「震える牛」相場英雄

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「背すじがゾッとする本」

兵庫県 ラジオネーム マリリンの杖が欲しい子

「震える牛」相場英雄

① この本のおすすめどころ

継続捜査班、いわゆるお宮入り事件をコツコツ捜査する昔気質の刑事が主人公。

二年前、居酒屋で偶然同時に殺された二人のゆきずり殺人事件を追う田川は、加工肉業界の闇や、大手ショッピングセンターの進出による地方都市問題に突き当たる。

地道な捜査が、あっと驚く社会問題を引き当ててしまう刑事小説のおもしろさと、

BSE牛問題に絡む食品偽装、その組織的隠蔽、私たちの身近かな食の題材を取り上げた興味との二点から、おすすめです。

この小説の中に登場するマジックマシーンはほんとにゾゾッとしますよー!

さらに怖いのは、それを巧妙に隠蔽する官民一体の利権体質!

ドラマにもなってます

② この本との出会い

あまり予備知識なく偶然図書館で手に取りました。

ただこの本を読んで、親友のお父さんが早くに亡くなったことを思い出しました。

その方も食品に関連したお仕事で、奥さんに口うるさくそれを買うな、あれは買うなと言ってらした。

自分の仕事にしてるものを家族に胸を張って食べさせられないストレスが、命を縮めたんじゃないかなと当時から思ってたんです。

③ 背筋がゾッとする経験

ある家庭内の出来事で、ほんとに芯から参っていた頃のことです。

自分の今まで生きてきた全ての考え方、精一杯やってきたことが全部否定された。

そんな日に、ふと洗面台の鏡に映った自分を見たんですね。

まるで人間と思えない、プラスチックみたいなその目を見たとき、心底ゾ~~~!としました

宇宙人に知らぬ間に乗っ取られた偽の自分を見たような。

ドッペルベンガーに会う恐怖があるとしたらこれ。

幽体離脱で気が狂ったかと思いました。

それが今までで一番背筋が凍るほど怖かった体験です。

 

♬ 相場秀雄

相場英雄の酩酊日記

作家/経済ジャーナリストの創作・取材手帳(酔っぱらいモノカキ・アイバの足跡)

ebook japanより

◆勧善懲悪の物語は一生書かない。そんな社会はないからだ

 

田川が事件の真相に肉薄しても、最終的にそれが明らかにされることとはない。勧善懲悪で終わるのかなと思っていたら、結局、組織の論理で蓋をされてしまうので、読者はスッキリしないような気がします。

相場 たしかにブックレビューや読者の方が感想を書いているサイトを見ると、結末が勧善懲悪じゃないのはスッキリしないという意見もあります。でも、皆さんが今まで生きてきた中で、そんなスッキリしたことってあるでしょうか? そこはあえてリアリティを求めたいんですよ。

僕は記者時代に嫌というほど企業によるトカゲの尻尾切りの事例を見てきたし、僕自身、何回も上司にハシゴを外されました。

記事がボツにされるだけでなく、突撃した時に身内に後ろから撃たれるという恐い経験もしています。

そもそも経済メディアに書いてあることは、嘘ばかりです。

僕自身、嘘をつき続けてきた人間です。

つまり、経済メディアが書けるネタは、非常に限られています。

とくに僕は銀行や一般企業の生き死にの最前線にいたので、嘘をつかざるを得ない。

僕らが書くとFACTになってしまうから書けないんです。

銀行であれば取り付け騒ぎが起き、一般企業であれば債権者が殺到しますから。

よく最近、マスコミにどこかから圧力がかかっていると言われますが、それは外部からの圧力じゃなくて、マスコミ側の自主規制です。

この記事を出してしまうと広告が入らなくなるかもしれないとか……。

僕自身、社内の圧力にボコボコにされた人間です。

警察も例外ではありません。

僕のネタ元の警視庁本部の人によれば、本部に居続けたかったら聞きわけがいい刑事にならないといけないそうです。

本部にいるというのは彼らにとって大きなステータスなので、本部に上がるために必死に人脈を作り、付け届けをする。

やっと入った本部に居続けるためには、上司の指示には素直に従わねばならない。

僕、記者時代は警察を担当したことがなかったので、この話は実に鮮烈でした。

だから今回の田川も、組織の論理で捜査が中途半端に終わることになっても辞表は書かず、組織に留まる。

なんだかんだ言っても人間、そこは弱いと思うんです。

世の中は、決してきれいごとじゃ済まない。勧善懲悪にしてしまうと、そのリアリティが失われてしまう。

だから僕は、ミステリーに関しては、勧善懲悪は一生書きません。

相場秀雄 震える牛

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