ジャンヌ 河合莞爾

「『私とは何者なのか?』『私は何のために存在するのか?』ということを考え始めたのです」by ジャンヌ

「自律行動ロボット三原則」
第一原則 ロボットは人間に危害を加えてはならない。
     または、危険を看過することによって人間に危害を及ぼしてはならない。
第二原則 ロボットは所在する国の法令、及びその国が批准する国際法と条約を遵守しなければならない。
     ただし、法令の遵守が第一原則に反する場合は、この限りではない。
第三法則 ロボットは人間から与えられた命令に服従しなければならない。
     ただし、命令が第一または第二原則に反する場合は、この限りではない。

【あらすじ】
時は2060年代、人口は5000万人まで減少していた。
ケン・タカシロの家でジャンヌは家事ロボットとして迎えられた。
大手投資銀行のプロップ・トレーダーであるケン・タカシロは妻のエマ、娘のシェリーの3人暮らし。

警視庁の刑事、相崎按人がタカシロ家に着いた時には、ケン・タカシロは死体となっていた。
殺したのは家事ロボットのジャンヌ。
ロボットには三原則があり、人に危害を加えるはずはない。
なのに何故、ジャンヌはケン・タカシロを殺害したのか?

科学捜査研究所でジャンヌを調べると異常なしだった。
原因がわからないためにジャンヌを製造したJE本社がある仙台まで輸送が決定する。
相崎も唯一ジャンヌと言葉をかわした刑事として輸送の担当を命じられる。
その輸送の途中に相崎とJEの担当者、ジャンヌが乗った車が何者かに襲われる。
ジャンヌを起動させ、なんとかその場を凌ぐことができ、近くの森に身をひそめる相崎とジャンヌ。

誰がジャンヌ達を襲ったのか?
何故、ジャンヌはケン・タカシロを殺したのか?
相崎とジャンヌは無事に森から脱出できるのか?
全てが解決した先に待っているのは…。

acworksさんによる写真ACからの写真 

【感想】
読み進んでいくと、何故ジャンヌがケンを殺したのかは予想できます。
やっぱりそうなのか。
最後のエピローグで思わず顔がほころびました。
ジャンヌは優しく気高く切れ者のAIです。

設定が2060年代なので、様々な表現も振り切ってしまえばよいのに…。
と感じるのが何点かありました。
・「取り調べにはカツ丼」のフレーズ。
 今でも、それはないやろと思うのに2060年代までこんなフレーズいるのかな?
・wi-fiがまだ必要
・厚生労働省や自衛隊がそのままの名称で存在している
無理に2060年代に設定しなくても、もっと近未来設定でもこの話は成り立つのではないか??
試験的に人型家事ロボットがセレブの家には配置されている…という設定でも十分の様な気がしました。

相崎の古いモノを大切にし、こだわりはあるけどそれ以外は無頓着なキャラクターには好感が持てました。
勿論、AIのジャンヌにも。
出てくる人物は一癖も二癖もあるので、設定に「ムム…??」と思いながらも、読み切ることができました。

おススメ度
★★★

【目次】
プロローグ 涙
01 殺人者
02 三原則
03 尋問
04 襲撃
05 危機
06 脱出
07 野営
08 二日目
09 牧場
10 ジェームズ
11 傍観者
12 覗き屋
13 狩り
14 秘密
15 攻撃
16 神の論理
17 女神降臨
18 計画
19 招集
20 聖女
エピローグ 帰宅

祥伝社
314ページ
2019年2月20日第1刷発行
本体価格 1700円
電子書籍あり

著者 河合莞爾
熊本県生まれ。
早稲田大学法学部卒。
出版社勤務。
2012年に第32回横溝正史ミステリ大賞を「デッドマン」で受賞しデビュー。
その圧倒的なリーダビリティとキャラクター性でファンを増やしている。

著書
「デビル・イン・ヘブン」
「スノウ・エンジェル」
「ドラゴンフライ」
「ダンデライオン」
「燃える水」など