かこさとし「からすのパンやさん」

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福岡県 ムカえもん

かこさとし「からすのパンやさん」

その本を読んでの感想

からすの親子が一生懸命パンを作るシーンが、本当に大好きで!
親子が作る独創的なパンに影響を受けたのか、
パン屋さんに行ったときには動物などをかたどったパンばかり母にせがんでいた記憶があります。

たくさんのパンの絵が描いてあるあの見開きページは、
何時間見ていても飽きませんでした。
この本が書かれたのは1973年。
もう40年以上も前ですが、仕事と子育てを両立する難しさが
今も昔も変わっていないことに驚きます。
カラスのお父さんお母さんは、子どもたちが泣いているとすぐに飛んで行って世話をするので、パン作りは失敗ばかりだし、お店もちらかったまま。
お客さんもだんだん減って、貧乏になってしまいます。
困難に負けずに子どもたちを精一杯育てる姿は、
共働きで子育てをがんばる若い夫婦を連想させます。
昔は「お父さんお母さんの邪魔をしちゃだめだよ!いい子にしてなきゃ!」と
“子ども側”の目線だったのですが、今読んでみると
「子育てってやっぱり大変だなあ。あれもこれもとがんばりすぎると、
やっぱりどれもうまくいかなくなってしまうものなんだなあ」と
“親側”の目線に変化したことに気付きました。
パンやさんの再開を心待ちにしていたお客さんがお店に殺到するところでは、
「あたしもからすのパンやさんにとんでいって、やきたてのパンがたべたい!」と
思ったものですが、「念願のおいしいパンだ!」「お客さんがいっぱい来てくれた!」と、
画面いっぱいに喜びが満ちあふれています。
この本は、“働くすばらしさ”“美味しいって幸せ”を描いた本でもあるのですね。
ちなみに、当時も今も、一番好きなのはオモチちゃん。
本来のカラスからはかけ離れた真っ白な体で、
末っ子できょうだいの中でも一番小さいあのオモチちゃんが、
2013年に出版されたからすのパンやさんの続きのおはなし(!)では、
お蕎麦やさんになって、なんとお嫁さんまで!!
大きくなったねえ、立派になったねえ、と感動して、思わず涙が出てしまいました。

その本との出会い

母のお友達が私にプレゼントしてくれたそうです。
度重なる引っ越しで手放してしまったのですが、
数年前、母と一緒にいった近所のパン屋さんに置いてあって、
「これ、うちにもあった!大好きだった本だ!」と表紙を見た瞬間に思い出し、
母に「よく覚えているわね」と驚かれました。
どうしてももう一度読みたくていてもたってもいられなくなって、
仕事帰りに本屋さんに寄り道。
からすのパンやさんを目の前に置いて、
「そういえば表紙をめくる瞬間のワクワクする気持ちは子どもの頃とまったく変わっていないな」と、ちょっと笑ってしまいました。
どの絵もかわいくてなつかしくて、
ページをめくるたびにワクワク楽しい気持ちがこみ上げてきます。
きっと当時の私も、ワクワク心を踊らせながら読んでいたのでしょう。

「お母さん」の思い出

通っていた幼稚園には貸し出し図書(幼稚園児にとっては結構な蔵書数でした)
というシステムがあって、そこから毎日のように本を借りてきては
「よんで!」とせがむ私を膝に乗せ、いつもいきいきと楽しそうに読み聞かせてくれました。
からすのパンやさんも、何度読んでもらったことでしょう。
私が今でも本を読むのが好きなのは、
幼い頃に母に本を読んでもらった記憶がどれも絶対的に“楽しかった記憶”
として残っているからだと思います。
たくさんのすてきな本に出会って得た“楽しかった記憶”は、
私にとってかけがえのない大きな財産。本当に感謝しています。

かこさとし
1926年福井県武生市(現在 越前市)に生まれる。
1948年東京大学工学部応用化学科卒業。工学博士。技術士(化学)。
民間化学会社研究所勤務のかたわら、セツルメント運動、児童会活動に従事。
1973年会社を退社した後は、児童文化と児童問題の研究のかたわら、
テレビのニュースキャスター、大学講師、海外での教育実践活動などに従事。
また児童文化の研究者でもある。
作品は、物語絵本、科学・天体・社会関係の知識絵本、童話、紙芝居など多岐にわたり、
500点以上。
主な作品に「かこさとしおはなしのほん」シリーズ『ピラミッド』『うつくしい絵』(偕成社)、
「だるまちゃん」シリーズ『かわ』『海』『とこちゃんはどこ』『万里の長城』(福音館書店)、
「かこさとしからだの本」シリーズ(童心社)、『伝承遊び考』
「こどもの行事しぜんと生活」シリーズ(小峰書店)など
「かこさとし・ほしのほん」「はるのほし」「なつのほし」「あきのほし」「ふゆのほし」

2008年菊池寛賞受賞、 2009年日本化学会より特別功労賞を受賞。

「かこさとし ふるさと絵本館」 福井県越前市
越前市図書館の利用者カードにかこさんの絵(だるまちゃん)が入ってます

「からすのぱんやさん」偕成社 スペシャルインタビューから引用

子どもさんの関係の仕事に携わって、少なくとも描いたりするものは、
子どもさんに与えるものだから、子どもさんたちが活躍する20年後にも通用するものをと、
先をみこして描いています。
それがぼくにとってとても勉強になった。
現代のことはもちろん知らなければいけないけれど、
20年後の世の中、地球上のことがどうなっているか考えねばなりません。
ぼくの計算では2050年、地球上には100億の人間がいる。
でも植物が足りないのです。生きもの由来は全て植物です。
でもみんな人間の場になってしまって、植物を植える場所が足りなくなる。
だから人類はもうこれ以上増えてはいけないという計算になる。
それを考える人はあまりいないですね。
そこらへんも考えていかないと、とても難しい時代になる。
だからそのためには、もっともっと役に立つような、本当に人類に役立つのはなにかと、
いうのを考えた学問、政治、科学をしないと駄目という気がします。
我々の世代では達成できない状況ですから、託すとしたら、
いまの子どもさんがうんとがんばって、よく考えて、我々をこえていって欲しいですね。
昭和20年から思いがけず長生きさせて頂きましたが、生物ですから当然、
目は悪くなるし物忘れはするし、順調に老化鈍化の道をたどっています。
間違った判断をしたつぐないを少しでもしたいと思ってきましたが、
そんなことをしないかしこい子になって、未来をひらいてゆくように祈念しています。
そういうかしこい子を自らの生活と態度で応援する、
かしこい大人になって下さるよう心から願っています。

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