事故調 伊兼源太郎

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「問題は、向かい会わねばならない事柄から逃げるかどうかだ」by 阿南

事故調…事故調査にあたる組織の略称。事故調査委員会としての組織形態をとることがある。(ウィキペディアより引用)
おススメ度
★★★★
著者が元新聞記者なので話の展開がリアルです。
警察小説やミステリーが好きな方にはおススメです。

【あらすじ】
志村市の人工海岸で陥没事故が起き9歳の少年が意識不明の重体となる。
志村市の広報課に再就職した元刑事の黒木は被害者の長田家を訪問するが水をかけられる。
なぜ、市長がこないのか?
なぜ、すぐにすぐに来ないのか?
なぜ、謝罪はないのか?

黒木は上司から「謝罪はするな」と言われていた。
市長じきじきから黒木は事故原因と県警の動きを探るように命じられる。
それは事故の責任が市にならない様にと含められていた。

当時の資料を見直していると、1冊ファイルが見当たらない。
と、同時に黒木の家のポストに内部告発の様な内容の封書が入る。
当時工事に携わった関係者に会い話を聞いていくと、市の責任を感じる黒木。

正式の事故調が立ち上がることになった。
委員長は志村大学工学部の佐藤教授。
佐藤教授の一言で決まると言っても過言ではない。
黒木は刑事時代の情報屋、椎名の店を訪れる。
佐藤教授の弱みを握れば、こちらの思い通りになることを想定しての動きだった。

市が行う記者会見の前に黒木が事故現場に行くと、県警の同僚阿南と後輩の山際が声をかけてきた。
今の段階ではまだ県警は動かない。
下見だと言う阿南の言葉を額面通りには受け取らなかった。

紛失したファイルを工事をしたゼネコン会社に取りに行き、更に市に提出義務のないファイルも手にした黒木は、ある内容にひっかかった。
「特殊布袋を購入」調べれば調べるほど、陥没事故は予想できていたと確信する黒木。
市の責任を覆い隠すことが本当に市を守ることになるのか?
市の職員として市を守る仕事をするのか?
真実を明らかにすることが本当の市を守ることではないのか?
椎名と調べるうちに陥没事故とはまた別の市の闇の部分が明らかになる。
揺れる黒木…。

己の判断に確信が持てない理由の一つには刑事を辞めるきっかけとなった事件があった。

【感想】
この小説は実際に2001年に起きた明石の海岸の陥没事故やそれに関する報道に着想を得て執筆されたそうです。
当時、著者は神戸で新聞記者だったので事故が起きた原因であると思われる事柄にもリアリティがあります。

少しずつ市の暗部に迫っていき黒木は自分の判断に迷い、過去の自分を引きずったまま市の歯車のなろうとします。
そこで登場するのが、元の同僚であり、事故の被害者の父親であり、名も知らぬ毎日電話をかけてくるおじいさん。
「人の再生は人の支えがあってこそできるのだ」とかんじました。

そもそも、元敏腕刑事が市の職員という設定が面白い!!
読みながら、黒木さん県警に復帰しないのかなぁ、なんて思ってしまいました。

KADOKAWA
372ページ
2014年5月30日第1刷発行
本体価格 1600円
電子書籍あり

著者 伊兼源太郎
著者 伊兼源太郎
1978年東京都生まれ。
上智大学法学部卒業。
新聞社勤務を経て、2013年に『見えざる網』で第33回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー著書
「金庫番の娘」
「外道たちの餞別」
「密告はうたう」など

最後まで読んで頂きありがとうございます。
当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。

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