世界を、こんなふうに見てごらん 日高敏隆

今回は、ラジオ「ホンスキー倶楽部」で4月28日の放送で紹介した本です。
テーマは「春」

◎あらすじ
動物行動学者の著者が語る、いきものから学んできたこと。
虫や動物とおしゃべりするように観察を続けて、見えてきたことをやさしい言葉ながら鋭く綴るエッセイ。

◎みどころ
子どもは観察することで学ぶ時間を持つけれど、そこにあるのは「なぜ?」かと疑問に思う心。
動物学では、動物が今の形になった原因を追及し、その中で体の仕組みと苦労を知っていきます。
それぞれの動物は自分の体の作りに合わせた環境と世界で生きています。
そして人間は動物とは別の環境で生きています。

人間は死を予想して、政治体制まで作る生き物。
けれど人間以外の動物は死がわからないようです。
人間は今目の前にないものをイメージできます。
つまり幻も幻でないと思い込んで世界を作ることができるのです。

著者はこれをイリュージョンと言っています。
それは理屈だったり、時代の流れによって変わる思想だったりします。
こうあるべきだという前提があり、そこから始めたときに見逃すものがあるかもしれません。
ただ目の前にあることが知りたくて突き詰めていったら分かることもあります。そんな時、常識がひっくり返るような発見があるのでしょうか。

そんな風に世界を見てみる、というタイトルはとても奥深い言葉です。
動物の具体的な事例をあげながら人生哲学までに及ぶ、知的な本です。
新しいことを始める春だからこそ、頭を柔らかくするために読んでほしい一冊。

集英社
208ページ
2013年1月18日第1刷発行
本体価格 440円
電子書籍あり

著者:日高敏隆
(1930-2009)東京生れ。
東京大学理学部動物学科卒業。
東京農工大学教授、京都大学教授、滋賀県立大学学長、総合地球環境学研究所所長などを歴任。京都大学名誉教授。
動物行動学をいち早く日本に紹介し、日本動物行動学会を設立、初代会長。
2001(平成13)年『春の数えかた』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。

著書
『チョウはなぜ飛ぶか』
『人間は遺伝か環境か?』
『ネコはどうしてわがままか』
『生きものの流儀』など。
訳書に『利己的な遺伝子』『ソロモンの指環』『ファーブル植物記』などがある。

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