密室を開ける手 KZ Upper File 藤本ひとみ

「天国はおまえの心の中にある。死んだ人間が天国に住めるかどうかは、おまえ次第なんだ」by 黒木

【あらすじ】
上杉和典は医者の家系に生まれ数学が得意な高校二年生。
祖父が亡くなったが通夜、葬式には出席せず学校に通っていた。
母より父のシャツをクリーニング店から取って来るように言われる。
クリーニングに出したシャツとズボンには染み抜きをしており、調べると血であることが分かった。
ズボンのポケットには飛行機の搭乗券が入っていた。

不定期で長崎に行く父、普通では考えられない血痕が服についていたことを疑問に思う和典。
母は父が長崎に女が居ると思っている。
それは本当なのか?
葬式の間に父の部屋に入り黒いファイルを見つける。
そこにはこれまでの長崎行きの搭乗券と古い写真が1枚挟んであった。

父の長崎行きは何のためなのか?
祖母を訪ねた和典は写真が祖父であることを知る。
祖父の実家は長崎だった。
その家はもう売却してしまった事を知り、なお長崎行きの謎が深まる。
何度か祖母と会ううちに祖母から和典に依頼があった。

祖父は仲の良い幼なじみが居た。
名前は山下野江。
祖母と結婚してから野江が祖父を訪ねてきた。
その日の日記を見て欲しいと言うのだ。
祖父は毎日日記を書いていた。
祖母は祖父と野江との関係を疑っていたが自分で日記を読む勇気が無いので和典に頼んだのだった。

祖父の日記に何かヒントがあるかもしれない。
そう思った和典は祖父の日記を見る。
祖母が伝えた日付のページはきれいに切り取られていた…。
八方ふさがりになった和典は祖父の持ち物から手がかりを得ようとして、祖母が通院日に合わせて訪ねて行き、祖母には日記を丹念に見たいと申し出ていた。
祖母が出かけ一人になって調べていると、家の鍵が開く音がする。
父が誰かと一緒に祖父の部屋に入っていった…。
一体なぜ???

【感想】
設定が面白く最後の展開も驚きでした。
祖父・父・和典が共にする秘密。
それは壮大で切なく悲しいラブストーリーです。
和典の父が隠している秘密は何なのか?
長崎に何があるのか?
著者の筆力に魅了されて瞬く間に最後まで読み切りました。

主人公の和典の知識量の多さや行動力と友人たちとの連携は、高校生というより大学生の設定の方が良かったように感じました。
チームKZの今後の活躍を期待します。

【目次】
序章  鍵のない密室
第一章 黒いファイル
第二章 記憶
第三章 計画
第四章 法律スレスレ
第五章 パンドラの匣
終章  エッジエフェクト

講談社
258ページ
2019年7月9日第1刷発行
本体価格 1400円
電子書籍あり

著者 藤本 ひとみ

長野県生まれ。
西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光を浴びる。
フランス政府観光局親善大使を務め、現在AF(フランス観光開発機構)名誉委員。
パリに本部を置くフランス・ナポレオン史研究学会の日本人初会員。

著書
『皇妃エリザベート』
『シャネル』
『アンジェリク 緋色の旗』
『ハプスブルクの宝剣』
『失楽園のイヴ』など多数。

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