僕の母がルーズソックスを 朝倉宏影

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「自由になりたい。重力に縛られたくない。つまんない世の中、かきまわしたい。ただ、それだけだ」by 修一

潤平は高校2年生。
高校を卒業したら海外に行く。
その夢のためにお金を貯めていた。

手っ取り早くお金を稼ぐ方法。
ネットの掲示板に女子高生として下着を売ると書き込み
待ち合わせをして客の男性に売っていた。
制服は従妹の帆乃夏に借りメイクもしてもらった。
ウィッグをつけ待ち合わせの場所に。

今日の客はいつもと雰囲気が違う。
と思った瞬間男は黒い物体を出した…警察手帳だった。
補導された潤平は迎えに来た母、芽衣子から問いただされ口論になり
「あの男の子どもなんだから、まっすぐ育つわけないだろう !」

潤平は中学生の頃から優しくて決して怒らない母、芽衣子に違和感を持ち始めていた。
自ら理想とする「優しいお母さん」という仮面をかぶっているんだ。
潤平は芽衣子に本気で叱られたかった。
小学生のあの時、芽衣子が自分の父親にキレてワインをぶっかけ悪態をついたように。


 

 

 

 

次の日の朝「ここ、どこなの? マジで誰もいねぇのかよ ! ふさぜけんなよ !」
甲高い声で芽衣子の声が響く。
潤平の部屋に入った芽衣子は言い放った
「マジで、あんた誰?」

芽衣子の記憶は高校生に戻っていた。
言葉遣いはコギャルそのもの。
鏡を見た芽衣子は愕然とした。
記憶は高校生だが見た目は39歳の主婦の顔なのだ。

医者に行き芽衣子の姉文子に迎えにきてもらい実家へと向かった。
文子が作るカレーを食べながら、芽衣子は少しずつ話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

【感想】
設定が面白くって最後まで一気に読みました。
優しくて甘々の母親が高校生の時はコギャルだった。

「チョベリバ」「ルーズソックス」「ピッチ」
懐かしい言葉のオンパレード。
大人しく母親が買ってくる洋服を着ていた芽衣子が
両親に反発し茶髪し、コギャルになっていく。

見かけは39歳、心は高校生の芽衣子は服装を高校生にする。
そんな母親に潤平は向き合う。

読んでいて芽衣子が羨ましかった。
私は自分の殻を破ることができなかった。
そんなことをすれば「見捨てられる」
それが怖くて自分らしく出来る様になったのは40歳を過ぎてから。

当時の高校生の姿をする母と一緒に行動する。
潤平はとっても素直でいい人だ。
最後に潤平がふと疑問に思うこと。
まさかと思って読み直してみると潤平の疑問は当たっている…きっと。

 

 

 

 

 

講談社
322ページ
2019年2月28日第1刷発行
本体価格1600円
電子書籍あり

著者 朝倉宏影
1984年東京都生まれ。
東京学芸大学教育学部卒業。
会社員となるがその後退職し、現在はアルバイトをしながら執筆活動を続けている。
2012年『白球アフロ』で第7回小説現代長編新人奨励賞を受賞。

著書
『野球部ひとり』
『つよく結べ、ポニーテール』
『風が吹いたり、花が散ったり』など

最後まで読んで頂きありがとうございます。

当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。

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