インフルエンス 近藤史恵

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「一度も会ったことがなく、恨みもない人を殺す。そんなことができるのだろうか」by 友梨

私は毎週の様に図書館に通っています。
歩いて10分ほどの距離にあり、近くには公園もあって
気候の良い時には借りた本をそのまま公園で読むこともあります。
先日も借りた本を返すついでに、何か面白い本は無いか…と
本棚を眺めているときに、この本に出合いました。

表紙は団地でなんとなく暗いイメージが伝わってきます。
題は「インフルエンス」時期は(これを書いているのは1月末です)
インフルエンザが猛威を振るっている最中。
なので題名にもあまり良い印象はありません。
ただ、フェイスブックの本のグループで書評を見かけたのを思い出し
好きな作家さんなので借りることにしました。

ある作家の元に一人の女性から出版社に手紙が届く。
私と友人二人の女性三人の三十年にわたる関係を聞いて欲しい
という内容だった。

手紙の主は戸塚友梨。大阪の団地で育った。
友梨には小さい頃から日野里子という友達がいた。
友梨の家にたまたま祖父が来ている時に里子が遊びにきた。
「友梨ちゃんも、おじいちゃんと一緒に寝るの?」
里子は何度も友梨の祖父に尋ねる。
「女の子はおじいちゃんと一緒に寝るんだよ。そうでしょ」
小学2年生の時である。
この夜、父母と祖父は何やら長く話し込んでいた。
友梨はこの時何も気づかなかった。
友梨と里子も学年が進むにつれ疎遠になっていく。

中学生になり東京から団地に坂崎真帆が引っ越してくる。
本を通じて真帆と友梨は友達になる。
里子は中学になると不良の細尾と付き合うようになり
学校も来ない日があった。

中学二年生の時。
友梨の家で真帆と一緒に宿題をしていて遅くなり
真帆を途中まで見送った友梨は、真帆が白い車に乗せられそうになるのを見て
無我夢中で止めた時に男を包丁で刺してしまう。
二人は慌てて各々の自宅に帰った。

次の日、友梨は熱が出て学校を休む。
母から団地で人が殺され、里子が警察に呼ばれたと聞く。
里子は男に車に乗せられそうになり包丁で刺したと言うのだ。
友梨が現場を確認するとそこは里子の部屋の窓が見える場所だった。
何故、里子が?
不審に思うが自分がしたことを誰にも言えない友梨。

この事件が、三人の関係の始まりだった。

 

 

 

 

 

【感想】

大阪の小説家にこの話を持ち込むところから始まっているのですが、
著者の近藤さんは大阪出身。
まさか…と思わせる展開です。
あらすじはかなり前半部分で終っているのですが、
この後、三人は奇妙な関係でお互いにインフルエンス(影響)していきます。
団地という閉鎖性の中での人間関係がこの作品の特徴なのかもしれません。

これまで近藤さんの著書は「サクリファイス」シリーズのスポーツもの、
「タルトタタンの夢」のビストロ・パ・マルシリーズ、女清掃員探偵 キリコシリーズ
などを読んできましたが、どれとも違い読み終えた後もなんだかスッキリしない感覚があります。
スッキリしない分、ひょっとしたらこの女性の意図はこうだったのか?
といろいろ妄想できる本でもありました。
もちろん、一気読みです。

 

 

 

 

 

 

 

文藝春秋
262ページ
2017年11月25日第1刷
1500円(本体価格)

著者 近藤史恵
1969年大阪生まれ
大阪芸術大学文芸学科卒
1993年「凍える島」で第4回鮎川哲也賞受賞

著者
「サクリファイス」
「モップの精は旅に出る」
「スティグマータ」など多数

近藤史恵ツイッター

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