20 誤判対策室 石川智健

「一側面から見たら無意味と思えるものでも、立場を変えれば意味を持つのです」by 紺野

 無罪を訴える死刑囚を再調査し、冤罪の可能性を探る組織…「誤判対策室」
単行本『60 tとfの境界線』文庫本として加筆・修正した『60 誤判対策室』の第二弾です。

私は前作「60」は読んでいないのですが、ミステリー好きなので手に取ってみました。
前作を読んでいなくても大丈夫です。

おススメ度
★★★★
ミステリー好きな方におススメです。

【あらすじ】
誤判対策室は定年退職した元刑事の有馬、検察官の春名、弁護士ではないが民間企業の法務部で働いていた潮見からなる冤罪調査組織である。
半年前に冤罪事件の無罪を勝ち取りマスコミにも取り上げられていた。

ある日、三ノ輪署から有馬宛に電話があった。
三ノ輪署に出向くと「人を殺した」と自白した容疑者が一転、否認に転じた。
その容疑者は有馬を指名し、有馬以外には一切喋らないと主張する。
容疑者は紺野真司、元裁判官。

紺野は有馬に「ゲーム」を持ちかける。
拘置から二十日以内に起訴に持ち込めば有馬の勝ちとなり、刑に服す。
持ち込めなければ、有馬の娘をこの世から消す。
紺野は有馬の娘の住居や週に1回、スポーツジムに通っていることまで調べていた。

被害者は富田聡、年齢は30歳。
自宅で殺害されていた。

翌日、有馬の娘の詩織から連絡が入る。
仕事の事務所がめちゃくちゃに荒らされ「有馬英治 ゲームは始まっている」という貼り紙があった。
有馬は負けたときのペナルティが本物だと感じる。

有馬はあらためて紺野を取り調べる。
「私が起こした事件ですが、これは完全犯罪です。絶対に証拠を掴むことはできません」と言い切る。
有馬を含め誤判対策室は紺野を起訴に持ち込めるのか。
闘いは始まった。

【感想】
元刑事の有馬、現役検察官の春名、難関大学法学部卒業だが弁護士ではない潮見このなんともいえない取り合わせの3人「誤判対策室」
なんとなくバラバラ感があり、春名の独り相撲の組織かと思いきや、新たな事件を捜査するなかで、互いの強みが活かされていきます。

事件は状況証拠と容疑者の自白で起訴…と思いきや
容疑者が否認。
普通ならば、このまま容疑者の自白で起訴することになるところが、今回の容疑者の紺野は元裁判官。
あえて冤罪を再調査する組織「誤判対策室」の有馬を名指しすることで再調査となり、それも期限付き。
後半、事件は予想外の展開を見せます。
これがあまりにも予想外で…。
う~ん、被害者の富田と紺野の関係って警察が本気になったらわかるのでは???
こう思ったのは警察小説好きだからでしょうか(笑)

とはいえ、警察小説でも探偵小説でもない、冤罪を再調査する「誤判対策室」に俄然興味が湧きました。
前作の「60」も気になります。

【目次】
プロローグ
第一章 検察庁法第二十条
第二章 二十日
第三章 刑事訴訟法第二十条
第四章 20FPS
第五章 二十画素
第六章 二十号手当
終章  二十年
エピローグ

講談社
295ページ
2019年8月19日第1刷発行
本体価格 1600円
電子書籍あり

石川智健
1985年神奈川県生まれ。
2011年に『グレイメン』で第2回ゴールデン・エレファント賞大賞を受賞。
翌年、同作が日米韓で刊行となり作家デビュー。
2018年には『60―誤判対策室』がドラマ化され注目を集める。
現在は医療系企業に勤めながら、執筆活動に励む

著書
「経済学捜査員 伏見真守」
「もみ消しはスピーディーに」
「法廷外弁護士・相楽圭 はじまりはモヒートで」など

石川智健 ツイッター

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