村上春樹 「ノルウェイの森」

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兵庫県 ラジオネーム マーリンの杖が欲しい子

村上春樹 「ノルウェイの森」

① この本のおススメどころ
この作品は、若き日の悲しい恋を、36才になった主人公が回想するところから始まります。

ワタナベ君には高校生で自殺した親友キズキがいました。大学に入ってその恋人直子と東京で再会し、毎週のように会ううち徐々に強く恋するようになる。
だが直子は精神を病み、京都の山奥の療養所に入る。
冬の場面は秋に次いで二回目に直子を訪ねるところです。
ものもあまり言わなくなり透き通った美しさを漂わせる直子。
秋には「退院して僕と暮らそう」と思いを伝え、未来への希望を抱いていたワタナベ君だが。
深い雪に閉ざされた静謐(せいひつ)な山の風景は、東京の暮らしと対比した「あの世」と評されることもあり、「生と死」の作品テーマにも繋がるのかもしれません。

今回読み直してみて、思ってたよりずっと短い場面でした。映画のポスターにもなっていますし印象が強いのですね。

青年に特有な心の純粋さ、ひたむきさは人の心を打つ。
その一方でその悩みや苦しみは自分のことに精一杯で傲慢な冷酷さにも結びつきます。
悲しみの中で、ワタナベ君がはじめてかつて捨てたガールフレンドに対して悪かったと思いだすように。

すべてのものを冷たく覆い隠してしまう雪の残酷さと、春には消えてしまうはかなさ、世俗と孤立した世界は、そんな青春期の有り様を象徴しているようにも思えます。
さなぎの中で青虫の体は一度ドロドロに変化し、蝶に生まれ変わるといいます。
思春期から大人への変化も、そうした「死と再生」なのかもしれません。その意味で「ノルウェイの森」はまごうことなき一級の青春小説でしょう。
「俺は今よりももっと強くなる。そして成熟する。大人になるんだよ。(略)俺はもう十代の少年じゃないんだよ。俺は責任というものを感じるんだ」
直子を守るため、ワタナベ君は死んだキヅキにそう誓う。純粋に愛する人を守りたいと思う男子の姿は、美しいですね。

②この本との出会い
この本を買ったのは20才代の独身の頃。春樹さんが好きだったので新刊で気になっていて、赤と緑の装丁になった頃に買いました。
それまでの短編集のちょっとシニカルでドライな感じとはずいぶん作風が変わって新鮮でした
今、改めて読み返して驚いたことは作中に出てくる音楽です。

「ノルウェイの森」だからビートルズはもちろんたくさん出てきます。
他にも沢山出てくるいろんなアーティストや曲名があるのですが、知らないアーティスト名は読み飛ばし、気に留めることもなく過ぎていました。
でも今回読み直し、ワタナベ君が東京の直子の部屋でかけるレコードや、療養所で一人聞く曲がビル・エヴァンズとありびっくりしました。
ビル・エヴァンズは名前を意識することなく長年聴いていたジャズ奏者です。
次に買う予定にしているアルバムが作中のものだったのはなんと偶然(^。^;)
他にも当時は知らなくて、今は好きな曲が沢山でてきて、
村上春樹氏と音楽の好みが合うのか、逆にこの作品によって無意識に刷り込まれたのか。。
私という人間の中に春樹さんが布石を置いて行ったような不思議な感覚を覚えました。
そう言えば「ダニー・ボーイ」を聴くたび「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を思い出すのですが、この曲もまたビル・エヴァンズのカバーがアルバムに収められています。

③ 冬の思い出
冬と言えば、こたつにみかんに編み物、本。
今の家では板張りに無理矢理こたつを置いていて、もっぱら子どもたちに占領されているのですが、いつか引っ越したら、畳にこたつの暮らしを復活させたいな~。
そして昼間から熱燗飲んだり、映画見たりするの  。
あら、それってお正月デスね(^。^;)
♬村上春樹
リスナーの皆さんにはハルキニストも多いのではないでしょうか
私は1冊しか読んだことがなく…何冊か積んでます。
今回マーリンの杖が欲しい子さんのおススメ 「ノルウエイの森」
紹介文にもありましたが、作中に音楽が出てきます。
紹介しますと…

・ビートルズ『ノルウェイの森』
物語の冒頭、主人公のワタナベが乗った飛行機がハンブルク空港に到着した時、天井のスピーカーから小さな音で流れてはじめた音楽。

・ビートルズ『ミシェル』『ノーホエア・マン(ひとりぼっちのあいつ)』『ジュリア』
直子に弾いてほしいと頼まれ、レイコさんがギターを奏でたビートルズの音楽。

・ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ『スピニング・ホイール』
クリーム『ホワイト・ルーム』
ワタナベと直子とレイコさんが訪れた牧場で、ラジオのFM放送から流れてきた音楽。

・サイモン&ガーファンクル『スカボロー・フェア』
レイコさんが知らない俳優ダスティン・ホフマンが主演した映画『卒業』にも流れていたサイモン&ガーファンクルの音楽。

・ビートルズ『ヒア・カムズ・ザ・サン』
アイス・ミルクをおごる代わりに弾いてくれと牧場の女の子に言われ、レイコさんがギターを弾きながら唄った音楽。

・ローリング・ストーンズ『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』
ワタナベ君がアルバイトをしている新宿のレコード屋(となりに大人のおもちゃ屋がある)に訪れた女の子がリクエストした音楽。

・セロニアス・モンク『ハニサックル・ローズ』
・ドリフターズ『アップ・オン・ザ・ルーフ』

 

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