桜の森の満開の下 坂口安吾

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「個としては意味をもたない不完全かつ不可解な断片が集まることによって一つの物を完成する」

「桜の森の満開の下」は坂口安吾の短編小説です。
坂口安吾の代表作の一つで、野田秀樹がこの話と「夜長姫と耳男」を下敷きに『贋作・桜の森の満開の下』を書き下ろし、伝説の舞台作品で歌舞伎にもなっています。
今回も青空文庫で読みました。

【あらすじ】
桜林の満開に咲く花の下に人の姿がなければ怖ろしいばかり…と綴られる。
昔、鈴鹿峠には山賊が住んでいた。
街道に出ては着物をはぎ、人の命も絶っていた。
そんな山賊でも桜の森の花の下へくると怖ろしくなる。

山賊は8人目の女房となる女の亭主を殺し、さらってくる。
その女はとても美しく7人居た女房のうち6人を山賊に殺させ、1人だけ残して自分の女中にした。
女はわがままで男が作る料理にケチをつけてばかり。
男に椅子とひじ掛けを作らせ、晴れの日は椅子に座り、雨の日はひじ掛けに持たれて物思いにふけっていた。
女は山賊に、都に連れて行き自分の欲しい物や都の粋な物で身の廻りを飾る様に言います。
そして山賊と女、女中は都で住み、女は毎夜山賊に邸宅に忍び入り、着物や装飾品を奪い、その家に住む人の首を持って帰る様に命じるのだった。

【感想】
不思議な物語です。
山賊と美しい女の話ですが、都に行って人の首を集める様になってからはホラーの様な、それでいてところどころには満開の桜が出てきます。
そしてラストシーンは満開の桜の森の中に山賊が座ります。
それはとても幻想的です。

小説というよりは戯曲の様に感じました。
野田秀樹さんが舞台にするのは納得です。

桜の花は満開になると見ごたえがありますが、その風貌も数日で終わりです。
風が吹いて桜の花びらが散って舞う様子も見惚れてしまいます。
そして儚い…。

この小説はそんな桜の花の儚さを伝えたかったのではないでしょうか。

著者 坂口安吾
(1906-1955)新潟市生れ。
1919(大正8)年県立新潟中学校に入学。
1922年、東京の私立豊山中学校に編入。
1926年東洋大学文学部印度哲学倫理学科に入学。
アテネ・フランセに通い、ヴォルテールなどを愛読。
1930(昭和5)年同校卒業後、同人誌「言葉」を創刊。
1931年に「青い馬」に発表した短編「風博士」が牧野信一に激賞され、新進作家として認められる。
少年時代から探偵小説を愛好し、戦争中は仲間と犯人当てに興じた。
戦後、『堕落論』『白痴』などで新文学の旗手として脚光を浴びる。

著書
「不連続殺人事件」
「二流の人」
「真珠」など多数。

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