「とんび 」  重松清

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「父の本」

埼玉県 ラジオネーム お茶屋のさとし

「とんび 」  重松清

・この本のおススメどころ

昭和イザナギ景気の頃から始まる不器用な父と子の物語です。

まっすぐで博打好きなヤスさん その妻の美佐子さんに子供が宿るところから始まります。

子供の為に好きな酒、博打を断ち、小林旭が好きなことから子供に『アキラ』と名付けます。

ある事からヤスさんは男手ひとつで子育てをします。

人から慕われるヤスさんは周りからも助けられ、不器用ながらもアキラくんと一緒に成長をしていきます。

アキラくんを苦しませないための〈優しい嘘〉思春期の難しい時期の息子との接し方、男2人での暮らし方。

思春期って親がウザかったり、何でもない事で衝突したりなんて日常的な事です。

私も2人の子がいますが、子育てなんて自分の思うようにはならないのが自分でも実感したところです。

そして、やはりそこは 一本気なヤスさん オロオロと戸惑います。

男臭いヤスさん、そしてそこが人間臭くて、読みながらも「うんうん、そうなんだよなあ」と頷く事しきりでした。

そして、何よりもこの小説の優しさを感じ取れたのが、三人称で語られる文章が、主人公とその妻を称する時「ヤスさん」「美佐子さん」と柔らかな口調で語られている事でした。

それだけでも全体にふんわりとした暖かさが漂うようです。

瀬戸内の街を舞台にしたこの物語、成長したアキラくんの進学問題、揺れるヤスさんの心情は 同世代の息子を持つ私も共感を覚えました。

・この本との出会い

TVドラマで 第一話を見るも、『ちょっと重たいかな?』と感じ、その回で見るのはやめてしまったのですが、最後まで見た友達から聞くと、何故見続けなかった?

すごく良かったのに‼︎

との声が多かったので、それなら原作を読むまでよ!  と。

・お茶屋のさとしさんのお父さんとの思い出

私の父は自営業でしたが、朝から酒を飲んでしまうような人でした。

飲まなきゃ無口で大人しいのが、ご多聞に漏れず ひとたび酔うと、くどく面倒くさいオヤジでした。

当然衝突ばかりでしから、こんなヤスさんのような父親像に憧れつつ、自分が父になったら そんなふうに接しなければ と思っていたものでした。

私自身 父との確執が深まるばかりで、この場で説明すると かなりの時間を要してしまうので割愛しますが、反面教師として学ぶべき所は多かったように思います。

家族との接し方 声のかけ方 気にかける事 支える事 食べさせる事 父として『やってはいけない』事は沢山教わった気がします。

……なんて つい偉そうに上から ものを言ってしまいましたが、それでも育ててくれ、決して不幸などではない環境だった事は確かなのです。

それだけでも大いに感謝をしています。

ある事から私たちの前から姿を消してしまった父ですが、今は恨んでなどいません。

この本を読んで小さな頃からの父との思い出を噛み締めながら、

ほんのちよっぴり、自分も気持ちが優しくなれる小説でした。

 

♬とんび 映像化

NHK ヤス…堤真一  TBS ヤス…内野 聖陽(うちの せいよう)

映像化された重松作品  サイト NEVERより

・流星ワゴン 2015年1月

死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。

その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。

そして――自分と同い歳の父親に出逢った。

時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。

やり直しは、叶えられるのか――?

西島秀俊と香川照之のW主演

 

・あすなろ三三七拍子 2014年7月

45歳の中年サラリーマン・藤巻大介が、廃部の危機に陥った翌檜(あすなろ)大学の応援団団長に同大学OBの社長からの命令で就任、応援団の再建に賭けた悪戦苦闘を描く青春群像劇。

主演 柳場敏郎

 

・エイジ 2000年7月

東京近郊のニュータウンに住む中学2年生のエイジ(高橋栄司)の日常生活を通し、連続通り魔を実行した同級生、挫折したバスケットボール、好きな女の子、元親友への想いをリアルに描く。第12回山本周五郎賞を受賞

元カトゥーン 田中聖(たなかこうき)

・卒業ホームラン 2011年3月

少年野球チームに所属する智は、こつこつ努力しているのにいつも補欠の六年生。

がんばれば必ず報われる、そう教えてきた智の父親で、チームの監督でもある徹夫は、息子を卒業試合に使うべきかどうか悩むが──。

主演 船越英一郎

 

・その日の前に  2008年映画化 2014年テレビドラマ化

僕たちは「その日」に向かって生きてきた

男女が出会い、夫婦になり、家族をつくって、幸せな一生なのか。消えゆく命の前で、妻を静かに見送る父と子。

南原清隆(2008) 佐々木蔵之介(2014)

・定年ゴジラ 2001年

大手銀行に42年間勤め定年を迎えた主人公の山崎さんの、定年してからの日々と仲間たちとの交流、そして家庭の中で自分の「居場所」を見つけるまでの苦悩を描く。

題名は、「定年」を自分の中でどう受け入れるか、戸惑い、悩む定年仲間たちが開発当初の団地の模型を踏み潰すシーンから名づけられた。

長塚京三

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