死神刑事 大倉崇裕

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「逃げ得は許さない。それが私のモットーでして」by 儀藤

【あらすじ】
 警視庁の離れ小島と噂される奥多摩の第三駐在所に勤務する榎田悟は警察学校を2年前に卒業した警察官。
毎日事件もなく住人の大半は高齢者。
荷物を持って駐在所の前を通る高齢者が居れば、自宅まで荷物を運ぶのが榎田の仕事である。

上司の小野寺は後2年で定年のベテラン巡査部長。
小野寺は身長187cm体重95kgの榎田に向かって「宝の持ち腐れだよ」と言い放つ。
榎田は練習では無敵だが試合になると勝てない、ガラスのハートの持ち主だった。

前任の所轄で痴漢をした被疑者・正岡を交番にまで連れて行った。
正岡は起訴されたが最後まで否認。
つい最近、再審で無罪が確定した。

ある日、「警視庁の方からきた儀藤堅忍警部補」が榎田を訪ねてくる。
儀藤は警察署員から「死神」と呼ばれる所属が無く、無罪が確定すると真犯人を求めて単独で再捜査を始める。
相棒には事件に関わった警察官を指名するのだ。
「死神」と呼ばれる所以は、警察にとっての黒星である無罪判決の再捜査に協力した警官は組織の中で信頼を失い生きていけない…。
そんな噂がまことしやかに流れているのだ。

儀藤は榎田を連れて、痴漢事件の関係者一人ひとりにあって話を聞いていく。
被害者の由希子、周りに居た小田氏、桶島氏、女性の菅氏と栗林氏。
被害者の弁護士の東氏、由希子の義父。
調べていくうちに他にも小柄な男がいたことが判明する。
あらゆる可能性を考える榎田は自分自身に吐き気がしそうだった。
そんな榎田に儀藤は耐えて正面から向き合うことを伝える。
それができない榎田に欠けているものは「怒り」でという事も。

真相に近づき事態は動き出す。
真犯人は一体誰なのか?
榎田は死神儀藤によって警察を追われるのか?

【感想】
儀藤はどこにも属さない「警視庁の方から」きた警部補です。
いざとなれば「そんな奴はウチには居ない」と一笑される存在。
そのあたりが「死神」と呼ばれる所以なのかもしれません。

地味で小太りで頭髪は薄く、黒縁の丸メガネ―銀行員か保険の外交員の様な風貌で死神らしくありません。
ところが手がけた事件は必ず真犯人を突き止め、相棒に指名した警察官を再生させます。

組織を重んじる警察組織において、珍しい主人公です。
少し「相棒」の右京さんを意識しているのかな?
と思わせる言い回しなどもありました。

重厚な刑事ものやハードボイルド系が好きな方にはちょっと物足りないかもしれません。
短編なので読みやすく、推理の部分が多いので警察小説が初めての人や軽めの推理ものが好きな人にはおススメです。
表紙と内容にはギャップがあります(笑)
著者の紹介を読んで、名探偵コナンの「から紅の恋歌」の脚本を担当と知り納得しました。

【目次】
死神の目
死神の手
死神の顔
死神の背中

幻冬舎
285ページ
2018年9月18日第1刷発行
本体価格 1700円
電子書籍あり

著者 大倉崇裕
1968年、京都府生まれ。
学習院大学法学部卒業。
1997年、「三人目の幽霊」で第4回創元推理短編賞佳作。
1998年、「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞を受賞。
本格ミステリを主戦場に活躍し、「福家警部補」シリーズ、「警視庁いきもの係」シリーズは映像化され人気を博している。
自らも映像に関わり2017年公開の劇場版「名探偵コナン から紅の恋歌」では脚本を執筆、映画は同年の邦画でナンバーワンの興行収入を達成した。

著書
「福家警部補の挨拶」
「やさしい死神」
「オチケン !」など多数

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