上流階級 富久丸百貨店外商部 高殿円

「ここに集う人々は皆、お金で買えないものを求めてやってきているのだと」

2013年に発売された「上流階級 富久丸百貨店外商部」
2015年には竹内結子が主演でテレビドラマにもなりました。
その本が7月5日に文庫本になります。

【あらすじ】
富久丸百貨店外商部員、鮫島静緒はバイヤーから外商部に異動になった。
富久丸百貨店初の女性外商員である。
カリスマ外商員の葉鳥が退職することになり、静緒に白羽の矢が立ったのだ。

外商部とは高額購入者に対して、外商口座を作ってもらう。
外商員は自宅に伺い、顧客が購入しそうなものを持って行く。
結婚式や家のリフォームなども請け負い、人生に起こる様々な行事ごとを仕切ることにもなる。
外商口座を持っている客は年に最低70万円の買い物をしなければ外商カードが使えなくなる。
お客様は芦屋の超セレブ。

静緒の部署の目標は1か月の売上が1500万円。
買って頂くためには商品の知識や教養がいるので、静緒の手帳は顧客を訪問する以外にも、いろいろな講座の予定が書き込まれている。
売上を伸ばすために、これまでの人脈を使って色々な企画やイベントを考えるが、外部の店を使うということで上司からハンコが貰えない。
「お前はバイヤーに戻れ」と言われ、策を練る静緒。

同じ外商部に静緒より若くて売上を伸ばし、元々家が外商口座を持っている社員、桝家は何かにつけて静緒にぞんざいな態度を取る。
ある時、余りに酷い言いように静緒は頭に来て桝家にコーヒーをぶっかけてしまう。
桝家はその場で1枚4万円するブランドのシャツを脱いでゴミ箱に捨ててその場を立ち去るのだった。

葉鳥から引き継いだ顧客の他に独自で顧客を見つけたいと願う静緒に葉鳥から、セレブが住む地域に住むこととアドバイスされ、空いているマンションがあるからそこで生活することを勧められる。
芦屋のセレブが住むマンション。
一つの部屋が二階建てになって居て、それぞれにキッチンやバスタブもついている。
引っ越しを追え仕事から帰ると玄関に靴がある。
不審に思い、そっと部屋に上がるとそこには桝家がバスローブ姿で居た!?

【感想】
私の大好きな働く女子のエンタメ小説です。
高卒で中途採用の静緒に自分を重ねて読みました。
私も静緒の様に小さい時に百貨店に連れて行ってもらったのを覚えています。
屋上にあった遊園地が大好きでメリーゴーランドに憧れてました。
最後はお約束の食堂でお昼ご飯。
お子様ランチを食べるのが楽しみでした。

この物語で初めて外商部の存在を知りました。
もはや別世界です。
セレブで理不尽な要求をする顧客への対応。
展示会に毎回酔っぱらって現れくだをまく顧客への対応。
実はゲイでお互い葉鳥に恋心を持つ、桝家との関係。
顧客が求めているのはモノなのか?

小説としても楽しめますが、ビジネスの観点でマーケティングの在り方も勉強になる本です。
後でドラマ化で静緒の役を竹内結子さんが演じたことを知りました。
読んでいる最中は静雄は私の脳内では菜々緒さんでした(笑)
小説の最初と最後に出てくる開店時の百貨店の様子。
店員が玄関に並んで開場と共に頭を下げて「いらっしゃいませ」という瞬間。
その瞬間を私も味わいたいと思い、開店時間に合わせて百貨店に足を運びたくなりました。

【目次】
プロローグ
第一章 外商員、奮闘する
第二章 外商員、再会する
第三章 外商員、奔走する
第四章 外商員、感動する
エピローグ

小学館
480ページ
2019年7月5日第1刷発行
本体価格 850円

著者 高殿円
1976年兵庫県生れ。
武庫川女子大学文学部卒業。
2000(平成12)年に角川学園小説大賞奨励賞を受賞し、『マグダミリア 三つの星』でデビュー。
『カミングアウト』で2013年第一回エキナカ書店大賞受賞。

著書
『カーリー』
『トッカン 特別国税徴収官』
『剣と紅』
『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』
『主君 井伊の赤鬼・直政伝』など多数。

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