ユニクロ潜入一年 横田増生

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「勤務時間中にボーっとしていようものなら時給泥棒のように見られるのがユニクロという職場である」

著者の横田氏はこの本の前に「ユニクロ帝国光と影」を出版している。
ユニクロは出版社の文藝春秋を相手に名誉棄損で訴える。
裁判ではユニクロ側が敗訴となったが、2011年以降決算報告に横田氏は参加できなかった。
社長の柳井氏が直々に決算会見への参加のお断りとの伝言を部下に伝えていた。

柳井氏は雑誌プレジデントで「会社見学をしてもらって、あるいは社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたいですね」と語っている。
この文章を読んで横田氏は「この言葉は、私への招待状なのか」潜入取材をしてみろと言う柳井氏からのお誘いだと思い、実際に潜入取材をするキッカケの一つとなる。

横田氏は本名では門前払いになるので、名前を変えることにする。
一度奥様と離婚をし、奥様と再婚する際に奥様の性を名のることで名前を変え、履歴書は弁護士に見てもらい、裁判になることも予測して万全を期して臨む。

横田氏は2015年10月~2016年12月までの間に、イオンモール幕張新都心店、ららぽーと豊洲店、ビックロ新宿東口店でアルバイトとして勤務。
中国とカンボジアにあるユニクロの工場にも現地取材を行っている。

人件費は1円でも安く

即日採用、翌日出勤となり現場へ赴く。
アルバイトは日本人だけでなく外国人労働者も居る。
特にビックロ新宿東口店ではその比率が高い。
外国人労働者が増える理由はアルバイト代が安いからである。
時給1000円、東京の新宿でこの金額である。
人件費は1円でも安い方がいいというのがユニクロの考え方なのだ。

大学生も多く、感謝祭など繁忙期は人手が足りなくて連勤になり大学の授業に出られないといったケースも複数ある。
体調を崩して辞めていくケースも書かれてある。

閉店後は空になった棚に商品を陳列していく。
売り場が広い店舗だと品出しの量も多い。
夜には派遣社員が来て品出しを行う。
派遣社員の時給は午後10時~午前5時までが1500円。
本来なら派遣社員は使いたくないのだろうが、棚に商品が無い状態は作れない…背に腹は代えられないのでやむなしなのであろうとと推測している。

社長こそが潜入取材を !!

最後に横田氏は柳井社長に提案をしている。
社長こそが潜入取材をするべきだと。
NHK BSプレミアムで放送されていた「覆面リサーチ ボス潜入」という番組を紹介している。(本番組は終了しているが動画で見ることができる)
企業のトップが名前を変えて変装をし現場に入り、実態を知ることが必要であると。
柳井氏は店舗に足を運んではいるがそれは「社長」としてである。
あらかじめ社長が来るとわかっていれば体裁を整えて当たり前。
普段の様子をみることはできない。

【感想】
ユニクロでアルバイトをしようと思っている人は一読をおススメします。
業務内容が細かく書いてあるので予備知識として読んでおくと、現場に出たときに予測がつきます。
それぐらい細かく内容が書いてあります。

読んでいて感じたのは柳井社長は勉強家でいろいろなことを吸収し、柔軟な発想もできる人なのではないか…。
そして自分の周りにはイエスマンしか置いていないのではないかということです。
だからこそ、いろいろな事を思いつきすぐに実行し激を飛ばす。
しかしそれは前回言った事と180度違うこともあります。
それがそのまま社長言葉として「部長会議ニュース」として各店まで配布される。
現場に居るものはたまったものではありません。

本書にもありましたが「トップダウンであってボトムアップはない」
一代で築き上げたトップにありがちです。
私が過去に勤めた会社にもよく似たような社長がいました。
ユニクロと違い規模の小さな会社なので大きな混乱はありませんでしたが、それでも社長の思いつきは「今回のはいつまで続くのか」と社員の間で噂になっていました。

この潜入取材から約3年経っていますが、その後ユニクロは従業員にとって少しでも働きやすくなったのか…気になるところです。

インターネットで著者の横田氏と元ユニクロ社員との対談を見つけました。


元社員が実名で語る「ぼくがユニクロを辞めた理由」

【目次】
はじめに
序章  突きつけられた解雇通知
第一章 柳井正社長からの”招待状” 
第二章 潜入取材の始まり
第三章 現場からの悲鳴
第四章 会社は誰のものか
第五章 ユニクロ下請け工場に潜入した香港NGO
第六章 カンボジア”ブラック告発”現地取材
第七章 ビックロブルース
終章  柳井正社長への”潜入の勧め”

文藝春秋
302ページ
2017年10月25日第1刷発行
本体価格 1500円
電子書籍あり

著者 横田増生
1965年、福岡県生まれ。
アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。
1993年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務め、1999年フリーランスに。著書
『ユニクロ帝国の光と影』
『アマゾン・ドット・コムの光と影』
『評伝 ナンシー関―心に一人のナンシーを』
『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』など

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