毒よりもなお 森晶麿

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「罰、罰、罰、と雨音が一気に私に襲い掛かってきた」

【あらすじ】
美谷千尋はカウンセラー。
都内のクリニックで週に5日、カウンセラーとして働き、
週末はノンフィクションライターとして取材や執筆に当てている。
週に1回、図書館の空き部屋を使い無料で出張カウンセラーを行っている。

ある日、高校生ぐらいの女の子が相談にやってきた。
今道奈央と名乗る女の子は自殺願望を持っていた。
ツイッターで「首絞めヒロ」をフォローしているとスマホを見せる奈央。
奈央の連絡先を聞き別れたが、千尋は「首絞めヒロ」が気になりツイッターで検索する。
管理者紹介に載っているタグをクリックすると、千尋が高校生の時に出会い自身が「患者ゼロ号」と称した間宮ヒロアキだと確信する。

物語は千尋とヒロアキとの出会いに遡る。
千尋は3度首を絞められたことがある。
最初は小学生の時に男子生徒とケンカした時。
2度目は12歳の誕生日に父親がプレゼントのネックレスをつける時にそっと絞めた。
3度目は高校3年生の時に予備校の帰り道、突然首を絞められた。
抵抗して助かり、そのまま首を絞めた相手を追いかけた。
追いつき問い詰めると「なぜ首を絞めたのかわからない」という。
マミヤヒロアキと名前を聞きだす千尋。
この時には心理カウンセラーを志していたのでヒロアキを「患者ゼロ号」としてファイリングを始めるのだった。

【感想】
ヒロアキを「患者ゼロ号」にしてからの千尋の行動がストーカーの様で「この小説はなんだ!?」と思いながら読みました。
ヒロアキより千尋の方が異常ではないか??
そう思いながら読み進めていくと…。
大どんでん返しがあったのです。

そうか…そうだったのか…。
まだプロローグを読み返しました。

そしてあとがきを読んで更に驚きました。
私は知らなかったのですが、この物語は現実にあった事件を元に書かれています。
「自殺サイトを利用した殺人事件」です。
「犯行自体は許されざるものだ。だが、犯人をそのような人間にしてしまった環境に責任はないのだろうか?」という著者の一文が重くのしかかりました。

子どもは親のおもちゃではない。
小さくても一人の人格を持って生きている。
親の責任は重いと感じた1冊でした。

【目次】
プロローグ
1 二〇一八年 首絞めのヒロ
2 二〇一〇年 白の誘惑
3 二〇一八年 追放者
4 二〇一一年 N県毒物シチュー事件
5 二〇一八年 奇妙な手伝い
6 二〇一一年 一人の中の大量死
7 二〇一八年 接近
interlude 首絞めヒロからのメッセージ
8 二〇一八年 思考は許されている
9 カウンセラー希世乃の日記 二〇一八年九月十三日
10  カウンセラー希世乃の日記 二〇一八年九月二十日
エピローグ

KADOKAWA
312ページ
2019年3月1日第1刷発行
本体価格1600円
電子書籍あり著者 森晶麿
1979(昭和54)年、静岡県生れ。
早稲田大学第一文学部卒業。
日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。
2011(平成23)年『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞。

著書
「黒猫シリーズ」
「花酔いロジックシリーズ」
「偽恋愛小説家シリーズ」
『ホテルモーリスの危険なおもてなし』
『僕が恋したカフカな彼女』
『M博士の比類なき実験』
『かぜまち美術館の謎便り』など。

最後まで読んで頂きありがとうございます。
当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。

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