「長くつ下ピッピ」の作者 アストリッド・リンドグレーン氏の提言

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作者のアストリッド・リンドグレーンはスウェーデンの作家

「子どものしつけに暴力は不要」――『長くつ下のピッピ』を生んだ作家リンドグレーンは,

1978年にドイツ書店協会平和賞授賞式で力強く訴えた.

その提言は世論を動かし,スウェーデンでは,

世界ではじめて子どもへの体罰を禁止する法律を定めるきっかけにもなった.

子どもとかかわる全てのひとを希望へと導く名演説の

「暴力はぜったいだめ」も本となっています

子どもの気持ちをすくいとった児童文学作家。

原稿や手紙は、すでに世界記憶遺産に。

子どもに自分で道を切り開く力を求めながら、敷いたレールに乗せていないか。

大人が描く理想の子ども像を押しつけそうになったら、

スウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーンの物語を開きたい。

作家デビューは懸賞小説で、パートで働く37歳の主婦だった。

その後生み出された数々の作品は90以上の言語に翻訳され、

発行部数は1億5千万部にのぼる。いたずらっ子のエーミル、

プチ家出を決行するロッタちゃん……。

幼い主人公たちは理屈や思いをはっきり口にし、行動に移す。

頭でっかちな大人が立ちはだかる一方で、とことん味方する大人もそばにいる。

「よい文学は子どもに世界での居場所を与え、子どもの心の中に世界を創造する」

という本人の言葉通り、切手集めを趣味にするような目立たない子にも光が当てられた。

「教訓主義でもセンチメンタリズムでもない作風は、当時の児童文学界に風穴を開けた、

といわれた」と翻訳家の石井登志子さんは解説する。

代表作となった「長くつ下のピッピ」は1945年、世に出た。

船長の父は行方不明で、ピッピは9歳にして一人暮らし。

馬を持ち上げるほどの力持ちで、学校にも行かず、大人と対等に渡り合う。

「こんなことができたら」という憧れを体現するピッピは、

たちまち子どもたちの心をつかむ一方で、教育学の学者は新聞紙上で

「まったく不自然な女の子は、読者の精神を引っかく不快な感覚以外のなにものでもない」

と批判。

これに「すべての限界やしきたりを破るむこうみずな天才」と擁護する学者も現れて、

教育論争に発展した。

「草稿はもっと過激だった」とリンドグレーン記念文学賞審査員の

エリーナ・ドゥルッケルさんは話す。

原稿を送った出版社への手紙で、リンドグレーンも

「みなさんがわたしを児童保護委員会に訴え出ないことを切に望みます」

とユーモアたっぷりに予防線を張っている。

弾むような物語の背景には、

「安心と自由が私の子ども時代を幸いなものにした」という自身の経験がある。

お話が上手な父親と働き者の母親のもと、

畑の手伝いをしながら、農場を遊び場に育つ。

「遊んで遊んで“遊び死に”しなかったのが不思議なくらい」と振り返った。

作品の背骨となっている、世間の目より自分の思いを大事にする生き方には、

風当たりも強かった。

新聞社に勤めていた18歳のとき、未婚のまま妊娠。

故郷を離れて出産し、息子を養母に預けて働いた。

お金をためては会いに行き、一緒に暮らせるようになったのは3歳のときだ。

ともに木登りをしてスカートが裂けても気にせず、

子育てを通して再び子どもの頃の感覚を取り戻した。

牧場に咲く野バラの香り、子牛の舌の感触。

五感が覚えていたことを作品に投影した。

「私は私自身のなかにいる子どもを喜ばせるためだけに書いてきた」と語った。

森に生きる「山賊の娘ローニャ」をテレビアニメ化した宮崎吾朗さんは言う。

「子どもであっても一つの人格だから尊重しなければいけないと、ずっと書いてきた人。

スーパーガール・ピッピを通して社会に異議申し立てをしたのだと感じています」

(このブログの内容は、岩波新書のホームページから引用したものです)

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