ノースライト 横山秀夫

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「いるんだよ。世の中には。言葉でぐたぐた説明しなくても、通電するみたいに心がシンクロする相手が」by 岡嶋

横山秀夫さんは私が好きな作家さんの一人。
単行本になっている小説はほぼ読んでいます。
前作「64」も上下巻になっているのも関わらず一気に読みました。
今回は最新作。
ワクワクしながら読みました。

おススメ度
★★★★
ミステリー小説ですが刑事が活躍する話ではありません。
新聞記者も出てきません。
横山さんのこれまでの小説と比べるとちょっと変わったミステリーでした。
意外な結末に驚きです。

【あらすじ】
主人公は一級建築士の青瀬。
結婚していたが離婚し、元同僚が経営する建築事務所で働き、一人娘とは月に一度会っている。

青瀬の元に家を建てて欲しいという夫婦がやってきた。
夫婦は大手出版社が出した「平成住まい二〇〇選」に青瀬が建てた「Y邸」が載ったのだ。
その本を見て現地まで行き実際に信濃追分のY邸を見て、青瀬に依頼をしたのだった。
その夫婦は青瀬にとって気になることを言った。
「誰も住んでいないみたいだった」

「Y邸」の依頼者の吉野家は夫婦と子供が3人の5人家族。
今、住んでいるところを引っ越して新しく建てた家に引っ越す予定だったのだ。
吉野は4000万円の予算で建てる家に対しては「すべてお任せします。あなた自身が住みたい家を建ててください」だった。
青瀬は渾身の思いで「北向きの家」を建てた。

気になった青瀬は電話をかけてみたが留守番電話。
携帯電話にも繋がらなかった。
「Y邸」を見に行く青瀬。
玄関はこじ開けられた跡があった。
中に入るとそこは何も無かった。
ただ2階にある10畳の部屋にはひじ掛けのついた簡素な木製の椅子が一脚あった。
この家に持ち込まれたのはこの椅子だけだった。
青瀬と一緒に来た社長の岡嶋の一言「この椅子はタウトじゃないか?」で青瀬はこれまで関心が無かったブルーノ・タウトについて調べていく。
タウトを調べていくうちに新聞記者と懇意になり、タウトが住んでいた場所へも案内されそこで、色々話を聞くうちに「吉野」という言葉が出てくる。
依頼者の吉野は見つかるのか?
北向きの家が空き家になっているのは何故なのか?

同時期に青瀬の会社には地元の画家でもう亡くなっている「藤宮春子」のメモワール館を市が建てるコンペに参加するために準備を進めていた。
社長の岡嶋はコンペに参加できるようになったと報告。
弱小建築設計会社がコンペで勝ち抜くことはできるのか?

【感想】
う~ん…これまでの横山作品とは、ひと味もふた味も違うミステリーでした。
冒頭にも書いたように、この小説はミステリーなのに刑事も新聞記者も主役ではありません。

北向きの家「ノースライト」の家を建てた建築士の青瀬が主役。
それも日本に数年間居た「ブルーノ・タウト」の事が詳細に書かれていて、まるで原田マハさんの「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」の様でした。

この小説では「吉野一家はどこへ行ったのか」そして「メモワール館のコンペは上手くいくのか」の二本立てになっていて、この二本立ての中に青瀬の家族、岡嶋の家族が織り込まれていきます。
夫婦とは、父と子の関係など「家族」がキーワードの小説です。

建築には全く興味がない私ですが、ブルーノ・タウトが建てた熱海にある日向邸には行ってみたいと思いました。

横山秀夫氏か「ノースライト」について語っているインタビュー記事があったので紹介します。

BookBang 横山秀夫インタビュー 

新潮社
426ページ
2019年2月28日第1刷発行
本体価格 1800円
電子書籍あり

著者 横山秀夫
1957年東京生まれ。
新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、作家デビュー。
2000年「動機」で日本推理作家協会賞受賞。
2012年刊行の『64』は各種ベストテンを席巻し、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー最終候補やドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれた。
『ノースライト』は作家生活21年目の新たな一歩となる長編ミステリー。著書
『半落ち』
『第三の時効』
『クライマーズ・ハイ』
『看守眼』など

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