森見登美彦 「夜は短し歩けよ乙女」

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これぞ青春の一冊

兵庫県 ラジオネーム まーりんの杖が欲しい子

森見登美彦 「夜は短し歩けよ乙女」

① この本のオススメどころ

好きな彼女に近づきたい一心で、待ち伏せ、先回りし、追いかけて行く健気な男はなぜにこんなに可笑しいのでしょう。

そしてそんなこととは微塵も疑わず「あら、奇遇ですね」と涼しく笑う彼女はなぜ可愛いのでしょう。

空中浮遊術だの竜巻に乗って帰ってくる金魚だの。

竹やぶと池を屋上に備えた三階建ての個人電車で果たされる“偽電気プラン”の酒飲み対決。

奇々怪々な面々が織りなす人間関係と珍事件。

普通の大学生のありふれた片恋物語でありかつ、アハハと笑える荒唐無稽・大言壮語(たいげんそうご)の語り口と。

交互に綴られる無邪気な彼女のパートとやたら理屈っぽく固い文体の“先輩“のパートの対比。

そのアンバランスさ。

それは

恋が人を投げ込むカオスの渦、青春時代そのものです。

何でもないことに泣いたり笑ったり大騒ぎしたりした、あの独特の高揚感。

それが青春。

口から出任せに書き散らした文章とみせかけて、周到に巡らした伏線。

現実と夢幻が混沌とする

ごった煮のジグソーパズルが、劇的な終章に向かって収束していくさまは小気味よく心温まります

② この本との出会い

この本は娘が買って貸してくれました。

我が子ながらほんとに面白い漫画や本を次々とよく知っていた。

合格した県立高校の一学期を登校渋りから不登校を経て退学した時期です。

その後通信制高校に籍を置き、バイトしながらデッサン教室に通い、SNSを通じて親の知らない世界に入っていきました。

思春期の危うい頃も、本が好きだから自然と知的な好奇心で繋がれる交友関係を自分も選ぶし、その方たちのおかげで段々に気持ちもしっかりして成長できたのだろうと思います。

この本を今見ると、家庭も苦しく母も不安定、嵐に揉まれるように過ごしたあの毎日を思います。

③ 青春の思い出

本作は私が産まれ育った京都が舞台で実際の場所やお店が沢山出てきます。乙女が歩く道筋はまるで自分の目で見ているように風景が浮かぶ。

四条木屋町にあった音楽喫茶「みゅーず」や、京都大学前の喫茶店「進々堂」は、古本屋をハシゴしたり、安い三本立て映画を観たり、訳もなく京都をうろうろしたりした自分の青春時代に時々行きました。

宇治の六地蔵は大学時代の彼氏がバイトしていた。

私も家が宇治だったので途中まで一緒に帰り、時間まで喫茶店でおしゃべりしたのも懐かしい。

小説中にも描かれるような数々のコンパでのバカ騒ぎ。学園祭。

肩組んで歌う寮歌と校歌。

学生しか行かない安~い飲み屋の二階を貸切ったクラブの打ち上げコンパ。

壁は天井まで歴代の学生の落書きだらけだったっけ。

それはもう戻れない“あの頃の風景”ですね。

♬森見登美彦

「夜は短し歩けよ乙女」は先月アニメ作品で公開

先輩の声を星野源

少女漫画も読みました。萩尾望都の『トーマの心臓』や『ポーの一族』、竹宮恵子の『風と木の詩』などちょっと昔のものを本屋をまわって買っていて。

『はいからさんが通る』なども読みました。

そういえば、うちの妹がバレエをやっていて、山岸凉子の『アラベスク』を読み出して、うちでブームになり、父親まで読んでいました。

そこから僕が『日出処の天子』を買ってきて、家族みんなで「うおっ」と言って読んでいました。僕が浪人していた頃かな。

 

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