なごりの月 日本橋牡丹堂菓子話(二) 中島久枝

「人は何かに一生懸命にならなくちゃだめだ」by お時

【あらすじ】
一年間の約束で江戸、日本橋の和菓子屋「二十一屋」通称牡丹堂で働いた小萩。
実家に戻り旅籠屋を手伝う日々。
本当は牡丹堂に戻りたいのだが、姉の婚礼が近づいていて言い出せない。

悶々とした日を送り、幼馴染のお駒とお里も許嫁が居て早く小萩もいい人を見つけるようにと言う。
小萩は牡丹堂の職人伊佐に惚れていて、他の男性には目もくれない。
そんな小萩に縁談の話が舞い込む。
ある日、小萩は母親のお時が結婚する前は三味線の名手で芸妓だったことを知る。
お時は小萩に自分の過去を語りながら、どうして縁談を断ってください。もう一度日本橋に行かせてくださいと、お願いしないのか問いただす。
実は小萩は父親に気持ちを伝えていた。
「俺は反対だ。そう言われて諦めるくらいなら、やめておけ」
小萩は覚悟を決めて日本橋に戻る。

日本橋では昔、牡丹堂に居た職人鷹一が牡丹堂の目と鼻の先に同じ和菓子の店を出した。
名は「天下無双」
鷹一には吉原で名を馳せ、吉原の外でもアコギな商売をする勝代がバックについていた。
これまで牡丹堂を贔屓にしていた客も新しい、鷹一の店に流れていく。
そんな中で小萩は大きなミスをしてしまう…。

【感想】
先日紹介した「いつかの花」の続編です。
実は「いつかの花」を読んだ後に直ぐにこの本を手に取り、1日のうちに二冊とも読んでしまいました。

前半は小萩が実家に戻り牡丹堂に戻るまでが綴られています。
読んでいて小萩がもどかしくて仕方ありませんでした。
この文章を書きながら、当時の女性は結婚して子ども産み育てるのが幸せとされていて小萩の様に仕事をしたい…と思うのはわずかな女性だったのでは?
母親のお時の後押しがあったとは言え、決断をするのは当時は大変なことだったはず。
現代に生きる自分と比べるのは違うかな…思いつつも読みながら「小萩、言わなくちゃ」と心の中でエールを送っていました。

後半は牡丹堂に戻ってからのエピソードです。
牡丹堂にライバル店が現れます。
ワクワクドキドキしながら最後まで一気に読んでしまいました。
もちろん、今回も美味しい和菓子が出てきますよ。

第三巻が出ているんですよね~。
買うかどうするか…迷っています(笑)

【目次】
初春 祝い菓子は桃きんとん
陽春 白吹雪饅頭の風雲児
初夏 かすていらに心揺れ
盛夏 決戦 ! 涼菓対決

光文社時代小説文庫
295ページ
2018年1月20日第1刷発行
本体価格 640円
電子書籍あり

著者 中島久枝
フードライター、クチコミサイト「和菓子つぶやき処」女将。
「銀座和菓子塾」講師。
新聞などに記事を書く傍ら、家庭で手軽に作れる和菓子、和風のおやつを紹介。

著書
「日乃出が走る 浜風屋菓子話」
「金メダルのケーキ」など