でーれーガールズ 原田マハ

「痛くて、苦くて、しみるほど甘い。それが、ひとを好きになるってこと、なのかな」by 鮎子

【あらすじ】
佐々岡鮎子は東京在住の人気漫画家。
そんな鮎子に送られてきた一通の手紙からこの物語は始まる。

その手紙は鮎子の母校、岡山白鷺女子高校が創立百二十周年の記念講演の依頼だった。
鮎子の同期の同窓会も開催し退職した恩師も出席すると記されていた。
その後、同窓会の案内が届き、最後の一行に「武美も来る」と書いてあった。

鮎子は東京生まれ。
高校に入るタイミングで父親が転勤となり岡山に引っ越してきた。
当時は「オールナイトニッポン」を聴いて寝不足になる。
ラジカセが一番の宝物。
学校では「ザ・ベストテン」の話題で持ちきり。
鮎子はなかなかクラスに溶け込めずにいた。
そんな鮎子に声をかけてくるのはクラスでも美人の武美。

鮎子には秘密があった。
絵を描くのが好きな鮎子はノートに「ヒデホとあゆの物語」と自分で作ったマンガを描いていた。
ヒデホは鮎子の理想の彼氏。
大学生でロックバンドのボーカルとギターを担当。
ノートは10冊目になっていた。

そのノートの中を武美に知られてしまう。
鞄の中を広げたときには武美の机の下に落としてしまったのだ。
ノートにはご丁寧にも「この物語は実話である」と書いてある。
武美はノートを読んで「面白かった」と言い
「ほんまにおるん? ヒデホ君って」と聞かれて鮎子はうなずく。
武美にその後ヒデホとどうなったか話す鮎子。
武美もヒデホの事が好きになっていった。

クリスマスが近い冬の日。
鮎子はふとしたきっかけで知り合った淳の事が好きになりつき合うようになる。
淳のために手袋を編む鮎子。
武美にはヒデホのためにと偽って…。
クリスマスイブの日、淳に手袋を渡すところを武美に見られてしまう。
そのまま鮎子と武美は仲直りすることなく、武美は春休みに転校してしまった。

岡山につき同窓会が開催されるレストランについた鮎子。
武美と本当に会えるのだろうか…。

【感想】
現在の話と高校生の時との話が交互に混ざります。
40代の女性も高校生も等身大に描かれています。
マハさんと同年代なので、教室で盛り上がる話や鮎子の思いに出てくる人物も「そうそう」とうなずけました。

当時のスマホもSNSも無い時代の女子高生の淡い初恋…。
クリスマスのくだりでは恋をとるのか親友をとるのか選択を迫られる鮎子。
本気で自分が作りだした「ヒデホ」に恋をしていたので、生身の彼氏より親友を取る鮎子がいじらしく思えます。
断る理由が「ヒデホ」なところが鮎子の純情さを物語っています。

「ケータイもMP3プレイヤーもない時代。ウォークマンだって持っている子なんかいない。ラジカセがいちばん大事な宝物だった時代。
それでも私たちは、じゅうぶん豊かだった」
この一文にシビレました。

最後のくだりは予想がつきますが、それでもこの物語は女性の友情を描いた秀作です。

【目次】
#1 鮎子の恋人
#2 欄干ノート
#3 時間を止まれ
#4 ジョージのブローチ
#5 聖夜
#6 リボンの白
最終話 友だちの名前

祥伝社文庫
245ページ
2014年10月20日第1刷発行
本体価格 580円
電子書籍あり

著者 原田マハ
1962(昭和37)年、東京都小平市生まれ。
関西学院大学文学部日本文学科および早稲田大学第二文学部美術史科卒業。
馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森ビル森美術館設立準備室在籍時、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館にて勤務。
その後2005(平成17)年『カフーを待ちわびて』で日本ラブストーリー大賞を受賞しデビュー。
2012年に発表したアートミステリ『楽園のカンヴァス』は山本周五郎賞、R-40本屋さん大賞、TBS系「王様のブランチ」BOOKアワードなどを受賞、ベストセラーに。
2016年『暗幕のゲルニカ』がR-40本屋さん大賞、2017年『リーチ先生』が新田次郎文学賞を受賞。

著書
『本日は、お日柄もよく』
『ジヴェルニーの食卓』
『デトロイト美術館の奇跡』
『太陽の棘』など多数

原田マハ 公式ウエブサイト

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