海獣の子供 第1巻 五十嵐大介

「私は誰かに見つけてほしかったんだ」by 琉花

このコミックは私が参加しているイベント
「みんなで10000冊読めるかな〈往路6区〉」で紹介されていた本です。
kindle版で7月4日22:00まで1巻が無料で読むことができます。 

読んだ後にYouTubeで米津玄師さんの「海の幽霊」のMVを見ると
今年の6月に映画化された映像を見ることができます。

海の幽霊

【あらすじ】
中学生の琉花はハンドボール部。
活躍はするもののラフプレーも多く、チームメイトを怪我させたことで夏休み中の部活動の参加の停止を顧問から言い渡される。
海が見たくなった琉花は東京へ。
そこで海に潜る少年「海」と出会う。

琉花の父親が勤務する水族館へ行くとそこには「海」の姿が。
「海」には双子の兄「空」が居た。
二人は赤ちゃんの時から海でジュゴンに育てられたのだ。
地上に長時間居ると皮膚が乾くため、定期的に水の中で過ごさなければならない。

琉花と海はある夜、浜辺で隕石が落ちるところを目撃する。
それ以降、浜辺に普段なら見ることがない深海魚が打ち上げられるようになった。
人と上手く関われない琉花。
人でないジュゴンに育てられた双子。
琉花に「同じニオイがする」と伝える海と空。
ある日、入院先から空が居なくなったと連絡が入る。

【感想】
海で育った子供が居るかどうかはともかくとして
泳ぎが苦手な私は海が自由に泳ぐシーンがとても羨ましかった。
せめて怖がらずに泳ぐことが出来れば、もっと海で楽しめるのに…。

絵が写実的で丁寧に描いているのでカラーで読みたいと思いました。
映画も気になります。
まだ上映していますが日に一度だけ…。
映画を見に行くかコミックで読むか、海や空がどうなるのか続きが楽しみです。

【目次】
第一話 琉花
第二話 神鳴りの日
第三話 人魂
第四話 Marene Mamals
第五話 図様
第六話 海の幽霊
第七話 椅子
第八話 水界

小学館 IKKI COMIX
316ページ
2007年7月30日第一刷発行
本体価格 780円
電子書籍あり

著者 五十嵐大介
1969年埼玉県生まれ。
多摩美術大学芸術学部絵画学科卒
1993年にデビューした漫画家。

1993年に「お囃子が聞こえる日」(『アフタヌーン』)でデビュー。
「海獣の子供」で文化庁メディア芸術祭 (第13回, マンガ部門・優秀賞)、 日本漫画家協会賞 (第38回, 優秀賞)〔2009年〕受賞。

著書
「はなしっぱなし」
「リトル・フォレスト」
「魔女」などがある。

五十嵐大介 ツイッター

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【レビューの一文が帯とPOPに採用】

これから発売する本のゲラを読むことができるサイト
NetGalleyJP(ネットギャリー)
このブログで紹介する本の多くがこのサイトで読んでいます。

ネットギャリーに興味を持たれた方はこちらから
  ↓  ↓  ↓
https://www.netgalley.jp/

ネットギャリーの企画で新レーベル「ことのは文庫」から出る本のレビューから、本の帯と書店用のPOPを採用する企画がありました。
その企画を知らずに読んでレビューを書いたところ…。

6月22日発売の新レーベル「ことのは文庫」の第1弾の本
忍丸 著「わが家は幽世の貸本屋さん」に私のレビューが採用されました😍

献本とPOPが送られて来て確認すると…
帯は裏表紙をめくったところに❣️

書店のPOPには、ありがたいことに真ん中😆
それも実名入りです👍
(本が好き!倶楽部 大城緑)

6月22日以降、書店巡りをしようと思います。
見つけたら書店員さんに声をかけて写メ撮りたい🤣
ちなみに家のすぐ近所の書店にはありませんでした…(;_:)

今年1番の嬉しい出来事です💕💕

レビュー全文はこちらから読めます(ネタバレなし)
http://honskiy.com/2019/05/03/wagayawayuusenokashihonnyasann-shinobumaru/

空席 隠蔽捜査シリーズ (Kindle Single)  今野敏

「原理原則が何より大切。そう考えているのだ。そして実際にそれを実行した」

警察小説のベストセラーシリーズ「隠蔽捜査」のスペシャル版と言っていい中編作品。
Kindleでしか読めない大森署の空白の一日。

【あらすじ】
警視庁大森署の署長、竜崎伸也は神奈川県警刑事部長に異動になる。
大森署から竜崎を見送ったが、次の署長は北海道からの異動で遅れると連絡があった。
副署長の貝沼が自分の席に戻ると無線が流れた。
品川所轄内でひったり事件が発生。
警務課長の斎藤は他の所轄なので、特に気に留めていなかったが第二方面本部から電話が。
野間崎管理官だ。

野間崎は大森署も緊配(緊急手配)をするようにとの事だった。
言われた通りに緊配をしていると、今度は大森署の管轄内でタクシー強盗が起こった。
一つの警察署で二つの緊配は無理である。
どちらかを諦めなければならない。
今、大森署には所長が不在。
貝沼や斎藤は「竜崎署長ならどうしていたか…」と考え、ひったくり事件の緊配を断る決断をし、通信指令本部の管理官に申し入れし、受け入れられた。
タクシー強盗の緊配に切り替えて、20分ほどで野間崎管理官が大森署にやってきた。
「ひったくり事件の緊配を解除していいと指示を出していない」
「元に戻せ」
それだけを告げて野間崎管理官は大森署を去った。

貝沼と斎藤は困り果てる。
新しい署長に相談するのが良いのか、竜崎に相談するのが良いのか。
二人が出した決断は…。

【感想】
これまでの隠蔽捜査シリーズを読んでいない人には、竜崎の人となりや人間関係がわかりづらいので、今一つしっくりこないかもしれません。

私は大の隠蔽捜査ファン、竜崎伸也ファンなので楽しんで読みました。
竜崎伸也のポリシーは冒頭の斎藤のセリフです。
縦社会の警察の中では、変わり者の竜崎。
自分のポリシーは曲げずに事件に率先して関わり解決していく姿を見て、署員達も竜崎を信頼します。

竜崎の後に来る新署長の設定が美貌の女性署長なので、今後スピンオフで大森署のその後も読んでみたいと思いました。

Amazon Publishing
フォーマット: Kindle版

ファイルサイズ: 1563 KB

紙の本の長さ: 49 ページ
2018年11月27日

著者 今野敏
1955年、北海道三笠市生まれ。
上智大学文学部在学中の1978年『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。
卒業後、レコード会社勤務を経て執筆に専念。
2006年『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞を、2008年には『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。
2017年には「隠蔽捜査」シリーズで第2回吉川英治文庫賞を受賞。

著書
「隠蔽捜査」「ST 警視庁科学特捜班」「東京湾臨海署安積班」など人気シリーズ多数。
『道標 東京湾臨海署安積班』
『カットバック 警視庁FCⅡ』
『任俠浴場』
『エムエス 継続捜査ゼミ2』など。

今野敏 ホームページ

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亥子ころころ 西條奈加

「親方、南星屋には、給金以上の値打ちがありやすよ」by雲平

江戸の麹町の裏通りにある「南星屋(なんぼしや)」は治兵衛が営む菓子屋。
治兵衛は武家の出だが、若い頃に全国を旅して歩きそこで食した菓子を書き記し店を開いた。
南星屋には治兵衛と出戻り娘のお永、お永の娘のお君の三人で営んでいる。
味はよく値段は手頃なので評判の菓子屋だった。
治兵衛が手首を痛め思うように菓子が作れずにいた。

ある日、南星屋の前に行き倒れの男が居た。
京都から江戸を目指して来たが小田原で盗難にあって飲まず食わずでどうにか江戸についたのだった。
名は雲平。
京都では南星屋と同業で菓子を作っていたと言う。
雲平はしばらく南星屋で治兵衛を手伝い菓子を作る様になった。
そんな雲平に惹かれるお永…。

雲平が江戸にやってきたのは天涯孤独な雲平が奉公先で弟の様に仲が良かった亥之吉を探しに来たのだった。
雲平は亥之吉を探し出すことはできるのか?
そしてこのまま南星屋の菓子職人となるのか?

【感想】
時代小説によくある菓子屋のお話です。
小さい菓子屋ながらも、いろいろ問題が起こります。
そこには江戸ならではの人情味あふれる話が連作短編集として書かれています。

主の治兵衛は旅をしながら出会った菓子を丁寧に記しています。
これが菓子帳となって物語の菓子作りに一役かっています。
雲平が江戸に来たいきさつや日々の南星屋の菓子作りが読みどころです。
西條奈加さんは時代小説でシリーズ化になっている作品もあるので、
この本もシリーズ化になるのを期待しています。

【目次】
夏ひすい
吹き寄せる雲
つやぶくさ
みめより関の戸
竹の春
亥子ころころ

講談社
247ページ
2019年6月24日第1刷発行
本体価格 1450円
電子書籍あり

著者 西條奈加
1964(昭和39)年北海道生れ。
都内英語専門学校卒業。
2005(平成17)年、『金春屋ゴメス』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞。2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞を受賞。著書
『金春屋ゴメス 異人村阿片奇譚』
『烏金』
『善人長屋』
『恋細工』などがある。

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日日是好日 森下典子

今回は私のラジオ番組「ホンスキー倶楽部」で6月23日放送で紹介した本です。
毎月第二週と第四週にお送りするコーナー。
北海道在住のブックコーディネーター、かーるさんがおススメする本を紹介します。

ホンスキー倶楽部試聴はこちらから(6月23日放送分)

https://yumepod4.xsrv.jp/wp-content/uploads/2019/05/6-4_honsuki-club_20190520.mp3

かおる文庫のおすすめブックコーナー

日々是好日
「お茶」が教えてくれた15のしあわせ
著者:森下典子

内容
お茶のお稽古を25年以上続けてきた著者のお茶にまつわる幸せの記憶を描くエッセイ。
2018年黒木華、樹木希林の出演で映画化。

感想
茶道具、掛け軸、和菓子などの美しい写真からこの本は始まります。
季節の和菓子も芸術的な茶道具も茶道の楽しみの一つです。

なぜお茶を続けるのか?何が面白いのか?
そんな疑問をもつ方に。

余分なものをそぎおとし、自分では見えない自分の成長を実感させてくれるもの。
すぐにはわからない代わりに、ある日を境に突然、視野が広がるその醍醐味を何度も味わうことができるもの。
それがお茶だと森下さんは言います。

その例えとしての雨の話が印象的でした。
まえがきの中に、
『20歳のときには分からなかった季節の移ろいが、毎年お茶をを繰り返すうちに肌で感じられるようになる描写があります。
あるとき、ふと五感が研ぎ澄まされて土の香りや雨の音がダイレクトに感じられるようになるさまは、驚きと喜びに溢れています』

お茶を通しながら四季を感じられるようになった日々のしあわせ。
これを15の観点から伝えてくれます。
特に第13章「雨の日は、雨を聴くこと」は作者の心の揺れと気づきの素晴らしさに心を打たれます。

静かな動きの一つ一つが人生の記憶として積み重なり、ただ今ここにいる喜びに繋がっていくのです。
茶道の奥深さと人生の深みを伝えてくれる美しい描写の一冊。

著者 森下典子
1956年、神奈川県横浜市生まれ
日本女子大学文学部国文科卒業
大学時代から「週刊朝日」連載の人気コラム
「デキゴトロジー」の取材記者として活躍。

著書
「典奴どすえ」
「典奴ペルシャ湾を往く」
「ひとり旅の途中」など  

旧友再会 重松清

『自分と勝負したら、必ず自分が負ける』

あの人にいま会えたら、何を伝えますか?
人の心の動きを丁寧に描く重松清さんの、「再会」がテーマとなった作品集です。

【あらすじ】
伊藤は地元で親の店「家具のいとう」を継いでいる。
商店街の一店舗だが、シャッターが閉まった店も多く、アーケードも取り壊された。
妻・娘・息子の4人家族。
久しぶりに中学時代の同級生松井が伊藤の店にやってきた。
伊藤の店は家具の他に介護用品のレンタルも営業している。
松井の母親が施設に入るまでの間、家で介護をするために伊藤に介護用品をレンタルするためだ。
久しぶりという事で、中学の教頭になった小林と三人で会うことになった。

伊藤・松井・小林は中学時代野球部だった。
当時の練習は厳しく、1年生の間は基礎練習とボール拾いに声だしだった。
どしゃぶりの雨が降れば上級生の指名でベースランニングをしてホームにはヘッドスライディングをしなければならなかった。

小林から野球部の顧問が事故で骨折したので急遽、コーチをして欲しいと頼まれる松井。
伊藤がコーチをするべきだと断る松井。
伊藤は息子が野球部の三年なので、親がコーチになるのはまずいと断る。
しぶしぶ引き受ける松井。
三年生にとって最後の試合の直前だった。

今の野球部は和気あいあいとしていて、選手達で考えて楽しく全員が試合に出れる様にしていた。
勝つことよりも楽しさ重視。
松井は勝つことにこだわる練習を開始した。
選手と松井との間には溝ができる。
息子からも妻からも松井の練習内容をどうにかできないかと言われる伊藤。
松井は試合のオーダーを「勝ちに行く」ものにし、応援に来ている親からも不信感をかう。
試合は松井が率いるチームが勝っていた。
このまま勝利を手にすることができるのか…。
松井が選手に意図するものは何なのか?

「どしゃぶり」

【感想】
この話には地方の商店街の存続、親の介護、クラブ活動の在り方など、今の日本の問題点が網羅されています。
通販や大型ショッピングモールが出来、地元の小さな家具だけでは商売が成り立たない現実。
離れて住む親が自分で生活出来なくなれば、施設にお願いするしかない。
辛い練習、試合に出られない悔しさはもやは無用。
勝てなくても楽しくできる部活動。

絶対的な正解はなく、その人が選ぶ人生がその人にとって正解なのではないか…。
そんなふうに感じました。

学生時代はそんなに仲良くなかったのに、時を経て再会すると話が盛り上がる。
そんな懐かしく、ちょっと胸がキュッとなる話が詰まっている本です。

【目次】
あの年の秋
旧友再会
ホームにて
どしゃぶり
ある帰郷

講談社
322ページ
2019年6月24日第1刷発行
本体価格 1600円

著者 重松清
1963年岡山県生まれ。
早稲田大学教育学部措置業。
出版社勤務を経て、執筆活動に入る。
91年『ビフォア・ラン』でデビュー。
99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞、14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。著書
『流星ワゴン』
『定年ゴジラ』
『きよしこ』
『疾走』
『とんび』
『かあちゃん』
『赤ヘル1975』』他多数。