オバペディア 田丸雅智

「真のおばさんには、損得を越えた純粋な好奇心が必要なのだ」

【あらすじ】
おばさん…それは、噂好きでおせっかいな人種。

そこに目をつけた若者がいた。
おばさんだけが持つ情報の希少性と有用性に気づいたのだった。
・どこの店で、何が安く買えるのか
・タイムセールの時間帯
・値引きシールはいつ貼られるのか
常におばさんはインプットしている。

それだけない。
節約に関する情報や、安く作れるDIYなどにも精通。
そのうえ、個人情報を得る術にも長けている。
ご近所のことはおばさんに聞くに限るのだ。

若者は、おばさんの持つ独自情報にアクセスできるサービスを仲間と共に立ち上げた。
その名も「オバペディア」
オバペディアでは食料品の提供から生活の知恵、地域の個人情報まで網羅する。
近所の奥さんにお礼の贈り物をしたいけど何がいいのか
自分の子どもがつるんでいる子どもの情報
まさにおばさんならではなの情報だ。
直接相手に聞くと角が立つ情報もおばさんを経由することで近所付き合いも円満になる。

オバペディアの公式おばさんになるには適正な審査をパスしなければならない。
審査が通って初めて試験を受けることができるのだ。
最終関門は対人の情報収集スキルを見るテスト。
オバペディアは拡張の一途をたどっていくのだった。

【感想】
オバペディアは組織化はされていないものの
昔から「あ、それならそこの〇〇さんが詳しいわよ」と
地域の情報に詳しいおばさんが居ます。
アイデアとしては面白いので実現するのでは??

表題のオバペディア以外にも掲載されている短編には
ひょっとしたらそのサービスあるかも !!
と思わせるものがいくつもありました。

この発想はどこからくるんだろう??
と思うと同時に読後にニヤリとしてしまう話から
心が温かくなるものまであり、18の話を楽しみました。
一番好きな話は「雪解けのカクテル」です。

すきま時間で1つの話が読めるので、忙しいあなたに心の栄養として
この本をおススメします。

【目次】
1. くじ物件
2. 記憶の喫茶
3. 矢印の街
4. 十郎
5. 採集電車
6. 甘海、甘魚
7. プレミアム地方
8. 新入社員
9. 赤ちゃんエクスプレス
10.  黒い犬
11.  メリー
12. 言葉の蛇口
13. 星の申し子
14. 白い犬
15. あの日の花火
16. オバペディア
17. 雪解けのカクテル
18. バルーンケーキ

潮出版社
232ページ
2019年5月7日第1刷発行
本体価格 1300円

著者 田丸雅智
1987年、愛媛県生まれ
東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。
2011年、『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載され作家デビュー。
2012年、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。
「海酒」は、ピース・又吉直樹氏主演により短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。
2015年からは自らが発起人となり立ちあがった「ショートショート大賞」において審査員長を務め、また、全国各地でショートショートの書き方講座を開催するなど、新世代ショートショートの旗手として幅広く活動している。


著書
『海色の壜』
『ショートショートクリニック』
『おとぎカンパニー』など。

田丸雅智 ツイッター
田丸雅智 公式サイト

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最後の医者は桜を見上げて君を想う 二ノ宮敦人

今回紹介するのは、ラジオホンスキー倶楽部で紹介した本です。
4月のテーマは「春」

東京都 ラジオネーム ぶるぼん

二ノ宮敦人 「最後の医者は桜を見上げて君を想う」 TO文庫
①  この本のおすすめどころ

自分の死生観を考えさせられる点がオススメです。
物語は「とある会社員の死」「とある大学生の死」「とある医者の死」の3つで構成されていますが、そのどれもが大変重い病です。

人は誰もが平等に「死」を迎えますが、3人の患者の死の過程はとてもリアルなのです。
その死へ向かっていく過程が本当に自分自身に起こってるのではないか?と錯覚しそうになるほどでした。
病気ととことん闘うか、死を受け入れ自分らしい時間を過ごすか、物語に登場する死から自分の最期をどう迎えたいかと考えさせられました。

その最期を迎えるためには今どう生きるべきかということも。
命を扱う本でとても重いですが、人生を半分過ぎたところで読めたのはとてもよかったと思います。

②  この本との出会い

本屋さんで表紙が見えるような形で置いてあった話題の本のコーナーです。
その時点でおそらく結構人気になっていた本なのだろうと推察しますが、地元のそれほど大きくもない本屋さんで山積みになっていたこと、
表紙絵の桜、散り際の桜に目が奪われたのもあって、思いもかけず手にとりました。

ちょうどその頃、桜が咲くまでもう数週間っていう時期だったのも影響があったかもしれません。

③ 春の思い出
桜を見上げてることですかね~。
春先にはあまりいい思い出がないのですが、桜は毎年とても楽しみにしてます。この本に惹かれたのも、桜を待っていた、その影響があったのかもしれませんね。

TO文庫
416ページ
2016年11月1日第1刷発行
本体価格 650円
電子書籍あり

著者 二ノ宮敦人
1985(昭和60)年東京都生れ。
一橋大学経済学部卒業。
2009(平成21)年に『!ビックリマーク』(アルファポリス)でデビュー。
ユニークな着眼と発想、周到な取材に支えられた数々の小説を世に送り出し人気を博す。

著書
『郵便配達人 花木瞳子が顧り見る』
『占い処・陽仙堂の統計科学』
『一番線に謎が到着します』
『廃校の博物館 Dr.片倉の生物学入門』など著書多数。

民王 池井戸潤

【あらすじ】
総理大臣が1年少しでころころと変わり政治もねじれている状況で、あらたに総理大臣になった武藤泰山。
国会答弁中に親知らずが痛みだして気がつくと・・・。

武藤の息子は大学生。大学にはほとんど行かず、遊びまくっている日々。
ある日、友達が主催するパーティーで高飛車な女性エリカと口論になりかけている時に、頭に勝手に会話が浮かんでくる。そして気がつくと…。
なんと2人の脳が入れ替わっていた!!

巻き込まれたのは2人だけでなく、泰三が属する民政党の議員に憲民党の議員までも。
そしてそこには米のCIAの機密技術が関係してくる。
国会答弁で漢字が読めない総理大臣、就職の面接で献金先の銀行に啖呵を切って落ちてしまう大学生。
2人は入れ替わったままで何を感じ、どう動くのか。

【感想】
初めて読んだ 池井戸氏の本は実は「民王」でした。
出てくる人物や国会議員も思い当たる節があり、ふむふむと思ってしまいます。
勧善懲悪ものが好きな人にはおススメです。

文春文庫
352ページ
2013年6月10日第1刷発行
本体価格 660円
電子書籍あり

著者 池井戸潤
1963年岐阜県生まれ。
慶應義塾大学卒。
『果つる底なき』で江戸川乱歩賞、
『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、
『下町ロケット』で直木賞を受賞。

著書
『オレたちバブル入行組』
『オレたち花のバブル組』
『ロスジェネの逆襲』
『不祥事』
『ルーズヴェルト・ゲーム』
など多数

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ゆめつげ 畑中恵

【あらすじ】
江戸は上野の小さな神社で神官を務める、のんびり屋の兄、弓月としっかり者の弟、信行。
夢に入って過去や未来を見る「夢告」が得意な弓月だが、迷い猫を探せば、とっくに死んで骨を見つけるという具合で、全く役に立たないしろもの。
が、何を見こまれたか、大店の一人息子の行方を見てほしいという依頼が…。
礼金に目が眩み弟をお供に出掛けたものの、事態は思わぬ方向に転がって行く。
果たして、大店の一人息子は見つかるのか?

【感想】
しゃばけシリーズの畠中さんの作品です。
この物語には妖かしは出てきませんが、夢で占うことができる弓月が、なんとなくしゃばけの若旦那を彷彿とさせます。
設定が幕末なので、その時代ならではの展開もあり、中盤から引き込まれるように読み切りました。

角川文庫
317ページ
2008年4月25日第1刷発行
本体価格 560円

著者 畑中恵
1959(昭和34)年、高知県生れ、名古屋育ち。
名古屋造形芸術短期大学卒。
漫画家アシスタント、書店員を経て漫画家デビュー。
その後、都筑道夫の小説講座に通って作家を目指し、『しゃばけ』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。

著書
「しゃばけ」シリーズの他、
『まんまこと』
『つくもがみ貸します』
『こころげそう』など多数

内向的な人のためのスタンフォード流ピンポイント人脈術 竹下隆一郎

「内向的な人ほど、物事の本質をつかんでいます」

人脈モンスターたちが活躍する時代はもう終わりを迎えている

人脈モンスター…様々な場所に出かけ名刺を配って人と繋がりをつくりまくる。

◆時代の変化
・TwitterやFacebookなどのSNSの発展で組織や人脈を介さなくても「本当に会いたい人」と個人対個人でつながることが出来るようになった。
→ ここでもみんなと繋がる必要はない。
  限られた自分が好きな人たちとピンポイントで付き合っていくだけで上手くいく。
・インターネットの登場やテクノロジーの進化によって一人でできることが増えた。
 TwitterやFacebookで宣伝ができ、クラウドファンディングで資金集めもできる。
➡ 人脈モンスターにならなくても、大事な少人数の個人と熱量がある深い関係を結んでいた方が、仕事も生活も楽しめて結果がだせる時代になってきた

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しょうがっこうがだいすき うい えがらしみちこ

「いっしょうけんめいにやろう」by うい

この本は小学校2年生のういさんが
新しく小学生になる幼稚園・保育園のお友達に書いた絵本です。

小学生になるまでにやるといいこと

・ひらがなが書けるように練習をしておく
・足し算や引き算が、できるといいよ
・叫ばないように練習しよう
・大きな声で返事ができるようになっておこう
・大きい子と触れ合う練習をしておこう

小学生になったらやるといいこと

・一生懸命にやろう
・難しいと思うことは練習しよう
・勇気を出してお友達に声をかけてみよう
・遊ぶ時は友達を誘ってあげよう
・お友達とお手紙を交換してみよう
・先生には緊張していることを伝えてみよう
・お父さんお母さんに、学校の話をしよう
・早寝早起きをがんばってみよう
・宿題をやろう
・みんなの話をきこう


一つひとつの項目には理由も書いてあります。
「ひらがなが書けるように練習しておこう」では
自分の名前が書けないと困る
文字が読めると楽しい
先生の話が楽しく聞ける
小学校にはいろいろな貼り紙がある
先生も毎日お手紙をくれる
➡ 文字が読めると小学校の生活が楽しくなる

もちろん絵本は全部ひらがなで書いてあります。

【感想】
小学生のういさんが経験した実感のこもったアドバイスが
パステル調の絵と共に書いてあります。
大人から言われると素直に聞けないことも
ちょっとお姉さんの言葉で理由が丁寧に書いてあるので
私自身が「そうか、そうだよね」と思って読みました。

この本は小学生になる前の子どもだけでなく
先生を上司、友達を同僚に変えると
社会人にも通用する内容だと思います。

ういさんの小学校を楽しんで欲しいという気持ちが
とてもよく伝わる絵本です。

学研プラス
32ページ
2019年4月23日第1刷発行
本体価格 1400円
電子書籍あり

著者 うい

2010年生まれ。
三姉妹の長女。
ちょっとひょうきんで、みんなを喜ばせることが大好きな小学2年生。
自ら創作した本を人にプレゼントすることも。

卒園文集に書いた将来の夢は、「お金持ちになりたい」。
パンケーキビジネスで一攫千金を狙っている。

「当事者意識」をコンセプトに、あなたのことも私のことと考えられる子、一人称が常に「we(私たち)」になるように命名。

父親が2017年12月に「20代に伝えたい50のこと」を出版したことをきっかけに、本を書くことを思い立ち、本を書き始めました。

イラスト えがらしみちこ
1978年、福岡県生まれ。
熊本大学教育学部卒業。
『なきごえバス』でMOE絵本屋さん大賞2016パパママ賞第1位
2018年10月、静岡県三島市に絵本専門店「えほんやさん」をオープン、代表として運営に関わっている。

著書
『あめふりさんぽ』
『いろいろおてがみ』
『あのねあのね』
『あなたのことがだいすき』(原案・西原理恵子、KADOKAWA)などがある。