が高校三年生の時に「なりたいものが無い」と言った時に私は「なりたいものを見つけるためにとりあえず大学に行けば?」と進学を進めました。
果たして、それが良かったのだろうか???
この本を読んで思いました。
突き進むばかりの人生だけでなく、立ち止まって自分が納得いくまで考えてもいいんだよ。
そんなことを教えてくれる1冊です。

岩谷さんのホームページから風船で撮影した宇宙を見ましたが、本当に青くてキレイです。


岩谷圭介 公式サイト ふうせん宇宙撮影

【目次】
はじめに
第1章 風船で宇宙を見る!
第2章 夢は転がってはいない
第3章 「やってみて」はじまった
第4章 失敗は教えてくれる
第5章 「達成した」その先へ
第6章 「ふうせん宇宙撮影」の扉を開く

キノブックス
220ページ
2015年9月5日第1刷発行
本体価格 1400円

著者 岩谷圭介
1986年生まれ。福島と東京で育つ。

発明家・エンジニア・アーティスト。
北海道大学在学中より、風船によって挑む小さく身近な宇宙開発を開始。
手のひらから繋がる宇宙開発『ふうせん宇宙撮影』を確立する。

2012年、日本で初めて小型カメラを使った上空30kmからの撮影に成功。
その後も開発を進め80以上の実績を重ねる。
国内のさまざまなれべれ・新聞・雑誌に取り上げられ、CMや広告にも起用される。

ふうせん宇宙撮影を通して、「やってみる」ことと失敗することの大切た、挑戦する気持ちを広げるために活動している。

著書
「うちゅうはきみのすぐそばに」
「おもしろくて役に立たない!?へんてこりんな宇宙図鑑」

岩谷圭介 ツイッター

岩谷圭介 YouTube

最後まで読んで頂きありがとうございます。
当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。


モリー先生との火曜日 ミッチ・アルボム

今回は私のラジオ番組「ホンスキー倶楽部」で紹介した本です。
テーマは「あなたの号泣本」

インターネットラジオゆめのたね放送局
関西チャンネル
毎週日曜午前11時~11時

試聴はこちらからできます。

https://yumepod4.xsrv.jp/wp-content/uploads/2019/07/8-2_honsuki-club_20190711.mp3

ラジオネーム ぶるぼん
ミッチ・アルボム「モリ―先生との火曜日」です。

① この本のオススメどころ
生きていると遭遇する問題を深く掘り下げて考えさせられる点がオススメです。それは愛であったり、許しであったり、家族であったり、結婚であったり、老いることや死ぬことであったり。

舞台はボストンの郊外。
ミッチは大学卒業後疎遠になっていた恩師のモリ―を久々に見たのはなんとテレビ。
モリ―はALS(筋萎縮性そくさく硬化症)を発症し、死につつある状態。
16年ぶりに訪れた恩師のもとで、ミッチはモリ―と毎週火曜日に様々なテーマについて話し合うという内容。

それはモリ―が亡くなるまで続きます。
その内容は多くの人にとって身近な問題なので、読んでいる私にも悩んだことがある問題だったり、恐れている問題だったりすることが多いです。

毎日の生活の中で、日々生きることに一杯いっぱいになってるけど、ふとした時に恐怖が襲ってくることってありませんか?
もし私が死んだら残された家族はどうなるだろう?とか。

私はこの本を読むまでそのことがとてもとても怖かったのですが、この本を読み、モリ―の状況や語ることを読むことで自分の考え方、見方、物事の捉え方が変わっていきました。
自分なりに深く考えたからだろうなと今は思っています。

② この本との出会い
好きな舞台俳優さんがこの本の朗読劇に出演することになったのがきっかけです。
観る前に読んでみようと思って手にとりました。

③ 直近の号泣した出来事
まさに見ようとしてたテレビが壊れた時ですね。
結局友人が録画してたので、それを見せてもらったのですが、「なぜ!今!このタイミングで!」って突っ込みながらテレビにむかって号泣してました。


【あらすじ】
スポーツコラムニストとして活躍するミッチ・アルボムは、偶然テレビで大学時代の恩師の姿を見かける。
モリー先生は、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていた。
16年ぶりの再会。モリーは幸せそうだった。
動かなくなった体で人とふれあうことを楽しんでいる。
「憐れむより、君が抱えている問題を話してくれないか」モリーは、ミッチに毎週火曜日をくれた。死の床で行われる授業に教科書はない。
テーマは「人生の意味」について。


著者 アルボム,ミッチ
フィラデルフィア出身。
1970年代後半、ブランダイス大学の学生時代に、社会学教授のモリー・シュワルツと出会う。
卒業後、プロミュージシャンを目指すが、挫折。
コロンビア大学でジャーナリズムの修士号を取得し、デトロイト・フリープレス紙のスポーツコラムニストとして活躍。
鋭い洞察と軽妙なタッチのコラムは高い評価を受け、AP通信によって全米No.1スポーツコラムニストに過去13回選ばれている。
2003年9月に発表した初のフィクション『The Five Poeple You Meet in Heaven』(邦訳『天国の五人』、NHK出版)は全米ベストセラー1位を獲得。現在、妻ジャニーンとミシガン州フランクリンに在住 

注文をまちがえる料理店 小国士朗

「認知症である前に、人なんだよな」

「注文をまちがえる料理店」は期間限定のお店です。
ここで注文を取り料理を運ぶのは、認知症がある方達です。
なので、注文を間違えたり忘れたり、お水を2つ持ってきたりします。
でもお客さんは誰一人怒りません。
それどころか、間違えずに持ってくると残念がったりするのです。
そんなお店ができるまで、そしてそこであった一人ひとりのものがたりが語られている1冊です。

おススメ度
★★★★★
ノンフィクションやドキュメンタリーが好きな人
モノづくりに興味がある人
高齢者の介護に興味がある人
特におススメです。

認知症になっても最期まで自分らしく生きていく姿を支える

著者の小国氏はテレビ局のディレクターです。
2012年ある認知症のグループホームを取材していました。
ここに入居している認知症の方々は、買い物から料理・掃除・洗濯も自分でできることはできる範囲でやっています。

ある日の午後、お昼ご飯の献立はハンバーグ。
でも食卓に並んでいるのはなんと餃子。
小国氏は「あれ?今日はハンバーグでしたよね?」という言葉を飲み込みました。
食べた餃子は美味しかった。
そのときに「注文をまちがえる料理店」というワードが浮かんだのです。

仲間になってもらいたい人の「三つの条件」

「注文をまちがえる料理店」のプロジェクトを進めるにあたって小国氏は仲間を集めます。
認知症の方が働くレストラン。
ともすれば、認知症の人を見世物にする…そんな意見だってでてきます。

今回、小国氏は仕事ではなくてプライベートのプロジェクトとして進めていくことにしました。
仲間を集めるにあたっては三つの条件をまとめました。
① 100%おもしろがってくれる人
  「不謹慎だけど面白そう」と「ニヤリ」と笑ってくれる人
② 僕にできないことができる人
  ミッションを一人で背負わない
  自分が不得意なことを書き出していく
③ 自分の利益を捨てられる人
  「最後は目的のためにその利益を捨てられるよ、こんちきしょう」という粋な人

大事にしようと決めた「二つのルール」

メンバーが集まり、実行委員会形式で中身を具体的に考えていくことになり、ルールを決めました。
◆料理店としてクオリティにこだわる(オシャレであること、料理がおいしいこと)
 ・どうやったらみんなが「行ってみたい」と思うお店になるのか
 ・どうやったらお客様が心からワクワクできる空間を作れるのか
 ・料理の料金は均一にする
 ・お客様の期待を超える料理を提供する

◆間違えることが目的ではない。だからわざと間違えるような仕掛けはやらない
 ・お客様の中には間違えることを期待する人もいる
 ・エンターテイメントとしての料理店
 ・喧々諤々の議論をかわし「やっばり認知症の方が間違えるような設計をするのは本町転倒」と意見が一致
 ・認知症の家族の方に意見を聞く
  「間違えちゃうかもしれないけど、許してねっていうコンセプトはとてもいいと思う。でも妻にとって、間違えるということは、とてもつらいことなんですよね」
 ➡ 間違えないように最善の対応を取りながらそれでも間違えちゃったら許してね(てへぺろ)という設計にしようとメンバーで一致

間違えることを受け入れて、間違えることを一緒に楽しむ

実際に「注文をまちがえる料理店」で働いた認知症の当事者の様子から
◆元美容師のヨシ子さん
 ・接客業の経験があるので言葉遣いも丁寧でとても慣れた様子。
 ・料理を持って行くテーブルを間違えることもありました。
 ・ヨシ子さんにとって重要なのは「仕事ができる」という事実
 ・後日、ヨシ子さんはいつもは行かない近所のコンビニに行き、働いた謝礼金の封筒からお金を出してお買い物。
 → 自分で稼いだお金で、なんでも好きに買える。それができることがヨシ子さんにとって大事なことだったのではないでしょうか。
◆飲食店で働いていたテツさん
 ・オーダーを間違えないか心配している仲間に「これを渡してお客様に書いてもらおう」と素晴らしい解決策を出しました
 ・飲み物を出すタイミングをお客様の食事の様子を見ながらはかっているテツさん
 ・初日の帰りに「私一人だったら何も役に立てなかったね。仲間がいっぱいいてくれたからできたのよ」
 ・「みんながいたからがんばれた」「仲間ってほんとに大切よね」と繰り返してスタッフに話すテツさん
 → いつも明るくて、冗談もよくいうテツさんですが、深い話を聞かせてくれたてのも、教え諭すように話す様子を見たのもはじめてでした。

♥ 開店の前の朝、みんなで確認しあったこと
「働く人も、お客様も、僕たち裏方も、『やってよかったね』と笑って帰れるようなレストランにしよう」

注文をまちがえる料理店 公式ホームページ

【感想】
読んでいて「こんなレストランいいな」から「こんな地域がいいな」「こんな日本がいいな」と思いました。
「間違えること」が✖(ペケ)の風潮が強い日本。
レストランで注文と違うものが出てきたらクレームものですよね。
でもここは違う。
「間違っても大丈夫な空気がありました」…当日のアンケートの言葉です。
誰だって間違えたくて間違う訳じゃない。
心のゆとりが必要です。

これまで「認知症」というと「ご飯を食べたことを忘れる」など大変だなぁというイメージでした。
この本を読んで周りの支えがあれば認知症でも普通の暮らしができる。
そして「人の役に立っている(=仕事がある)」ことが生きていく上でどれだけ重要なことなのかを、あらためて感じました。
それは認知症の方だけでなく、全ての人にとってです。

【目次】
Prologue 「注文をまちがえる料理店」ができるまで
第Ⅰ部  「注文をまちがえる料理店」で本当にあったものがたり
第Ⅱ部  「注文をまちがえる料理店」のつくりかた
Epilogue 「注文をまちがえる料理店」のこれから

あさ出版
239ページ
2017年11月9日第1刷発行
本体価格 1400円
電子書籍あり著者 小国士朗
2003年テレビ局入局。
情報系のドキュメンタリー番組を中心に制作。2013年に9か月間、社外研修制度を利用し大手広告代理店で勤務。
その後、番組のプロモーションやブランディング、デジタル施策を企画立案する部署で、ディレクターなのに番組を作らない“一人広告代理店”的な働き方を始める。
スマホアプリやSNS向けのサービスの企画開発の他、個人的プロジェクトとして、認知症の人がホールスタッフをつとめる「注文をまちがえる料理店」などをてがける。

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箱根駅伝コトバ学 生島淳

「主務の気が利いている学年は、そのチームも強くなる」

本の題名にもあるように、箱根駅伝に関する40本のコラムです。
箱根駅伝…毎年1月2日に往路、3日に復路と二日間に渡り、往路107.5 km、復路109.6 kmを学生が襷を繋げる正月の風物詩にもなっています。
スポーツライターの著者がTVの中継だけでは伝わらない舞台の裏側を知ることができます。

おススメ度
★★★★
箱根駅伝のファンは勿論のこと、スポーツ好きな方におススメです。
1つの記事が4ページなのですきま時間に読めます。

【感想】
そもそも箱根駅伝に興味を持ったのは2年前です。
箱根駅伝を目指す大学生を書いた三浦しをんさんの小説「風が強く吹いている」を読んでから。
お正月には箱根駅伝を見る様になりました。

本書は2013年に書かれているので、当時に活躍していた選手も何人か登場します。
現在も実業団で活躍しており、東京オリンピックを目指している選手もいます。
コラムでは選手だけでなく監督、元選手、駅伝を走る選手だけでなくその裏方の「主務」にもスポットを当てています。
主務はマネージャーの様な役割で元々は駅伝を走りたかった選手がケガをしたり、タイムが振るわなかったりと様々な理由で、主務に専念することになるのです。
そこに至るまでには葛藤もあっただろうと綴られています。

箱根駅伝は大学対抗なので、勿論学生としての「卒論」や「就職」といった内容もあります。
予選会の雰囲気や学連選抜でのちょっといい話もあり、にわか箱根駅伝ファンの私には、面白く読めた1冊でした。

ベースボール・マガジン社
183ページ
2013年11月20日第1刷発行
本体価格 1300円

【目次】
はじめに
第一章 人
第二章 歳時記と生活
第三章 土地、場所
第四章 練習
第五章 レースの周辺
おわりに

著者 生島淳
1967年宮城県生まれ。
早稲田大学卒業後、広告代理店に勤務しつつライターとしても活動。
1999年にスポーツライターとして独立。
駅伝をはじめとする国内スポーツ、MLBなどアメリカスポーツに精通している。

著書
『大国アメリカはスポーツで動く』
『監督と大学駅伝』
『箱根駅伝』など多数

生島淳 ツイッター

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