婚活食堂1 山口恵以子

「人は何かを手に入れるためには、何かを諦めないといけないの」by 恵

【あらすじ】
四谷しんみち通りの端にある「めぐみ食堂」
食堂と名はついているが中身はおでん屋。
客席はカウンター席10席のみ。
女将の恵が一人で切り盛りしている。

常連の千波は婚活パーティーで出会ったIT企業の社長とデートにこぎつけた。
デートの先は行列のできるラーメン屋。
サプライズも無く普通にラーメンを食べ始めたので千波は店を出て「めぐみ食堂」にやってきたのだった。

千波の入会した結婚相談所は女性の方が男性よりも会費が高いので怒っているのだ。
次にやってきたのは茅子。
茅子は夫に先立たれ20代後半の娘と二人暮らし。
娘に結婚の兆候がまるでないのが悩みの種。

千波と茅子が帰った後に来たのは由利。
由利は千波と茅子の話を恵から聞きながらおでんをつついていた。
その時、恵は由利の背後に影のようなものが見えた。
一瞬だが影の中に彫りの深い男の顔が見て取れたのだ。
実は恵は10年前まではマスコミにも名の売れた人気占い師だったのだ。

今は昔ほど力は無いが、恵には上手くいきそうな男女の頭の後ろには明るいオレンジの色が見えだした。
果たして千波達は婚活が成功するのだろうか??

【感想】
蟹面や車麩がおでんの具なんだ…と驚きました。
一番驚いたのはトマトの冷やしおでん。
おでんがメインだけどお通しやちょっとした一品が出てきます。
これがまた美味しそう。
山口さんの小説はいつも満腹状態で読まないとついつい何か食べてしまいそうになります。

「めぐみ食堂」にやってくる常連の女性達の婚活が意外な展開を見せるのが読みどころです。
そこに元人気占い師の恵が、昔ながらの力が少しずつ戻ってきて、常連達の相談にのります。
女性がお一人様でも気軽に行ける食堂が小説の中だけでなく、近所にあったら行くのになぁ。
巻末についているレシピもおススメです。

おススメ度
★★★

【目次】
一皿目 復活のおでん
二皿目 呪われた山菜
三皿目 豚コマと愛の炒め物
四皿目 牡蠣のカレーでつかまえて
ご皿目 おでんは愛の言葉
『婚活食堂1』レシピ集

PHP研究所
304ページ
2019年9月7日第1刷発行
本体価格 680円
電子書籍あり

著者 山口恵以子
1958年東京生まれ。
早稲田大学卒。
会社勤めのかたわらドラマ脚本のプロット作成を手掛ける。
2007年『邪剣始末』で作家デビュー。
2013年『月下上海』で第20回松本清張賞受賞。
丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤めながら執筆したことから「食堂のおばちゃんが受賞」と話題になる。
2017年10月現在は専業作家。著書
『あなたも眠れない』
『恋形見』
『あしたの朝子』
『風待心中』
『トコとミコ』
「食堂のおばちゃん」シリーズなどがある。