旧友再会 重松清

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『自分と勝負したら、必ず自分が負ける』

あの人にいま会えたら、何を伝えますか?
人の心の動きを丁寧に描く重松清さんの、「再会」がテーマとなった作品集です。

【あらすじ】
伊藤は地元で親の店「家具のいとう」を継いでいる。
商店街の一店舗だが、シャッターが閉まった店も多く、アーケードも取り壊された。
妻・娘・息子の4人家族。
久しぶりに中学時代の同級生松井が伊藤の店にやってきた。
伊藤の店は家具の他に介護用品のレンタルも営業している。
松井の母親が施設に入るまでの間、家で介護をするために伊藤に介護用品をレンタルするためだ。
久しぶりという事で、中学の教頭になった小林と三人で会うことになった。

伊藤・松井・小林は中学時代野球部だった。
当時の練習は厳しく、1年生の間は基礎練習とボール拾いに声だしだった。
どしゃぶりの雨が降れば上級生の指名でベースランニングをしてホームにはヘッドスライディングをしなければならなかった。

小林から野球部の顧問が事故で骨折したので急遽、コーチをして欲しいと頼まれる松井。
伊藤がコーチをするべきだと断る松井。
伊藤は息子が野球部の三年なので、親がコーチになるのはまずいと断る。
しぶしぶ引き受ける松井。
三年生にとって最後の試合の直前だった。

今の野球部は和気あいあいとしていて、選手達で考えて楽しく全員が試合に出れる様にしていた。
勝つことよりも楽しさ重視。
松井は勝つことにこだわる練習を開始した。
選手と松井との間には溝ができる。
息子からも妻からも松井の練習内容をどうにかできないかと言われる伊藤。
松井は試合のオーダーを「勝ちに行く」ものにし、応援に来ている親からも不信感をかう。
試合は松井が率いるチームが勝っていた。
このまま勝利を手にすることができるのか…。
松井が選手に意図するものは何なのか?

「どしゃぶり」

【感想】
この話には地方の商店街の存続、親の介護、クラブ活動の在り方など、今の日本の問題点が網羅されています。
通販や大型ショッピングモールが出来、地元の小さな家具だけでは商売が成り立たない現実。
離れて住む親が自分で生活出来なくなれば、施設にお願いするしかない。
辛い練習、試合に出られない悔しさはもやは無用。
勝てなくても楽しくできる部活動。

絶対的な正解はなく、その人が選ぶ人生がその人にとって正解なのではないか…。
そんなふうに感じました。

学生時代はそんなに仲良くなかったのに、時を経て再会すると話が盛り上がる。
そんな懐かしく、ちょっと胸がキュッとなる話が詰まっている本です。

【目次】
あの年の秋
旧友再会
ホームにて
どしゃぶり
ある帰郷

講談社
322ページ
2019年6月24日第1刷発行
本体価格 1600円

著者 重松清
1963年岡山県生まれ。
早稲田大学教育学部措置業。
出版社勤務を経て、執筆活動に入る。
91年『ビフォア・ラン』でデビュー。
99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞、14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。著書
『流星ワゴン』
『定年ゴジラ』
『きよしこ』
『疾走』
『とんび』
『かあちゃん』
『赤ヘル1975』』他多数。

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