生きているうちに、さよならを 吉村達也

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「人に対しても、場所に対しても、すべてが『きょうでさよなら』になっているのかもしれない。そんな気持ちで、毎日を過ごしているんです」by大塚

この小説は2時間くらいで読める本はないかなぁ…と
我が家の本棚を眺めていて、ふと目に入った本です。
そういえば、まだ読んでなかったなぁ。
ペラペラとめくると九章に分かれていて読みやすそうだと思ったのと
吉村達也氏の著書は初読みだったので手に取りました。

本宮直樹は倒産しかけていた父親が経営する会社を
一部上場企業まで立て直した。
妻、涼子とは見合い結婚で関係は冷え切り
9人目の愛人、小倉さゆりに惚れ込んでいる。
長男の敬は高校二年生、長女の澪は中学二年生。

お正月に家族旅行がしたいと涼子が言い出した。
場所はグアム。
直樹はハワイかロスを提案したが涼子はグアムに拘り
しぶしぶ直樹も了承した。

グアムについての夕食時でも家族の会話は無く
子ども達は目も合わさずタバコを嫌がられる始末。
直樹は来たことに後悔をしていた。
「お前ら三人で来ればよかったんだ」
直後、涼子からの告白があった。
グアムに来たかったのは、この地が新婚旅行で来たから。
そして…
「私ね。もうすぐ死ぬの。もって一年。早ければ半年…
ひょっとしたら、もっと早いかもしれない」
涼子はホスピスに移り、余命が三か月から一か月と医師から告げられた。

同時期に腹心の部下、志村から副社長の今泉が
クーデターを起こそうと画策していると聞かされる。
直樹は腹をくくり、今泉に頭を下げ時期社長に任命する。
妻の余命、会社のクーデターでショックを受けた直樹は
自分がわからなくなり人生相談の師、大塚綾子を訪ねる。
綾子は涼子が幼少の頃に過ごした場所を訪れることを提案する。
涼子の育ってきた環境を知ることで人柄も知ることができ、
妻として果たしてきた役割も改めて知ることができると。

勧められるまま涼子の故郷に向かう直樹。
そこで思いがけない話を聞く。

 

 

 

 

【感想】
話は主人公、直樹の手記として進んでいきます。
直樹はどこにでもいる、一代で会社を上場企業にした
ワンマン社長。
愛人を囲い家庭を顧みず、子どもからは疎んじられる。
いるよね~、こういう人と思いながら読み進めました。

涼子がなぜ直樹に従順と妻として母として生きてきたのか。
後半の展開で涼子という一人の女性が浮き上がります。
そして最後の展開は「えっ???」と思うものでした。

あくまでも直樹は「良くも悪くも自分勝手な人だ」というのが
読んだ感想です。
話の中には生前葬の事も書いてあり興味深く
50半ばになる私には大塚の冒頭の言葉
「人に対しても、場所に対しても、すべてが『きょうでさよなら』になっているのかもしれない。そんな気持ちで、毎日を過ごしている」は共感できました。

 

 

 

 

 

【目次】

はじめに
第一章 生きてるうちに、さよならを
第二章 友が天に昇った日
第三章 それを行う正しい理由
第四章 花の香りのする夜に
第五章 あの海と同じ海を眺めて
第六章 人間性が試されるとき
第七章 旅立ちの準備がはじまる
第八章 しがらみを逃げ出して
第九章 情念の炎が消えるてき
おわりに

集英社文庫
232ページ
500円(本体価格)

著者 吉村達也
1952年東京都生まれ。
一橋大学卒業。
ニッポン放送、扶桑社勤務を経て
1990年推理作家に変更。
氷室想介、志垣警部などの人気キャラを擁した
ミステリーやホラーなど多彩。
2012年5月逝去

著書
「やさしく殺して」
「別れてください」
「鬼の棲む家」
「怪物が覗く窓」など多数

最後まで読んで頂きありがとうございます。

当ブログの記事があなたの読書のお役に立てれば幸いです。
また読みに来ていただけると嬉しいです。
グッドレビュアー

プロフェッショナルな読者

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