ちどり亭にようこそ ~京都の小さなお弁当屋さん~ 十三湊

「大事なのは自分で自分の生活をオーガナイズすることよ」by 花柚

【あらすじ】
花柚は将来の旦那さまのために、料理を習い始めたのは小学生の時。
旧家のお嬢様の花柚が、習った料理で京都の姉小路通沿いに、仕出しのお弁当屋「ちどり亭」を始めた花柚は24歳。
家を継ぐはずの兄が家出をしたので、花柚はお婿さんを迎えるべく毎週お見合いをしているが、良縁には恵まれていない。

「ちどり亭」でアルバイトの大学生の彗太は、花柚に料理を教わり自分で自炊が出来る様になった。
「ちどり亭」には花柚の従妹の美津彦が居候の様に入り浸っている。
美津彦の祖母が花柚の料理の先生だった。

ある日、花柚の元許嫁の総一郎が「ちどり亭」に仕出し弁当8人分を頼みに来た。
総一郎は京都府庁に勤める公務員。
府のプロジェクトを担当している総一郎は、書道家の紫香泰山の手を借りたいと考えていて、その交渉のための席を設けた。
その時に出す弁当を「ちどり亭」に打診してきたのだ。
弁当がそのプロジェクトを決めると言っても過言ではない。
花柚と彗太、美津彦は泰山が出しているエッセイや花柚のお見合い相手のコネを使い、泰山が好きな食べ物を調べる。

実は泰山は愛妻家で次の交渉時も妻が同席する。
その妻が好きな食べ物が「黄色くて、京都には無く、物産展で買えて食べた後には残骸が出る」泰山曰く「黄色い麻薬」である。
山形県の出身と聞き、さらに調べる三人。

「黄色い麻薬」とはどんな食べ物なのか?
総一郎のプロジェクトに泰山は参加するのか?
そして、花柚と総一郎の関係はどうなっていくのか???

【感想】
料理に真摯に向き合う花柚、その花柚から料理を教わる彗太と共に好感が持てます。
お弁当の注文した相手の状況を考えて、内容を決める花柚に相手があっての料理だと教えられます。
食材の旬や季節感も大事にしていて、必ず七十二候で暦が出てきます。
日本ならではの季節の呼び名やその意味も知ることができます。

お話は連作短編集になっていて、天ぷらをサクサクにあげるコツやアレルギーがある子供のために見栄えがするお弁当の工夫の仕方などそれぞれにちょっとした料理のコツが載っているところが主婦としては嬉しいところです。
読むと家族のために、もう少し気持ちをこめて作ろうと思う1冊です。

【目次】
1.桜始開、花見といつかのオムライス
2.玄鳥至、「黄色い麻薬」とお礼状
3.虹始見、飾り切りと青菜のおひたし
4.牡丹華、だし巻き卵と献立帖
5.紅花栄、練習帖と最後のお弁当

KADOKAWAメディアワークス文庫
311ページ
2016年7月23日第1刷発行
本体価格 610円
電子書籍あり

著者 十三 湊(とさ みなと)
『C.S.T.』で第20回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”を受賞して作家デビュー。
『ちどり亭にようこそ』が第10回エキナカ書店大賞を受賞し、人気を博す。著書
「成巌寺せんねん食堂 おいしい料理と食えないお坊さん」など

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