青森ドロップキッカーズ 森沢明夫

「休みたいときは休んで、またやりたくなったらやればいいの。人生は行雲流水。自由なんだよ」by 桃子

カーラーは、不当に勝なら、むしろ負けを選ぶ
カーラーは、ルール違反をしたとき、自ら申告をする
カーラーは、思いやりを持ち、常に高潔である

カーラー…カーリングをやる選手

おススメ度
★★★★
スポーツ好き、エンタメ小説が好きな人におススメです。

【あらすじ】
青森市スポーツ会館の多目的運動場は冬の間、カーリング専用のホールになる。
沢井柚香と妹の陽香は青森の女子カーリング界のホープ。
長野県から日本のトップレベルの選手を二人招き入れて強いチームを作ろうと青森県カーリング協会が計画している。
その白羽の矢が立ったのが沢井姉妹だったのだ。

今、コンビを組んでいる先輩の選手とは決裂してしまい、新しく組んだ金城と金田とはスパルタでしごかれ、上手くコミュニケーションが取れずにチームはギクシャクしている。
気持ちが凹んでいる中、姉妹は初心者向けのカーリング体験の指導員をすることになった。

そこに参加している一人の中学生、苗場宏海はカーリング体験で組んだチームで優勝した。
宏海は学校ではいじめられていて、クラスの皆も誰も話しかけてこなかった。
そんな時に参加したカーリング体験でハマって毎日の様にスポーツ会館に通うようになった。
進学をカーリング部がある高校に決め、ブラシも柚香からお古(と言ってもメーカー品)をもらい受け、学校での日々は変わらずとも宏海は目標ができ日々、カーリングの事を考えていた。
ある日、もらったブラシを持って自主練をしようと近くの公園に行くと、いじめている奴らとバッタリ会ってしまい、ボコボコにされた上、カーリングのブラシを折られてしまう。
その上、財布を取られそうになり、幼なじみだった雄大がいじめのリーダー格の猪瀬に反撃をしたのだ。
雄大と宏海は猪瀬達に反撃したものの二人ともボコボコになったが財布は死守した。
昔の関係に戻った二人。
そして雄大もカーリングを始めたのだ。

一方、沢井姉妹は練習の成果もあり、カーリングの技術が上達していき、少しずつではあるがスパルタゴールデンコンビの二人ともコミュニケーションが取れてきた。
「みちのくカーリング選手権大会」にエントリーし、決勝戦までやってきた。
最終エンド、柚香達のチームの攻撃。
この一打で2点入れ投げれば負けてしまう。
金城の正確なショットが放たれるが金田の指示は「イエス(スイーピング…ブラシで氷をこすってストーンの速度を上げる)」柚香はこのままで十分だと反応して、スイーピングしなかった。
金田が必死で「イエーーーース」と絶叫する。
スイーピングしない柚香。
スピードがありすぎると自分たちのストーンをはじき出してしまう。
どちらの判断が正しいのか…。
試合の結末は???

【感想】
スポーツエンタメ小説です。
カーリングという競技に魅せられた、沢井姉妹に中学生の宏海が主役です。
宏海を通して、学校と家以外の自分が夢中になれる場所があること。
そこには人と関わることができること。
カーリングと出会って宏海は学校での立ち位置も変わってきます。

柚香と陽香の姉妹は試合に勝つ競技としてカーリングをしているので、楽しいことばかりではありません。
辛いことや不甲斐ない自分を責めることもあります。
カーリングという競技を通して葛藤と成長が描かれています。

試合展開では「えっ、そこは…」などついつい感情移入して読んでしまいました。

小学館文庫
309ページ
2010年2月6日第1刷発行
本体価格 620円
電子書籍あり

【目次】
コイントス  苗場多恵
第1エンド 岡島新平
第2エンド 苗場宏海
第3エンド 沢井柚香
第4エンド 苗場宏海
第5エンド 沢井柚香
第6エンド 苗場宏海
第7エンド 沢井柚香
第8エンド 苗場宏海
第9エンド 沢井柚香
第10エンド  苗場宏海
エキストラエンド 沢井柚香
あとがき

著者 森沢明夫
小説家。1969年、千葉県生まれ。
早稲田大学卒業。
日韓でベストセラーとなった『虹の岬の喫茶店』が吉永小百合主演「ふしぎな岬の物語」として映画化された他、有村架純主演「夏美のホタル」、高倉健主演「あなたへ」など、話題の映画やテレビドラマの原作を多く手がけている。
著書
『水曜日の手紙』
『雨上がりの川』
『キッチン風見鶏』など

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