墟に乞う 佐々木譲

墟に乞う

佐々木譲

仙道孝司は北海道警察の刑事

とある事件のPTSDで療養中の身

医者からはまだ現場の復帰を認められていない

何故か、そんな仙道の元に「助けて欲しい」と連絡がはいる

昔の事件で見知った顔だったり

元上司だったりする

病気療養中で断ることもできるのが

そこは刑事の悲しい性だろうか

仙道は断わらず依頼された人物に会い現場を見に行く

いや刑事だからこそ捜査権限が無くても

現場にいってしまうのだ

いくつかの事件を読み進んでいくなかで

PTSDになった直接の原因も知ることになる

刑事仙道孝司の現場復帰も近い…

 

6つの短編からなる仙道孝司の刑事物語

PTSDになった経緯には設定として「?」と思うところもあったが

短編なので読みやすかった。

前篇を通してなんとなく翳を感じるのは

仙道がPTSDを抱えているからか?

それぞれのヤマが鬱々としたものだからか?

現場に復帰した仙道を見てみたい。

青の数学 王城夕紀

青の数学

王城夕紀

「どうせだったら、誰も見たことがない景色が見たい」

栢山(かやま)は高校一年生。

特技は数を覚えること。

なので小さい頃から2桁の数字のかけ算が暗算でできた。

柊先生に出会い数学の道へ。

時間があれば数学の問題を解き続ける栢山は

若き数学者が集うネット上の決闘空間「E2」に入る

そこで決闘する中で「スピードスター」「ノイマン」達と出会う。

そして「E2」の合宿に参加することに。

合宿では個人戦、団体戦も含め3日間ひたすら数学と向きあう。

栢山はそこで全国トップ偕成高校の数学研究会「オイラー倶楽部」の部長である

皇と時に同じグループで、時に対戦相手として交える。

 

スポ根ならぬ数根か?

読んだ感想を一言で表すなら

「羨ましい」

好きなことに時間を忘れるほど没頭できる環境に妬ましくさえ感じた。

「数学」というカテゴリーの中で、出会い刺激を受け成長する。

ほぼ一気読み。

出て来る女子は大方がうざい…何故だ???

「本好き」の合宿がしたいと思った。

半日読書で半日はビブリオバトル

夜は宴会しながら好きな本談義

これを3日間

どう?

青の数学2 王城夕紀

青の数学2

王城夕紀

 

「数学したくないんだったら、算数でもやってろ」

ネット上で若き数学者達が集まる「E2」

リアルに集まって行われた夏合宿に参加した栢山(かやま)は帰ってきてからスランプに陥る

問題を見ても鉛筆が進まない

九十九書房の十河はそんな栢山に小学生用の算数ドリルを渡す

 

栢山は算数ドリルを解く

「E2」に新たな数学者が現れた

偕成高校オイラー倶楽部の最後の一人、二宮

メッセージを送り、皇に決闘(数学での)を申し込む

二宮VS皇

栢山はその間「一の瀬の十問」を解いていた。

九問目まで解かなければ十問目を見る事はできない。

二宮との戦いの後に皇は九十九書房に現れ栢山に

「最後の十問目で、決闘しないか」

二人の対決はどちらに軍配があがるのか…

 

栢山がスランプのせいか、私の読むペースも上がらなかった(笑)

読み終わっての感想は

「これは皇(すめらぎ)の話だ」

スピンオフでないかなぁ

 

谷津矢車 おもちゃ絵芳藤

「おススメの時代小説」

大阪府 ラジオネーム 四十路の働きバチ

谷津矢車 おもちゃ絵芳藤
①この本のおススメどころ

浮世絵師としては芽が出なかった人物を取り上げ、あまり知られていない『おもちゃ絵』に焦点を当てたこと。

また、幕末から明治へと価値観が大きく変わる時期で、時代についていがなければ…という焦りを感じながらも、絵師としての矜持(きょうじ)を忘れずに生きようとする主人公の生き様が描かれています。

物語は歌川国芳が亡くなった1861年春から始まります。主人公は国芳の弟子・歌川芳藤。兄弟弟子がどんどん成功していく中で、浮世絵師として一本立ちできない芳藤は、入門歴の浅い弟子が請け負う『おもちゃ絵』を、死ぬまで描き続けました。

おもちゃ絵とは子供向けの絵で、切ったり組み立てたりして紙工作として遊ぶものや、福笑い、双六などがあります。一般的にイメージされる美人画や役者絵と違って子供を相手にした玩具なので、子供の『知りたい、遊びたい』という気持ちを誘うよに描かれています。そのため、絵師の間では『子供騙し』の仕事と考えられ、格下の仕事とされていたようでした。

そんな格下の仕事からなかなか抜け出せない一方で、師匠・国芳の画風や技術を後世に伝えたいと、兄弟弟子の面倒を見ながら国芳の画塾(今で言う絵画教室)をなんとか残そうと奮闘します。

しかし、時代は江戸から明治へ。
武士の時代が終わり、価値観や生活様式も大きく変わり始めて、江戸っ子に人気を博した浮世絵も西欧化の波で見向きもされなくなりました。瓦版は新聞へ、印刷技術は版画から活版へ。写真の技術も普及し、浮世絵を描く仕事は淘汰される厳しい時代。世の中の変化に遅れまいと筆を折る仲間もいたようです。
でも、芳藤は時代に流されるなんてことができませんでした。師匠の名の重みを受け止め、絵師としての矜持を貫いた彼が人生の終焉で彼自身が気づいたこと。
浮世絵師の中でも格下とされていた『おもちゃ絵の絵師』こそが自分の居場所なのでした。

②この本に出会ったきっかけ

本屋さんで偶然見つけました。
その時に『おもちゃ絵』という言葉に初めて出会い、『おもちゃ絵って何だろう』と興味を持ったこと。また、本の帯に書かれていた『あたしは絵師だ。死ぬまで絵師だ。死んでも絵師だ。』の力強いフレーズに惹かれて読み始めました。

③時代小説

時空を超えて、当時の暮らしを疑似体験できるところが面白いです。
特に史実をベースにした小説では、教科書で習った見方だけでなく、関係者の視点を通して違った方向から歴史的事件を見ることができたり、当事者たちの心の内に触れることができます。テストに出てきたあんな事件、こんな出来事も、視点を変えて見ることで『へ〜、そうだったのか』と新たな発見もありました。

美術に全然興味のなかった私が、江戸時代の絵師や浮世絵に興味をもち、色々な展覧会に足を運ぶようになったのは、時代小説で絵師の人生に触れることができたから。小説を通して知的好奇心が刺激されて、世界が広がりました。
小説を読んだ後で登場人物が描いた絵を見ると、展覧会も、より、楽しめます。

 

あさのあつこ 「弥勒の月」

兵庫県 ラジオネーム ゆみこさん

あさのあつこ 「弥勒の月」

① この本のおすすめどころ

藩を出奔し侍の身分を捨て、江戸の小間物問屋の主人として真摯に生き直そうとする遠野屋清之介(とおのやせいのすけ)。

清之介の過去を怪しみまとわりつく、蛇のような同心・木暮信次郎。信次郎を嫌いながらもその事件の真相を嗅ぎ付ける能力に魅せられている老獪な岡っ引きの伊佐治。清之介にからみつく過去を縦軸に、江戸の町に起こる数々の血なまぐさい事件を横軸に描かれるヒリヒリした男たちの極上の物語です。

反発しあいながらやがて奇妙な友情のようなものが芽生える清之介と信次郎の丁々発止のやり取りが絶品!

江戸の町の四季や風情が丁寧に描かれ、清之介の誠実な生き様は胸を打ち、伊佐治と家族の温かいシーンはほろっと心に沁みます。

② この本との出会い

「バッテリー」で出会ったあさのあつこさんの時代小説と知って手に取りました。

それまで読んでいた「バッテリー」や「THE MANZAI」とはまた違う、ヒリヒリドロドロした世界がど真ん中でハマりました!

③ 時代小説の魅力

実は時代小説はあさのさんと宮部みゆきさん以外ほとんど読んだことがないんです。なので時代小説を語れるほどの言葉を持たないのですが…

現代とはまったく異なる社会や世界の物語でありながら、外国の話や異世界ファンタジーと違って、今に繋がっている地続きに感じられること。

あとは人々がシンプルに自分の力で生きていること。かな?

 

♪あさのあつこ

作家。1954年、岡山県生まれ。小学校講師ののち、作家に転身。’97年『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリー⑵』で日本児童文学者協会賞受賞。児童文学、ミステリー、SF、時代小説など幅広いジャンルの作品で活躍。

 

池井戸潤 「下町ロケット」

「映像化されて映像も原作も良かった本」

 

秋田県 ラジオネーム なまはげおやじ

池井戸潤 「下町ロケット」

① その本のおすすめどころ
佃 航平は大学で七年、更に宇宙航空開発機構の研究員になってからも二年という年月をかけてロケットエンジンの研究をしていた。

佃が研究開発した新型エンジンを搭載した宇宙開発機構の実験衛生は、発射台を飛び立った後、宇宙に到達する前に予定経路からズレ制御不能となり、失敗に終わった。

その後、佃は父親の死に伴って、家業の精密機械製造業である佃製作所を継いで中小企業の経営者になった。

ロケットエンジンへの拘りを捨てきれず、経営者になってからも研究を続けて水素エンジンのバルブシステムの技術で特許を取得した。

…が、佃製作所の経営は順調ではなかった。

開発費に金を掛けすぎると、取引銀行から融資を渋られる。

主要取引先からは下請け仕事をストップされる。

佃製作所の稼ぎ頭でもある小型エンジンでは、特許侵害だと競争相手の大手から訴訟を起こされる。そんな苦難が次々と起こった。

一方、財前道生は、宇宙航空関係の国内最大のメーカーである帝国重工で宇宙航空開発担当部長の職についていた。その帝国重工は巨額の資金を投じて新型水素エンジンを開発していたが、その重要部品のバルブシステムの技術に既に特許が存在していた。

その特許を持っていたのが佃製作所だ。

帝国重工は、宇宙航空分野で政府から民間委託された大型ロケットの開発製造を一手に引き受け、今や押しも押されもせぬ宇宙航空関係の国内最大のメーカーである。社長の肝いりで「スターダスト計画」と名付けたプロジェクトを推進していた。

今回の新型エンジン開発はその目玉であり、大型ロケットの打ち上げで国際競争をリードするための絶対条件だった。

帝国重工が独自に水素エンジンのバルブシステムを新たに開発し直していては計画に間に合わない。
その特許技術を佃製作所から買って自社で水素エンジンのバルブを製造しようとする帝国重工。

その特許技術をもとに自社で製作したバルブを帝国重工に売り込もうとする佃製作所。この駆け引きがたまりません!

② 映像のみどころ

主人公 佃航平役に阿部寛
別れた妻役に真矢ミキ
娘役にNHKの朝ドラ「まれ」のヒロインだった土屋太鳳
佃製作所を訴訟から救った顧問弁護士、神谷修一に恵俊彰
帝国重工宇宙航空部部長、財前道生に吉川晃司

主役の阿部寛も勿論素晴らしかったですが、吉川晃司が、とても素晴らしい演技をしてくれます。たしか昔歌手だった頃は、水球で鍛えた身体を活かしてイケイケでしたが、今はとても渋い演技をするよい役者になり、今回のドラマでもとても重要な役をきっちり演じてくれています。

③ 原作の本との出会い
このドラマが放映されたのが2015年10月。原作を読んだのが2014年6月。

2013年7月から放映された「半沢直樹」が面白くて、それが池井戸潤さんの小説が原作になっていることを知り、それからこの作者に興味を持ち始めて、最初♫に読んだのがこの作品でした。「オレたちバブル入行組」ではなく(^_^;)

♫北海道でこの下町ロケットを地で行くのが、植松電機の植松勉さん

子供のころから紙飛行機が好きで宇宙にあこがれ大学で流体力学を学び、名古屋で航空機設計を手がける会社に入社する。

その後、父親が経営する植松電機に入社、18人の従業員の町工場で夢のロケットを作り始める。

「思うは招く。夢があればなんでもできる。」

『空想教室』

出版社: サンクチュアリ出版