終電前のちょいごはん 薬院文月のみかづきレシピ 標野凪

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「気づかないふりをしていただけなのだ。現実を見ないように、いつまでも変わらないと」

博多にある一軒のお店。
福岡薬院の裏通り、古いビルの2階にある小さなお店「文月」は《本が読めて手紙が書ける店》
それは1か月のうち三日月から満月まで営業する不思議な店。
外にある小さな看板には《おつかれさまのちょいごはん どうぞ》と書いてある。
そんな文月にまつわる9つの話。

葵の場合

葵は天神の百貨店に勤める50代で独身の女性。
25歳を過ぎても結婚せず仕事に夢中になる葵を思い、母は葵の直属の上司に「行き遅れてしまうから仕事を減らして欲しい、できれば昇進しないように会社に進言してほしい」と懇願したことを上司から知らされ、一人暮らしを始める。
たまに実家に行っても母の小言がうるさく滞在時間は数時間。

ある日大学時代の友人、藍子から連絡があり久しぶりに藍子の家に遊びに行く。
話題は葵の母の話。
葵の父親は昔気質の九州男児、家では何もせず買い物に行っても何も持たかった。
母親の口癖は「男の人をたててこそ立派な女性」
葵はそれが美徳とは思えなかった。
そんな父親も亡くなって来年が七回忌になる。

藍子と藍子の母との友達親子の様な様子を見て、葵は自分の母親と比べてしまう。
藍子たちをうらやましがる葵が居た。
藍子の家をあとにして、カフェ行こうとしたときに病院から電話があった。
葵の母親が怪我をして救急車で運ばれたと知らされ、病院にかけつけた。
足をくじいただけだが検査も行うため数日入院することを告げられる。

病院からの帰り道にふと路地を入ると小さな看板が目に入った。
《おつかれさまのちょいごはん どうぞ》
店に入りちょっとしたおつまみの「こつまみ」とビールを飲んで実家に帰った後、ソファに横になると、とても不思議な夢を見たのだった…。

【感想】
「食堂」「女性」「連作短編集」
私がつい買って読んでしまう小説はこの3つの条件があります。
この本は3つとも満たしているドンピシャな小説です。

この本に出てくるのは、ちょっと人生に立ち止まっている人たち。
「文月」で「こつまみ」を食べて少し元気になって
また自分の人生に戻っていきます。

私は何回かは博多や天神に行ったことがあるので、知った地名が出てくるうえに詳細な風景描写なので、本当にこのお店はあるんじゃないかと思わせます。
「文月」の女主人、文月がお店をオープンするに至った経過も最後のお話に載っていて興味深く読みました。
出てくる食べ物も美味しそうですが、お酒も詳しくお話に登場します。
作者の標野さんはお料理好きでお酒もたしなむ方だと勝手に想像しました。

最後にはレシピもついています。
おさかなのスープは作ってみたい !!

【目次】
プロローグ
月夜のグリューワイン
森のカクテル
本とおさかなのスープ
池田飲みとしろくま
柚子と適燗
スルメとてんとう虫
バレエシューズとうすぎりショウガハイボール
新茶と煮物
七月のみかづき
みかづきレシピ

ポプラ文庫
301ページ
2019年6月5日第1刷発行
本体価格 680円

著者 標野凪
調べましたが著者に関するプロフィールを見つけることができませんでした。

最後まで読んで頂きありがとうございます。
当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。

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