金庫番の娘 伊兼源太郎

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「議員も会社も地検もキーワードは『派閥』」

【あらすじ】
藤木花織は勤めていた資源・エネルギーを担当していた会社を辞め、民自党の大物政治家久富隆一の秘書となった。
花織の父親が久富の秘書、その中でも金庫番をしており、息子の隆宏とは幼なじみだった。
まだまだ男尊女卑の世界で、花織が秘書として対応しても地元の後援会のドンや他の政治家の秘書にまで相手にされない日々を送っていた。

久富隆一は佐賀一区選出の国会議員。
所属する「繁和会」では会長を務める。
民自党の最大派閥は超大物議員の馬場が牛耳る「清明会」
馬場は自らは総理大臣にはならずに背後で操り、この国を動かしていると言っても過言ではない。

後援会員への手紙の封書書き、党の部会や勉強会にも出席など秘書の仕事は忙しい。
ある日、花織は久富に呼ばれて父親と一緒に金庫番をして欲しいと久富に言われる。
金庫番の役割は裏金を管理すること。
花織は即答せずに考える時間が欲しいと頼む。
「俺が動き出すまでな」と無理強いはせずに花織に時間をくれた。
同時期に隆宏から議員になった時に秘書になって欲しいと頼まれる。

久富が動き出した…総裁選挙に出馬表明をしたのだ。
幹事長で久富の同期の議員の遊佐からは、今出馬しなくても次に総理大臣の椅子は回ってくるのに…と一旦出馬を止められる。
久富は遊佐の助言を振り切った。
裏金が動き出す。
花織は腹をくくって父と同じ金庫番になることを決意する。

一方、東京地検特捜部の事務官、小原は五か月前に特捜部「経済班」に配属された。
経済班は公正取引委員会や警視庁捜査二課から事件を受ける役回りである。
政治家の収賄も範囲の一つである。
上司の有馬は特捜部を担う時期エースと目されている。
今、狙っているのは民自党「繁和会」のリーダー御子柴議員。
筆頭秘書の関根を有馬が事情聴取している最中に、関根は倒れた。
有馬は上司から次に久富を標的にと命じられる。

そんななか、御子柴は久富の元を離れ馬場側についた。
総裁選挙は現総理が有利との情報が流れ、久富の出馬の情報も馬場側に事前に流れている疑いがでた。
裏切者は誰なのか?

総裁選挙はどちらが勝つのか?
倒れた関根の意識は戻るのか?

【感想】
政治には金がそんなにかかるのか…。
裏金が無いと選挙に勝てない。
いくら立派な志があっても所詮金なのか…が率直な感想です。

とは言え久富議員を裏切った人物をあぶりだすところや、東京地検の動きなどはミステリーとして楽しめました。
花織と両親の関係、久富親子の関係など「家族」の在り方や関係性、政治家としての志と支援者との関係、など読みどころは満載で夢中で読みました。
ちょうど国政選挙が終わって直ぐなので、妙にリアルに感じました。
お金が絡む小説なので、読んで政治不信になる人もいるかもしれません。

いろいろな伏線が最後にはピタッとはまり、読んだ後はスッキリします。
取りこぼしがありません。
著者の伊兼さんが元新聞記者と知り納得です。

やっぱり同じ女性が奮闘する小説って気が付けば心の中で応援しています。
その後、どうなったのか続編を期待します。

もちろん他の著書も読む予定です。

講談社
360ページ
2019年7月29日第1刷発行
本体価格 1700円

著者 伊兼源太郎
1978年東京都生まれ。
上智大学法学部卒業。
新聞社勤務を経て、2013年に『見えざる網』で第33回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー著書
「事故調」
「外道たちの餞別」
「密告はうたう」など

最後まで読んで頂きありがとうございます。
当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。

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