悪の五輪 月村了衛

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「金、権力、名声、色、そしてまた金。オリンピックの五つの輪は、そのまま五つの欲を示している」

【あらすじ】
 時は1963年、日本は翌年に開催されるオリンピックに湧いていた。
人見稀郎は白壁一家に属するヤクザ。
時間があれば映画を観に行くちょっと風変わりなヤクザである。
そんな人見は親分の広岡に呼び出された。
とある筋からの口利きで映画監督の鎌田欣明が白壁組に泣きついてきたという。
黒澤明が降りた東京オリンピックの映画監督にどうしてもやりたいという内容だった。
広岡は映画好きな人見に一任する。

鎌田はベテランではあるものの一流ではないためにかなり難しい。
人見は東京オリンピックの映画に関わる人物を調べ上げる。
発言力があるのは、元衆議院議員の桑井、日東体育大学教授の山畑、菱伴物産常務取締役の南沢の三人。
この三人を徹底的に調べて隙を見つけた人見は行動に移る。

一方鎌田には現場からの信頼を得るようにこと細かく指示を出していた。
低予算で作っている作品が思いのほか当たり、2週間で打ち切らるはずが4週間上映され評判も良かった。

人見は現場にも顔を出し大道具や照明などの裏方にも声をかけ一目置かれるようになる。
人見エージェンシーという表看板を作り人脈を介して大物人物に会い、少しずつ足場を固めていく。
東京では知らぬものがいない、暴れだしたら止まらないヤクザの花形、大映の永田雅一、人見の仕事は順調に進んでいるようにみえた。
しかし、一向にオリンピックの映画監督の話に鎌田の名前が上がってこない。

そんな折、鎌田が監督をする現場でトラブルが発生した。
ロケ現場に手配ミスで人数分の弁当が届かなかった。
弁当は偉い順に配られる。
ここで弁当を配る助監督がわざと在日朝鮮人や部落出身者を後回しにしたのだ。
キャメラマン助手の差別的な一言で現場は乱闘となった。

人見はこの場を納めることができるのか?
鎌田の監督生命は??

【感想】
本編に永田雅一氏、児玉富士夫氏など実在した人物が出てくるので、鎌田欣明の事は事実なのではないか?と思うほどのリアリティがある話でした。
欣の一文字でこの人物は深作欣二監督のことか??
など邪推したほどです。

オリンピック開催に向けての工事、映画、いろいろな所で利権を求め暴力団、政治家、財界が絡んできます。

私は前回の東京オリンピックには生まれていませんが、昭和生まれかつ映画好きなので、どうなるんだろうとワクワクしながら一気に読みました。
来年に東京オリンピックを控えた今、どこかで同じようなことが起こっているのでは?
とも思わせる話でした。

昭和生まれで映画好きの人におススメのハードボイルドエンタメ小説です。

講談社
260ページ
2019年5月14日第1版印刷
本体価格 1600円
電子書籍あり

著者 月村了衛
1963(昭和38)年、大阪府生れ。
早稲田大学第一文学部卒。
2010(平成22)年、『機龍警察』で小説家としてデビュー。
冒険小説の新たな旗手として高く評価される。
2012年『機龍警察 自爆条項』で日本SF大賞を受賞。
2013年『機龍警察 暗黒市場』で吉川英治文学新人賞を受賞。
2015年、『コルトM1851残月』で大藪春彦賞を、
『土漠の花』で日本推理作家協会賞を受賞している。

著書
『槐(エンジュ)』
『ガンルージュ』
『追想の探偵』
『機龍警察 狼眼殺手』
『コルトM1847羽衣』など多数。

月村了衛 公式ブログ

最後まで読んで頂きありがとうございます。
当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。

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