さすらいのキャンパー探偵 降らなきゃ晴れ 香納諒一

「おまえさんにゃ、この世界は向かないよ。足を洗ってよかったのさ」by 高峰

キャンパーとは、英語でキャンピングカーの事。
主人公の辰巳の愛車はフォルクスワーゲンバス。

おススメ度
★★★
主人公の辰巳が関わる3つの事件が掲載されています。
サラッと読めてしまいます。
ミステリー好きな人におすすめ。

【あらすじ】
主人公の辰巳はカメラマン&探偵稼業の二足の草鞋。
愛車のフォルクスワーゲンバスをキャンパーと呼び、家には殆ど帰らずキャンパーで様々な地を巡り写真を撮っている。

仕事で富士山を撮ろうと粘っていると、地元で富士山の写真を撮っている白井が声をかけてきた。
白井はプロのカメラマンに会ったことが嬉しくて辰巳にフルネームを尋ねる。
辰巳は白井と別れ川口湖畔にある道の駅で駐車場の端っこのなじみの店舗に顔を出した。
店が閉まった後も、店の店主である矢崎夫婦や辰巳と同じ車中泊の人たちとで宴会が始まった。
白井もひょっこり現れ一緒に時間を過ごすことになる。

宴会の最中に駐車場の先から怒鳴り声が起きた。
車上荒らしだ。
犯人は捕まらず取られたのは白井のカメラだった。

思った様な富士山の写真が撮れず締め切りが迫った辰巳は白井の写真を代わりに使うことを考える。
矢崎に白井の連絡先を聞き訪ねて行くと白井はアパートの部屋で死んでいた。
アパートで白井の息子と娘に偶然出くわす。
辰巳は名乗り白井の写真を使わせて欲しいことを二人に告げる。

その夜、娘の寿子から辰巳に連絡が入った。
探偵の辰巳に、弟が警察に逮捕されそうなので助けて欲しいという依頼だった。
あらためて白井の部屋に入りパソコンを操作するとこの半年間のデータが消去されていた。
仏壇の写真を尋ねると寿子は「母ではない」という。
白井は家族を捨てて寿子の元へ行ったのだった。

白井を襲ったのは一体誰なのか?
そして動機は?

【感想】
短編が3作品なので長編のミステリー小説と比べると事件や人間関係が綿密には書かれていません。
主人公の辰巳は探偵ですが、探偵で生業を立てているのではなく、カメラマンとしての側面が強く描かれています。
それだけにミステリーが苦手な人も、読みやすい小説となっています。

私は個人的に辰巳の生活スタイルに憧れました。
元々、私もフォルクスワーゲンバスが欲しいと思っていて、その車で写真を撮りながら時間やお金に縛られることがない辰巳がとてもとても羨ましいのです。

私も辰巳のような生活を送る!!
そんなことを決意した一冊でした。

双葉社
280ページ
2019年8月9日第1刷発行
620円

著者 香納諒一
1963年横浜市生まれ。
早稲田大卒。
出版社勤務の傍ら小説を執筆し、1990年に『影の彼方』で第7回織田作之助賞佳作入選。
1991年「ハミングで二番まで」で第13回小説推理新人賞を受賞し小説家としてデビュー。1999年「幻の女」で第52回日本推理作家協会賞を受賞。

著書
「噛む犬 K・S・P」
「虚国」
「熱愛」
「心に雹の降りしきる」など。