山崎豊子 「白い巨塔」

LINEで送る
Pocket

「映像化されて映像も原作も良かった本」
東京都 ラジオネーム ぶるぼん

山崎豊子 「白い巨塔」

① その本のオススメどころ

私たち患者にはわからない医局制度や医療現場の腐敗について書かれていて、大学病院というなかなかなじみのない世界を垣間見ることができます。

そして主人公財前とライバルの里見の対比が素晴らしいです。
外科手術がピカイチで野心に燃える男・財前、患者を第一に思い研究熱心な内科医の男・里見。
まず読み手の私には「どちらの医者がいいだろうか?」と考えずにはいられない。
「生きたい」という気持ちが強いと前者のほうがいいかもしれないけど、自分の心理に寄り添ってくれる後者もいいかもしれない。
そういう「究極の選択」のような気持ちが出てきて、自分が命を預けられる医者とはどんな医者だろうか?と考えさせられました。
小説の後半でメインになってくる医療ミスでは、インフォームド・コンセントの大事さを実感します。
小説が書かれてた時代にはまだなかった概念かもしれませんが、患者側も面倒に思わず、自分で納得し治療を選択すること、医師はその求めに応じ説明をしっかり果たさねばならないということ。
現代では当たり前のことですが、治療を受ける患者側の私たちも「病気」について学ぶ必要があるのだなと思いました。

この本を読んで約10年後、主人が病気になり、その時に検査をするたびに内科、外科と様々な医師と接することになりましたが、その都度説明をしっかりしてもらい、私たちもわからないことをたくさん質問しました。
考えてみれば、生きてる間に病院にかからない人はおらず、入院、検査、手術などが必要になる病気になる確率はとても高いです。
この白い巨塔を読んでたおかげで、インフォームドコンセントの大事さを覚えてたのもあり、わからないことをはっきり質問し説明を求めることができました。
② 映像のオススメどころ

最初に映像を見たのは、フジテレビの開局45周年記念ドラマで主演が唐沢寿明さんと江口洋介さんのバージョン。
小説は時代がかなり古く、私が生まれる前に連載が終了していました。
確か1960年ごろを舞台にしていたと思います。
約40年の間に医療は大きく進歩していたようで、この時のドラマでは現代の医療に変えられていました。
そのため、小説ではあまりぴんとこなかったことにもドラマで理解できたことも多かったです。
ちょうど母が2度目の癌が発覚し治療したあとだったのもあり、ドラマの後半のメインになる「医療ミスによる裁判」のシーンは自分たちの身に置き換えて食い入るように見てました。

唐沢寿明さんバージョンのあとに田宮二郎さんが演じたドラマも観ました。
田宮版は1978年の放送だったそうですが、こちらのほうが小説に忠実に再現されていたドラマだったと思います。
田宮さんの遺作となったドラマでしたが、2000年代に見ても田宮二郎さんの熱演に圧倒されてしまい、ラストまで目が離せなかったです。

そうそう、ドラマの白い巨塔では教授回診のシーンが冒頭に流れるのですが、大学病院の回診の際はあんなふうに整然と歩いてまわってくるのかと思ってたんです。
しかし主人が入院してた大学病院はそんなこともなく、和気あいあいとした雰囲気だったので、大学病院というだけで身構えてた気持ちがほぐれました。
自分が思ってた以上に映像化の影響を受けてたようです。
③ その本との出会い

フジテレビの開局45周年記念ドラマということで本屋さんに平積みになっていたところで「ドラマを見る前に読んでみようかな?」と軽い気持ちで手に取りました。
読み始めてみるとぐいぐい引き込まれてしまい、寝る間も惜しんで読んでました。
気がつけば1週間弱で全5巻読了。
20代の終りに出会った本ですが、ドラマ化がなければもしかすると山崎豊子さんの本を手に取ることはなかったかもしれません。
このドラマ化がきっかけで白い巨塔を読み、山崎豊子祭が自分の中で開催され、沈まぬ太陽や華麗なる一族などを読むことになりました。
いまだ全部を制覇はできてませんが、好きな小説家の1人になりました。
時間を見つけて、未読の本を読んでいきたいと思います。

山崎豊子さんは実際に丁寧な取材をする小説家です。

沈まぬ太陽は日本航空がモデル

運命の人は西山事件がモデル

白い巨塔は阪大医学部がモデル

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください