終点のあの子 柚木麻子

「空気を読め。皆に合わせろ。私たちの気持ちを逆撫でするな」

 この本との出会いは「一箱古本市」です。
出店しているブースをまわり、店主さんと話をして本を選んでいました。
この本の著者、柚木麻子さんの「ランチのアッコちゃん」シリーズが好きなので、購入しました。

【あらすじ】
 舞台はプロテスタント系のお嬢様学校。
中学からエスカレーター式に高校に進学した希代子は、高校から入学してきた朱里と友達になる。
有名なカメラマンの娘である朱里はどのグループにも所属せず、お昼ご飯は屋上で一人。
学校に来ず江の島で過ごす日もある自由人。
希代子はそんな朱里に憧れる。
ある日、通学の電車の中で朱里に学校をさぼって江の島に行こうと誘われる希代子。
江の島行きの急行に乗ったものの、学校をさぼることで所属しているグループからどう思われるか、母からなんて言われるか…。
迷った挙句、希代子は次の駅で降りて学校へ行くことを選ぶ。
そんな希代子に朱里は「意気地なし」と罵る。

自由な朱里に憧れはするけれど、平穏な今を壊したくない。
夏休みに入り朱里から家に遊びに来ないかと電話があった。
朱里の部屋に行くと、以前朱里が小説を書いていたノートがあった。
続きが読みたくてノートを手に取った希代子は途中から日記になっていることに気づく。
読み進めていくと自分を含めてクラスメートの悪口が書いてあった。
希代子は、そのノートを持ち帰り朱里を懲らしめたいという思いにかられた。
二学期になり文化祭が済んだ後、希代子は実行に移した…。

【感想】
 女子はどのグループに属するかが大事。
グループ以外の子と仲良くなるのは学校以外、そしてそれはグループの子に知られたくはない。
あらすじに書いたのは、4つあるうちの一番最初にある話。
連作短編集で、希代子の話。
希代子の親友だった森ちゃんが夏休みに内緒でアルバイトをする話。
3つめは華やかなグループの恭子がクラスで一番地味なグループの早智子と図書館で仲良くなる。
最後は大学4回生になった朱里の話。

大人になりたい、自由になりたい、背伸びをしてみたい、一人になりたくない。
そんな女の子の気持ちが伝わってきます。
やりたい事や憧れる事、素直な自分…でも基準になるには教室の中での自分。
その立ち位置は変えたくない。

なんだかモヤモヤしながら読み終えました。
「女子って面倒くさいな」

我が身を振り返ると中学、高校とグループの中で所属した記憶が薄いのです。
社会人になってからは特に…。
昔も今も、女の友達は少なく女性同士でつるんでどこかに行くことはほぼありません。
グループのメンバーに気を使っていろいろ思い悩むよりは一人で居ることの方が私にとっては楽。
考えれば常に自分にとって楽な方向にばかり進んでいたかもしれません。

なので読み終えた感想は「女子って面倒くさい」
でも話に出てくる女の子たちには心の中で「頑張れ」とエールを送っていました。
それは小説の中の女子高生に自分の子を重ねているのかもしれません。
女子の思考を知る1冊となりました。

【目次】
フォーゲットミー、ノットブルー
甘夏
ふたりでいるのに無言で読書
オイスターベイビー

文春文庫
247ページ
2012年4月10日第1刷発行
本体価格 533円
電子書籍あり

著者 柚木麻子
1981年東京都生まれ
立教大学文学部卒業
2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」で
第88回オール読物新人賞を受賞。
受賞作を含む連作短編集「終点のあの子」でデビュー


著書
「あまからカルテット」
「嘆きの美女」
「その手をにぎりたい」
「ランチのアッコちゃん」など多数

柚木麻子お知らせ ツイッター