いつかの花 中島久枝

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「いつか、私は私と胸をはって言える日が来るのだろうか」by 小萩

私は「10000冊が繋ぐ本好きの輪」というフェイスブックグループの管理人をしています。
このグループはフェイスブックでのイベント「みんなで10000冊読めるかな」に参加している人たちの交流の場です。

このイベントは参加者が読んだ本のレビューをアップする場なんです。
ただ、読んだ本にはナンバリングをして、1年で10000冊を目指すというイベントで昨年は残念ながら10000冊には及びませんでした。

このイベントで知り合った東京に住むホンスキー(本好きな人のことを勝手にこう呼んでいます)さんが「10000冊で繋ぐ本好きの輪」で「本棚が一杯になったのであふれた本をプレゼントします」という投稿をしていました。
前から書店で気になっていた本で、偶然にもプレゼントの一覧にあったのでコメントすると私が早かったようで、戴けることになりました。
そんなご縁があった本です。

【あらすじ】
小萩は鎌倉にある旅籠の娘。
知り合いから菊の形の和菓子をもらい、その美しさに惹かれた小萩。
母のお時の知り合いが営む江戸の日本橋にある和菓子屋「二十一屋…通称牡丹堂」に一年間限定で働き始める。

牡丹堂には隠居して悠々自適の暮らしをしている弥兵衛。
弥兵衛の妻、お福は店に出て接客をしている。
婿の徹次、一人息子の幹太、職人の留吉と伊佐が店を切り盛りしている。
牡丹堂の豆大福は人気で昼過ぎには売り切れてしまう。

季節は春、二十一屋では桜餅を出す時期である。
同じ日本橋に本家は京都で室町時代創業の「東野若紫」という和菓子屋がある。
主の近衛門は牡丹堂を快く思っていないようで何かにつけて京ことばではんなり嫌味を言ってくる。

牡丹堂の得意先である呉服屋の川上屋は毎年春に贔屓客を歌舞伎に招待する。
その時に出す仕出し弁当に着ける桜餅をいつも牡丹堂に頼むのだが、今年はまだ注文がない。
川上屋のおかみ冨江が牡丹堂にお福を訪ねてきた。
冨江とお福を仲が良く、奥座敷に通すといきなり謝ってきた。
今年の桜餅は京びいきの嫁のお景が、東野若紫に頼んでしまったのだった。
お福は仕方がないと冨江に言うが、それだけではなく嫁のお景と上手くいっておらず、そんな愚痴もお福にこぼしていたのだった。

お景は店の反物で着物を作っては自分で着て町を歩き、宣伝していた。
町の若い女の子はお景に憧れ、店の売り上げも上がっているのだった。
ある日、川上屋に客が怒鳴り込んできた。
お景の見立てた着物がお宮参り用の着物にそぐわない、というものだった。
お景は客に謝るわけでもなく店の奥に引っ込んでしまう。

小萩が店の使いで出た帰りにお景を見かける。
お景の姿が寂しそうに見えた小萩はお景に声をかけるのだった…。

【感想】
春・夏・秋・冬とそれぞれの章に和菓子が出てきます。
少しずつ牡丹堂に慣れていく小萩は職人の伊佐に淡い恋心を抱きます。
小萩の友達、お絹も伊佐に惚れていて小萩は応援します。

ライバルの東野若紫との和菓子対決や小萩の母、お時が牡丹堂に突然やって来るくだりなど家族の大切さをいろんなところにちりばめられた小説です。
牡丹堂の幹太の母親は早くに亡くなり、伊佐も両親が居なくて牡丹堂に引き取られて職人となります。
弥兵衛とお福の間には幹太の前に子どもが居ましたが、幼くして病死しています。
愛する人の死を通じて残された者の心模様や互いを思いやる姿が何気なく描かれていました。

和菓子屋、時代小説とくると田牧大和さんの「藍千堂菓子噺」が思い出されます。
小説やエッセイなどで出てくる和菓子の表現は色鮮やかで、脳内での再生では限度があるのでいつも映像で見たいと思います。

小萩の成長物語、女性が頑張る話が好きな人にはおススメです。

【目次】
春 桜餅は芝居小屋で
夏 江戸の花火と水羊羹
秋 おはぎ、甘いか、しょっぱいか
冬 京と江戸 菓子対決

光文社時代小説文庫
292ページ
2017年5月20日第1刷発行
本体価格 640円
電子書籍あり

著者 中島久枝
フードライター、クチコミサイト「和菓子つぶやき処」女将。
「銀座和菓子塾」講師。

新聞などに記事を書く傍ら、家庭で手軽に作れる和菓子、和風のおやつを紹介。著書
「日乃出が走る 浜風屋菓子話」
「金メダルのケーキ」など

最後まで読んで頂きありがとうございます。
当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。

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