「12歳の文学」 小学館文庫

今回は私のラジオ番組「ホンスキー倶楽部」5月12日放送で紹介した本です。

東京都 ラジオネーム 泰子さん
『12歳の文学』小学館文庫


➀ この本のおすすめどころ
小学生作家さん達が書いた小説ですが、同年代の方が読む事で、共感できる部分もあるのではないかと思いました。 
また、大人の立場で読むと、当時の自分を振り返ったり、子供の気持ちに寄り添う事が出来たりするのではないかと思いました。
小学生作家さん達が、時を経てこの本を、自分の作品を振りかえって書いた文章もあり、とても興味深かったです。

② この本との出会い
『12歳の文学』は読書メーターで、読み友さんの投稿を見て知りました。

➂ 子どもの頃の思い出
子供の頃は、交われない子だったと思います。
一緒に遊んだりしましたが、興味の対象が周囲と違う…(今もそういう部分がありますが)この本を読み、読書が大好きだった(他に楽しめる選択肢が少なかった)小学生時代を思い出しました。

父が買ってくれた『少年少女世界の名作文学全集全50巻』?だったと思いますが、これが読書が好きになったきっかけでした。
読書が好きだった当時のメリットとして、国語の成績は、漢字の書き取り以外はほぼ満点。デメリットとして、勉強はしなくても何とかなる…という、安易な考えがどこかに根付いたようで、高校時代は陸上競技に熱中し、成績は散々でしたが、ミュージシャンという仕事と、子育てから解放された後、再び本を読むようになりました。

書く事を考えるようになったのは、中学3年の時の英語の先生との出会い。
詩も書いていた先生に抱いた淡い思いが懐かしいです。
今は読書感想文しか書きませんが。
ごめんなさい、話がそれてしまいました。

【12歳の文学】

小学生限定・新人公募文学賞として二〇〇六年にスタートして以来、多くのメディアで取り上げられ注目されている「12歳の文学賞」初代受賞作・上位作品を収録した本です。
「さよなら田中さん」の著者鈴木るりかさんもこの賞の受賞者です。
なんと鈴木さんは、小学4年生から6年生まで史上初の3年連続大賞を受賞し、受賞作をまとめたデビュー作『さよなら、田中さん』には、大賞受賞作の2作も収録されています。

小学校を卒業する”12歳”を迎えられた機会に、「12歳の文学賞」自体が「卒業」というかたちで、区切りをつけたいと考えています…ということで終了しています

12歳の文学賞サイト

https://sho.jp/12sai

タカラモノ 和田裕美

「あんたな、幸せになりたいんやったら、誰かのせいにしたらあかん」by ママ

【あらすじ】
保美(ほのみ)は、姉と父母との4人家族。
ママは小学校2年生の時から「喫茶&スナック シャレード」を始めて私だけのママじゃなくなった。

ママはちゃんと晩御飯を作ってくれている。
おかずにラップをかけて「今日のごはん」って書いてある。
伝言ノートを作ってママとお姉ちゃんとの交換日記になっている。

ママはいつも真っすぐに生きている。
保美が悩んでいるときもママは励ましてくれる。
「ほのみはママの”タカラモノ”ママは幸せ」

そんなママはモテモテ。
おぎちゃん、りゅうちゃんに宮田。
ママの妹のみっちゃんはママのお店を手伝っていて、ほのみがグレずに真っすぐに育っているのを不思議がる。
ほのみはママの彼氏の宮田が嫌い。

ある日「ママ、しばらくいれへんことになるねん」と言う。
宮田が人に騙されて借金ができて、岡山の知り合いのところに身を寄せることになり、ママもそっちに行く…私は来年高校3年生になるのに。
進路も決まってないのに…。
私はいつしか大学生になっていた。


単行本「ママの人生」の文庫化

【感想】
保美のママはどんなときも正直に生きています。
自分にも家族にもウソは言いません。
全力で物事にぶつかっていきます。
子どもにも彼氏にも。

物語は保美の目線で進んでいきます。
保美の物語の様に見えて実はママの物語となっています。

子どもを置いて彼氏と一緒に家を出るママ。
私の母親と一緒や…。
この物語のママと私の母親との違いは私の母親はそのまま帰ってこなかったこと。
あらすじには書いていませんが、ほなみのママは帰ってきます。
ほなみもお姉ちゃんも泣いて、怒って「勝手すぎるわ」と本音をぶつけ
ママも「ごめんな」と謝ります。
ここのくだりを読んで「よかった」と思う私と「羨ましい」と思う私がいました。

ママの言葉には力があります。
彼氏とご飯代を割り勘にするお姉ちゃんに向かって
「あんたの優しさに甘えている男はあかんようになる。それは同時にあんたがあかんようにしたってことになるねん」
「わざわざむすっとして『あなたが嫌い』という態度をとるのはアホのやること」
「自分の人生は自分だけのもの。世間とか、常識とかまったく及ばないことや」

小説の中に人生の教訓がいくつも隠されています。
前編関西弁で書いているのも親近感を覚えた一つです。
ここに出てくるママは実際に居てそうです。

双葉文庫
280ページ
2019年6月13日第1刷発行
本体価格 620円

著者 和田裕美
作家・ビジネスコンサルタント京都出身。
外資系教育会社での勤務経験から『世界No.2営業ウーマンの「売れる営業」に変わる本』を上梓しデビュー。
著書の累計は 220万部を超え、女性ビジネス書作家の先駆けと呼ばれている。
華々しい経歴の陰にあった家庭環境や自身の 極度な引っ込み思案を背景に書いた絵本『ぼくはちいさくてしろい』は道徳科教科書『いきるちから』に掲載されている。
NHK Eテレ「芸人先生」レギュラー出演などメディアでも活躍中。

著書
『成約率98%の秘訣』
『人に好かれる話し方』
『人生を好転させる新陽転思考』
『和田裕美の営業手帳』など著作多数。

和田裕美オフィシャルブログ

和田裕美ツイッター

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ユニクロ潜入一年 横田増生

「勤務時間中にボーっとしていようものなら時給泥棒のように見られるのがユニクロという職場である」

著者の横田氏はこの本の前に「ユニクロ帝国光と影」を出版している。
ユニクロは出版社の文藝春秋を相手に名誉棄損で訴える。
裁判ではユニクロ側が敗訴となったが、2011年以降決算報告に横田氏は参加できなかった。
社長の柳井氏が直々に決算会見への参加のお断りとの伝言を部下に伝えていた。

柳井氏は雑誌プレジデントで「会社見学をしてもらって、あるいは社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたいですね」と語っている。
この文章を読んで横田氏は「この言葉は、私への招待状なのか」潜入取材をしてみろと言う柳井氏からのお誘いだと思い、実際に潜入取材をするキッカケの一つとなる。

横田氏は本名では門前払いになるので、名前を変えることにする。
一度奥様と離婚をし、奥様と再婚する際に奥様の性を名のることで名前を変え、履歴書は弁護士に見てもらい、裁判になることも予測して万全を期して臨む。

横田氏は2015年10月~2016年12月までの間に、イオンモール幕張新都心店、ららぽーと豊洲店、ビックロ新宿東口店でアルバイトとして勤務。
中国とカンボジアにあるユニクロの工場にも現地取材を行っている。

人件費は1円でも安く

即日採用、翌日出勤となり現場へ赴く。
アルバイトは日本人だけでなく外国人労働者も居る。
特にビックロ新宿東口店ではその比率が高い。
外国人労働者が増える理由はアルバイト代が安いからである。
時給1000円、東京の新宿でこの金額である。
人件費は1円でも安い方がいいというのがユニクロの考え方なのだ。

大学生も多く、感謝祭など繁忙期は人手が足りなくて連勤になり大学の授業に出られないといったケースも複数ある。
体調を崩して辞めていくケースも書かれてある。

閉店後は空になった棚に商品を陳列していく。
売り場が広い店舗だと品出しの量も多い。
夜には派遣社員が来て品出しを行う。
派遣社員の時給は午後10時~午前5時までが1500円。
本来なら派遣社員は使いたくないのだろうが、棚に商品が無い状態は作れない…背に腹は代えられないのでやむなしなのであろうとと推測している。

社長こそが潜入取材を !!

最後に横田氏は柳井社長に提案をしている。
社長こそが潜入取材をするべきだと。
NHK BSプレミアムで放送されていた「覆面リサーチ ボス潜入」という番組を紹介している。(本番組は終了しているが動画で見ることができる)
企業のトップが名前を変えて変装をし現場に入り、実態を知ることが必要であると。
柳井氏は店舗に足を運んではいるがそれは「社長」としてである。
あらかじめ社長が来るとわかっていれば体裁を整えて当たり前。
普段の様子をみることはできない。

【感想】
ユニクロでアルバイトをしようと思っている人は一読をおススメします。
業務内容が細かく書いてあるので予備知識として読んでおくと、現場に出たときに予測がつきます。
それぐらい細かく内容が書いてあります。

読んでいて感じたのは柳井社長は勉強家でいろいろなことを吸収し、柔軟な発想もできる人なのではないか…。
そして自分の周りにはイエスマンしか置いていないのではないかということです。
だからこそ、いろいろな事を思いつきすぐに実行し激を飛ばす。
しかしそれは前回言った事と180度違うこともあります。
それがそのまま社長言葉として「部長会議ニュース」として各店まで配布される。
現場に居るものはたまったものではありません。

本書にもありましたが「トップダウンであってボトムアップはない」
一代で築き上げたトップにありがちです。
私が過去に勤めた会社にもよく似たような社長がいました。
ユニクロと違い規模の小さな会社なので大きな混乱はありませんでしたが、それでも社長の思いつきは「今回のはいつまで続くのか」と社員の間で噂になっていました。

この潜入取材から約3年経っていますが、その後ユニクロは従業員にとって少しでも働きやすくなったのか…気になるところです。

インターネットで著者の横田氏と元ユニクロ社員との対談を見つけました。


元社員が実名で語る「ぼくがユニクロを辞めた理由」

【目次】
はじめに
序章  突きつけられた解雇通知
第一章 柳井正社長からの”招待状” 
第二章 潜入取材の始まり
第三章 現場からの悲鳴
第四章 会社は誰のものか
第五章 ユニクロ下請け工場に潜入した香港NGO
第六章 カンボジア”ブラック告発”現地取材
第七章 ビックロブルース
終章  柳井正社長への”潜入の勧め”

文藝春秋
302ページ
2017年10月25日第1刷発行
本体価格 1500円
電子書籍あり

著者 横田増生
1965年、福岡県生まれ。
アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。
1993年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、1999年フリーランスに。著書
『ユニクロ帝国の光と影』
『アマゾン・ドット・コムの光と影』
『評伝 ナンシー関―心に一人のナンシーを』
『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』など

瞬読 山中恵美子

「読むから書き出すまでが瞬読」

 本を読んでレビューを書いているので、できるだけ早く本を読むことができないかと日ごろから考えています。
そんなときに大手書店で出会ったのがこの本。
帯に「1冊3分で読めて、99%忘れない読書術」とあり疑心暗鬼に(笑)
パラパラと見てその日は棚に直しました。
 ある日、いつもいく近所の小さな書店に行くとこの本が置いてあります。
「あれ? ここにも置いてある」と気になり再度ペラペラとめくって、試しに…と購入しました。

右脳をフル活用

◆瞬読の真髄=右脳を使うことで潜在意識に働きかける
 ・読む(input=右脳)をして書き出す(output=左脳)
 ・書き出すのは概ね原稿用紙1枚程度(400字)
 ・書くことで脳に刺激することにつながる
 ・本から取り込んだ知識を記憶として定着させる
 ・目指すは「情報処理」
◆音読厳禁
 ・目的に応じて読み方は変える
 ・瞬読では情報処理を最優先にさせる
◆キーワードは右脳
 ・視覚的に記憶された「映像」は記憶の中から情報として比較的容易に引き出すことができる

 ・右脳への働きかけで本を読む速度が向上すると脳全体も活性化
  →理解力や記憶力など多くの能力も連動して向上する
   1.情報を受け止める力
   2.反復練習を行う力
   3.情報を処理する力

本は読むものではなく見るもの

◆トレーニングの実践的な方法
 ・1ページ10秒程度ずつ眺めてページをめくり目でそれを追うだけ
 ・文字の全部を読もうとしたり意味をとろうとしない
◆ステップ1 変換力を鍛える 
 ・脳は「バラバラに見える文字」を「すでに知っている情報に変換しよう」とする
 ・制限時間内で行う
◆ステップ2 イメージ力を鍛える 
 ・文字をイメージとして受け取り(インプット)ビジュアルとして連想(アウトプット)する
◆ステップ3 本を右脳読み 
 ・なるべく多くの文字を一度に見るようにする
◆ステップ4 本の内容をアウトプット
 ・インプットした情報をアウトフィットする
  箇条書きや印象に残った単語を書くのでもOK
  手書きで行う→手先を動かすことで脳を刺激する

【感想】
この本を読んだだけでは瞬読はできません。
前半は瞬読の解説
後半には瞬読ができるようになるトレーニングがあります。
最初のトレーニングは言葉がバラバラになっているのを見て元の単語を連想します。
カタカナ、漢字、ひらがなと漢字、3文字から10文字前後とバリエーションに富んでいます。
後半は文章を見てそれを写真や絵の様にイメージします。
どちらも1秒以内で見ると制限時間があります。

やってみての感想はカタカナだけひらがなだけより漢字が混じっている方が変換しやすいと感じました。
もう一つ感じたのはいろんな語句を知らないと変換ができないという事です。
例文で「小路篤者実武」とありますがこれは「武者小路実篤」です。
この人のことを知らなければ変換はできません。
文章をイメージするのトレーニングは普段小説をよく読むかたなら自然とできるような気がします。

三日坊主なのでトレーニングは2日くらいしかしていませんが、本を読むときに面で捉えるようにはなりました。
小説を読んでいても「この文章は一言一句追わなくてもいい」と思うと面で捉えてページをめくる様になり少し読むのが早くなったような気がします。

【目次】
はじめに
第1章 「瞬読」は、従来の「速読」とはまったく別物である
第2章 えっ、これだけ!? 瞬読はこんなに簡単にマスターできる !
第3章 瞬間トレーニング ステップ1「変換力を鍛える」
第4章 瞬間トレーニング ステップ2「イメージ力を鍛える」

SB Creative
214ページ
2018年11月10日第1刷発行
本体価格 1400円
電子書籍あり著者 山中恵美子
1971年、兵庫県生まれ。
甲南大学法学部卒業。
一般社団法人瞬読協会代表理事。
SSコミュニティ株式会社代表取締役社長。
大学在学中に日本珠算(そろばん)連盟講師資格取得。
学生時代より、母親の経営するそろばん塾にて、指導を開始。
卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。
2003年、自身のそろばん塾を開校。
現5教室、のべ2,000人以上を指導。
2009年、学習塾を開校 

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天地ダイアリー ささきあり

「結果を引き受ける覚悟があれば、自由になれる。うまくいかなければ、方向を変えればいいんだ」by 広葉

【あらすじ】
広葉はチチの転勤で転校を繰り返している。
小学生の時に馴染もうとして軽く発した言葉が空回りしてしまう。
それからマスクをつけないと学校へ行けなくなってしまった。

中学1年生になった広葉は、新しい学校へ行く。
知っている人は誰一人居ない。
できるだけ目立たないようにと心がける広葉。

転校した中学は委員会が活発だった。
どれかに入らなければならない。
広葉は栽培委員会に手を挙げた。

委員会は全学年参加で三年生が委員長と副委員長になる。
3つの花壇をまわり、それぞれの説明を受け土を入れ替える天地返しを始めた。
思っていたよりすることが多く、面倒だと思いながらも花や土に少しずつ詳しくなる広葉。

クラスでは後ろの席の工藤とアニメの話が合い仲良くなる。
友達ができたが広葉はマスクを取る勇気がない。

クラスでは体育祭に向けて、ムカデ競争の練習が始まる。
楽しくやろうとする女子チームと1位になるために必死に練習する男子チームとで言い合いになる。
クラスで話し合い棄権することも含めて考えることになる。
このままクラスはバラバラになってしまうんだろうか…。

そんなときに仲が良かった工藤とケンカになる。
工藤がふざけて振り回していた傘が花壇に入り花がつぶれてしまったのだ。
またクラスでの居場所を失った、と感じる広葉。

栽培委員で植えたペチュニアの花壇が水はけが悪く、花がダメになりそうになっている。
雨がバケツをひっくり返したようなどしゃぶりになり、広葉はペチュニアをなんとか助けたくて家にあるブルーシートを持って学校へ走る。

学校へついて花壇にブルーシートをかけようとしていると、同じ栽培委員の生徒や担当の先生もやってきてみんなでシートをかけることができた。
工藤ともお互いに「ごめん」と謝り仲直りができ、シートをかける作業を手伝うことに。
このことがきっかけで広葉はマスクを取って学校に行けるようになった。

体育祭のムカデ競争も男女のリーダーがお互いに認め合い練習を再開する。
当日は1位にはなれなかったが、総合で3位になることができた。
クラスにも馴染み、栽培委員も順調でマスクにも頼らなくなった広葉。

栽培委員の活動が認められて学校説明会で活動紹介をすることになった。
全校生徒や入学希望者の前で発表するプレゼンテーションの編集作業を広葉が自ら立候補した。
果たして上手くプレゼンテーションができるのか?

【感想】
自分の意見をはっきり言える人。
勉強が出来る人。
スポーツが出来る人。
見た目が派手な人。

広葉はこういった人たちが苦手。
1年から3年までの異年齢集団の栽培委員で少しずつ自信が持てるようになる経過は、クラス以外の人間関係の場があることで違う自分を出すことができたのではないかと感じた。

大人も一緒。
仕事と家の往復だけでなく、違う人間関係の場があればもっと楽に生きることができる。
この本は児童書だけど大人が読んでも遜色ない小説です。

ペチュニアや園芸の知識も得ることができます。

【目次】
プロローグ
一、天地返し
二、育ちやすい土
三、生育に適した場所
四、合わない土
五、根が必要とするもの
六、守りたいもの
七、はじめの一歩
八、伸びていく

フレーベル館
216ページ
2018年11月24日第1刷発行
本体価格 1400円

著者 ささきあり
出版社勤務からフリーランスの編集記者を経て、児童文学の創作をはじめる。『おならくらげ』(フレーベル館)にて、第27回ひろすけ童話賞受賞

著書
「ふくろう茶房のライちゃん」
「ぼくらがつくった学校」
「やさしく読めるビジュアル伝記 クララ・シューマン」など多数

ささきあり ホームページ

ささきあり ツイッター

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三本足(トリポッド)シリーズ ジョン・クリストファー

今回は5月5日に放送したラジオ番組「ホンスキー倶楽部」で紹介した本です。
テーマは「子ども」

京都府 ラジオネーム 京都のよっしー

ジョン・クリストファー「三本足シリーズ」 ハヤカワ文庫

① この本のオススメどころ
トリポッドと呼ばれる、三本足の巨大な機械兵器を操る異星人の襲来によって地球が征服されてから、100年ほどが経った近未来。
かつて栄華を誇った科学文明は廃れ、人々は中世に戻ったような暮らしを送っていました。

子供たちはある程度の年齢に達すると、「戴帽式(たいぼうしき)」という儀式に参加して「頭の輪(キャップ)」というメッシュ状の金具を頭皮に埋め込まれます。
これにより、何の疑問も抱かず盲目的に異星人に服従するようになってしまうのです。

そんな人類の危機的状況の中、一部の大人たちと、まだ戴帽式を迎えていない少年たちが異星人へのレジスタンスを組織して、人類を救うために立ち上がって戦うというのが大まかなストーリーです。

主人公の少年ウィルとその仲間がレジスタンスとの合流を目指して旅をする、ロードムービー的要素の濃い第一部。

選ばれし少年たちが、異星人が住む巨大なドーム型の都市へ異星人の奴隷として潜入し、過酷な環境の中で異星人の弱点を探ることを主としたスパイ活動をおこなう第二部。

そしてそのスパイ活動によって、また異星人の捕虜から得た情報と、かつての科学文明の遺産である兵器を武器に、人類が異星人との起死回生(きしかいせい)の一大決戦に挑む第三部からなる三部作のジュブナイルSFで、全体を通してはもちろんのこと、一作一作が個別でも面白く、胸を熱くさせてくれるというのがオススメどころです。

初めて読んだ当時は、ウィルと仲間たちとは同い歳とはいかないまでも、そんなに歳が離れていないこともあり、余計に引き込まれ繰り返し繰り返し読み耽りました。

② この本との出会い
小学生の頃に購読していた、学研の「学習」か「科学」のどちらかで、第一部の「鋼鉄の巨人」が紹介されていて、そのあらすじと、トリポッドの触手に捕らえられ逆さ吊りとなった少年を描いたショッキングなカバーイラストに惹かれて、親にねだって三部作を一年ほどかけて買い揃えてもらいました。

当時は学研から「鋼鉄の巨人」、「銀河系の征服者」、「もえる黄金都市」が「三本足シリーズ」として出版されていました。

それが今から15年ほど前に、異星人の襲来当時の状況を描いた新作と、既存の三部作を合わせた「トリポッドシリーズ」四部作として、ハヤカワ文庫から新訳文庫が刊行され、小学生以来20年以上の時を経て、再び買い揃えて読むことができました。
残念ながら、現在では学研版、ハヤカワ文庫版とも絶版となっており、古本屋か図書館で探すしかないようです。

③ 子どもの頃の思い出
小学一年で江戸川乱歩の「怪人二十面相」と出会って以来、今と変わらずミステリーとSFをこよなく愛するホンスキー少年でした。

読み始めた本は途中でやめることができず一気読みする子で、両親からは「あんたは本読んでたら返事もせえへん」、「あんたは、もう人が死ぬ本ばっかり読んで」と半ば呆れられつつも、少し嬉しそうに言われたものです。

スポーツでは、映画「スターウォーズ」のライトセーバーのかっこよさに憧れ、小学三年から中学まで剣道をやってました。
あと野球のリトルリーグはなかったものの、地元に少年ソフトボールのチームがあり、こちらも小学三年から六年まで「4番ファースト(つまりそこそこ打つけど守備はヘタクソ)」でやってました。


著者 ジョン・クリストファー
本名サミュエル・ヨード。
1922年イギリスのランカシャー生まれ。
少年時代は南部ハンプシャーの州都ウィンチェスターですごす。
第二次世界大戦で軍役についたあと、1949年にC・S・ヨード名義で処女長篇を出版。その後、少年時代に熱中していたSFの短篇を、ジョン・クリストファー名義で書きはじめる。
1956年に発表した『草の死』で一躍脚光を浴び、ジョン・ウインダムの後継者と高く評価される。
1960年代の半ばから子ども向けの作品を書きはじめ、カーネギー賞の候補にもなった「トリポッド」シリーズが大評判となり、児童文学作家として第二の名声を得た。
2012年永眠。

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