「いづみさん」 今日マチ子(マンガ)・青柳いづみ(文)

「秘密を守れない=嘘をつくのが下手な私」

本の最初には女優青柳いづみさんのポートレート。
そのあとに「声」「口紅」「窓」など24のエッセイが綴られたている。

ページの下には青柳いづみさんのエッセイ。
その上にはエッセイの文章に絡めて、今日マチ子さんのマンガが描かれている。
時にはエッセイの補足であったり、全く別の話であったり…。

本番が近づくとご飯が食べられなくなり、お風呂や本を読むことや音楽を聴くことさえもできなくなる。
本能の赴くままに行動をするので、白い衣装を着たままミネストローネを食べたり、片づけもしなくなり思考停止の状態に陥って、たくさんの人に迷惑をかける…と綴ってある。
それぐらい本番に向けて精神が集中していく様をサラッと書いているが、舞台にかける集中力が研ぎ澄まされていくのを感じる。

舞台女優、青柳いづみを知る1冊。


【感想】
今日マチ子さんのマンガが青柳いづみさんのエッセイをよりミステリアスにしています。
1ページの上段がマンガ、下段がエッセイになっていますが、マンガだけを読み後でじっくりエッセイを読むのもいいかもしれません。

私は同時並行で読みました。
実はいづみさんの心のうちをマンガで表現しているのかも…。
普通ならエッセイにまつわる写真で構成しそうですが、あえてストーリーのあるマンガにすることで、違う世界に連れて行ってくれます。

演劇を見ることが無いので、青柳いづみさんのことはこの本で知りました。
ポートレートを見る限りでは、少女の様でもあり大人の女性でもあり、いくつもの表情を持っている人…という印象です。
どんな女優さんなのか舞台上でのいづみさんを知りたいと思いました。

筑摩書房
146ページ
2019年5月14日第1刷発行
本体価格 1800円


著者 今日マチ子(マンガ)
漫画家。
1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題に。
4度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。
戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。
2014年に手塚治虫文化賞新生賞、
2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。
短編アニメ化された『みつあみの神様』は海外で23部門賞受賞。

著書
『センネン画報 +10years』
『もものききかじり』
『ときめきさがし』など。

著者 青柳いづみ(文)
1986年生まれ。
桜美林大学総合文化学群にて演劇を専攻。
2007年、藤田貴大率いるマームとジプシーの旗揚げに参加。
翌年、チェルフィッチュに『三月の5日間』ザルツブルグ公演から参加。
以降、両劇団を平行して活動。
2013年3月、演出家の飴屋法水と共同で短編作品『キッチンタイマー』を発表。
8月、漫画家・今日マチ子の代表作をマームとジプシーが舞台化した『cocoon』に主演。2014年3月から5月にかけて、小説家・川上未映子の書き下ろしテキストを藤田貴大演出で一人芝居として7都市8会場で発表。

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わいたこら 人生を超ポジティブに生きる僕の方法 新庄剛志

「人から信用されるようになれば、何をやってもうまくいくようになる。

新庄剛志…1990年に阪神タイガースに入団
2001年に米大リーグ、ニューヨークメッツに入団
2004年に北海道日本ハムファイターズに入団
2006年に引退
プロ野球ファンならご存知の方も多いと思います。
懐かしの名場面集では対ジャイアンツ戦で敬遠の球を打ってサヨナラ勝ちをした場面が流れることが多い、あの選手です。

この本は新庄剛志氏のエッセイ。
私は退団後の事は何も知らなかったのですが、20億円の金を信用している人に使いこまれるという経験をしています。
この本はその話から始まっています。

倒れてもまた走り出せばいい

プロ野球選手になる前から応援してくれていたA氏にお金の管理を全部任せていた新庄氏。
阪神タイガースで活躍するようになってからもお金の管理はまかせっきり。
ATMでお金をおろす方法もわからず、後輩におろさせていた。
通帳には億単位のお金が入っていた。

使いこみがわかったのは引退してから。
バリ島を本拠地にするためにA氏からお金を受け取ろうとして残額を聞くと「2200万円」
その後、A氏は自己破産をしたためお金は8000万円しか戻ってこなかった。
新庄氏はそのままバリ島で過ごしている。

新庄氏はすぐに人を信用するタイプなのかと思えばそうではない。
新しいスタッフを雇う時には100万円を銀行に振り込みをお願いする。
封筒の中にはわざと1万円を多く入れて渡す。
戻ってきたスタッフが多かった1万円の事を正直に言うかどうかを試す為に。
しかし、一度信用してしまうととことん信じてしまう。

バリ島では新庄氏の事を知っている人は居ないので、自由に楽しく過ごせる。
「これからは毎日楽しく生きるだけ。とにかく楽しく生きることだけを考える」
と決めて自分の人生を自分のために使うことを決意する。

できないことはやらない。できることに集中する。
できないことは笑いに変えてしまえばいい。

 この本で新庄氏は文字が読めないことをオープンにしている。
教科書だけでなく漫画もみんなと同じ様には読めなかった。
読める部分をつなぎ合わせて自分なりに解釈をしていたので、友達とも話が合わなかった。
ここで文字が読みやすいように工夫するのではなく彼は決意する。
「漢字とかカタカナとかもういらない」
「勉強しなくても、野球だけやっていればいいや」

それだけではなく、自分にあるものに目をむけた…とある。

プロになってからも練習には人一倍時間をかけている。
それも人目につかないところで。
練習なんか全然してないふりをして、試合になったらホームランを打つ。
みんなから「天才だ」と言われる。
新庄氏の理想のスターの姿であり、そうなるために努力はしていた。

大事にする3つのこと

1.いつも明るく生きる
2.いつも未来のことを考える
3.自分の人生は、自分で舵を取る

【感想】
 波乱万丈とはこのことだ…と読み終えての感想です。
でも憎めない。
現役当時から知っていましたが、かっこよかった。
ファンからそう思われるための努力をしていたことが綴られています。

本当かな?と思っていた、使っていたグローブはプロ野球選手になってもらった給料で買った7500円で、引退するまで使い続けていた…というエピソードもそのまま載っていて、本当だったんだとびっくりしました。

そこに居るだけで場の雰囲気を明るく変えてしまう。
それは決して天性のものではなく、家族や本人の努力によるものなんだと感じました。
ハンディがあってもそこに捉われず、自分のできることを突き詰めていく。
読んで元気をもらいました。

プロ野球ファンでなくても、自己啓発書として読める本です。

【目次】
プロローグ 僕は見事に、しくじった
第1章 人生のどん底で、僕はこんなことを考えた
第2章 「スター・新庄」ができるまで
第3章 僕が持っていた運と、不思議な力
第4章 家族のこと
第5章 そして、今の僕のこと
エピローグ これからの、僕のサクセスストーリー

学研プラス
265ページ
2018年10月2日第1刷発行
本体価格 1300円
電子書籍あり

著者 新庄剛志
1972年生まれ、福岡県出身。
元プロ野球選手。
1990年阪神タイガースに入団しチーム低迷期を支えた後、2001年メジャーリーグに挑戦。ニューヨークメッツ、サンフランシスコジャイアンツで活躍。
日本人初のメジャー4番、日本人初の満塁本塁打、日本人初のワールドシリーズ出場など、数々の記憶に残るプレーで米国のファンをも魅了した。
2004年に日本球界に復帰、北海道日本ハムファイターズに入団し優勝にも貢献。
プロ野球引退後は数々の話題を振りまきつつ、バラエティー番組やCM等にも多数出演している。

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世界を、こんなふうに見てごらん 日高敏隆

今回は、ラジオ「ホンスキー倶楽部」で4月28日の放送で紹介した本です。
テーマは「春」

◎あらすじ
動物行動学者の著者が語る、いきものから学んできたこと。
虫や動物とおしゃべりするように観察を続けて、見えてきたことをやさしい言葉ながら鋭く綴るエッセイ。

◎みどころ
子どもは観察することで学ぶ時間を持つけれど、そこにあるのは「なぜ?」かと疑問に思う心。
動物学では、動物が今の形になった原因を追及し、その中で体の仕組みと苦労を知っていきます。
それぞれの動物は自分の体の作りに合わせた環境と世界で生きています。
そして人間は動物とは別の環境で生きています。

人間は死を予想して、政治体制まで作る生き物。
けれど人間以外の動物は死がわからないようです。
人間は今目の前にないものをイメージできます。
つまり幻も幻でないと思い込んで世界を作ることができるのです。

著者はこれをイリュージョンと言っています。
それは理屈だったり、時代の流れによって変わる思想だったりします。
こうあるべきだという前提があり、そこから始めたときに見逃すものがあるかもしれません。
ただ目の前にあることが知りたくて突き詰めていったら分かることもあります。そんな時、常識がひっくり返るような発見があるのでしょうか。

そんな風に世界を見てみる、というタイトルはとても奥深い言葉です。
動物の具体的な事例をあげながら人生哲学までに及ぶ、知的な本です。
新しいことを始める春だからこそ、頭を柔らかくするために読んでほしい一冊。

集英社
208ページ
2013年1月18日第1刷発行
本体価格 440円
電子書籍あり

著者:日高敏隆
(1930-2009)東京生れ。
東京大学理学部動物学科卒業。
東京農工大学教授、京都大学教授、滋賀県立大学学長、総合地球環境学研究所所長などを歴任。京都大学名誉教授。
動物行動学をいち早く日本に紹介し、日本動物行動学会を設立、初代会長。
2001(平成13)年『春の数えかた』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。

著書
『チョウはなぜ飛ぶか』
『人間は遺伝か環境か?』
『ネコはどうしてわがままか』
『生きものの流儀』など。
訳書に『利己的な遺伝子』『ソロモンの指環』『ファーブル植物記』などがある。

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バカとも付き合って 西田二郎・マキタスポーツ

「おじさんたちのブルース」by マキタスポーツ

この本は、堀江貴文・西野亮廣両名の著書「バカとつき合うな」に便乗したものです。
もちろん両名の同意の元です。
西田二郎氏は読売テレビの社員、マキタスポーツ氏は芸人。
サラリーマンとフリーランスの二人がどんなことを語っているのか。
表紙までパクッてしまったこの本に興味を持って読みました。

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その落語家、住所不定。 立川こしら

「身の回りを楽しくすることにエネルギーを使った方が良い人生送れるハズ」

私はよく図書館を利用しています。
先日も図書館「予約していた本が借りることができる」とメールが来ました。
借りた中の1冊にこの本がありました。
新聞にこの本が紹介されていて、気になり予約をしたのです。
ちょうど、自分の部屋を片付けていて断捨離中でした。

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とにかく散歩いたしましょう 小川洋子

「やはり人間、ある程度引け目があった方が善良な外面を保てるという証拠なのか」

仕事が休みで天気も良いある日。
なんとなく朝から本が読みたいなぁと思い、本棚を眺めていて「これにしよう」と手に取った本です。
本好きの人たちとのオフ会で縁があって私の所にやってきました。
ちなみに私の本棚にある文庫本はほとんどが未読の積ん読本です。
この本は小説家、小川洋子さんのエッセイです。
小川洋子さんといえば、「博士の愛した数式」「人質の朗読会」「ことり」などたくさんの小説をこの世に送り出しています。

46のエッセイの中には、それ以上の本が紹介されています。
昔に一度読んだきりの小説を読み返すと、自分が思っていた内容と違っていたことが書いてある章があります。
「走れメロス」はメロスが最後に死んでしまうと思っていたら、読み返したらハッピーエンドだった。
カミュの「異邦人」では主人公のムルソーを殺したのはガールフレンドのマリイと思っていたら、名もわからないアラブ人だった…。
この章を読んだときに、「きっと私にも内容を思い違いをしている小説があるに違いない」
と思いました。
私には幼少の頃から妄想するのが大好きで、きっと読んだ話を自分の都合よく解釈しているだろう…いや絶対そんな本がある!!(笑)
昔に読んだ本を読み直してみようかと思いました。

本の表紙にもあるように愛犬「ラブ」の話。
桜文鳥の「ぶんちゃん」を買うに至った経過も面白く、小川洋子さんに親近感をもちました。
そう、近所に居そうなんです。

「若草物語」を読んで手芸をしたくなり、かぎ針に挑戦するくだりは「あ~、わかる~」と思い、通販のセットを購入しその説明文に四苦八苦しできたと思ったら…。
意外なところで勘違いしていた…あるあるです。

この本を読むと出てくる言葉を検索し、紹介されている本が読みたくなります。
実は知的好奇心をくすぐられる一冊なのです。

文春文庫
255ページ
2015年7月10日第1刷発行
本体価格 660円
電子書籍あり

著者 小川洋子
1962年岡山生まれ。
早稲田大学文学部文芸科卒業。
1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。
1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。
2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。
『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、2013年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
翻訳された作品も多く、海外での評価も高い。


著書
『ホテル・アイリス』
『沈黙博物館』
『アンネ・フランクの記憶』
『薬指の標本』

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